「話を聞く」ことの大切さ

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黙って「話を聞く」ということは、実に難しい。

それはつまり、うなずきやあいづちは良くても、「いやいやそれは違うでしょ」などと言い返すことをしてはいけない。そして、とにかく相手が話し終わるまでこちらからメッセージを発することもしてはならない。相手が言葉に詰まったら、こちらが話を切り出すのではなく言葉が出るのをひたすら待つ。

これが、悩み相談を聞くうえでとても重要な要素になる。

誰かに悩みを打ち明けるときに少し恐怖心を感じたり、誰を信用すべきかどうか迷う経験はないだろうか。そこには、自分が悩みを相談することによって相手に嫌われたり、否定されるのが怖いから、と言う気持ちが混じっている。つまり、相談相手のスタンスの問題だ。

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TRY部は、この「話を聞く」ことを大切にしている場所である。

例えば次の定期試験の点数設定の場面。生徒が「350点を目指します」と目標を設定する。このときスタッフは「いや、今回400点狙ってみようよ」とは言わない。350点を目指すのなら、350点を目指せる目標やサポートに尽力する。もちろん、これで350点を越えたら万々歳だ。

ここで、「だめだ、この間のテストが340点だったんだから350点と言わず400点を目指しなさい」とスタッフが頑なな姿勢でいると、生徒は「この人は自分のことをなにひとつわかっていない」と感じる。そもそも本人は確固たる理由があるからこそ350点という設定にしているのだ。

なんで350点にしたのか、上を目指せる要因はあるのにあえてそのラインに設定する理由は何か、生徒が話すときはスタッフは黙って耳を傾ける。いくら「いやもうちょっと上を目指そうよ」と思っても、全て話し終わったら「よし、じゃあそれでやってみよう」と背中を押す。

そのうえで、何か意見があるときは「僕はこう思うけど、どう?」などという表現で生徒に伝える。間違っても「こうしなさい」という表現は使わない。「こうしなさい」と言ったところで、その目標を達成するのは指示を与えるスタッフではなく、生徒だ。

こんなことを書いているが、僕自身、生徒と関わる中でつい口を挟んでしまうこともある。その度にハッと「だめだだめだ」と我に返り、生徒の話を引き出すことに注力する。それくらい、「話を傾ける」ことって難しい。

「傾聴」を身に着ける

このように、相手の話にじっと耳を傾けることを「傾聴」という漢字2文字で表現することができる。最近では会社などの研修を行う際のペアワークとして取り入れられることも多い。聞き手が目も合わさずあいづちもないと、話し手はどんな話題でもものすごく話しにくい。

TRY部の目標設定に限らず、何かの悩みごと、相談ごとを打ち明けるときは、それなりの「雰囲気」が作り出されていないとうまく事が運ばない。聞き手の態度、しぐさ、空気感・・・好条件がそろわないと、話し手もすっきりと話を切り出すことは、できない。

そのためには、如何に聞き手が話し手を「黙って」受け止められるかが本当に大事。ひいてはそれが、大きな悩みをもつ友達、学校に適応できずに苦しむ我が子を救うことにもつながる。ぜひ悩みを抱えている人に寄り添って、どんなことでも「傾聴」することを心掛けてほしい、と思う。

お知らせ:「子ども自信白書」がまもなく完成します!

NPO法人D.Liveではこの秋、子どもと自信の関係性をインタビューやデータによって探る「こども自信白書」を編集しています。実はこのコラムも入稿直前で最終編集真っ只中の作業場で書いています。

悩みを抱える子どもたちへ寄り添うヒントも満載のこの白書は、11月8日(日)開催予定の「子どもの自信探求フォーラム」でお披露目予定。お楽しみに!

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山本 駿

山本 駿

NPO法人D.Live スタッフ / 高校非常勤教員(社会科) 京都出身。中学3年間不登校。岐阜県内の大学を卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画。主にTRY部や不登校講演事業を担当しながら、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。