【フォーラムゲスト紹介】梅花女子大学、福井先生に子どもの自信についていろいろ聞いてみた

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8月。
「子どもの自信白書」作成のために、

梅花女子大学の福井先生に子どもの自信が持てない原因や、
自信を育む方法についてインタビューしました。

11月8日のフォーラムでは基調講演をしていただく福井先生。

フォーラムのお申し込みはコチラ

http://kokucheese.com/event/index/341501/

 

 

今回は、ゲスト紹介として白書に載せたかったけれど、ページの都合で泣く泣くカットした部分を中心にインタビューでお話した事をご紹介します。

■ 福井先生プロフィール ■

梅花女子大学 講師

18歳までプロのテニスプレイヤーをめざしていたが、足を複雑骨折したことからその道を断念。大学院で自尊感情について、研究をはじめる。現在、人が「意味ある世界の価値ある参加者」だと感じられるためには何が必要なのかを意味管理理論を中心に研究している。

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得津:今日はよろしくお願いします。

 

福井先生:はい、よろしくお願いします。

 

得津:まず、どうしてそれぞれが自尊感情をなぜ取り上げるようになったのか、背景を共有してから、具体的な話をはじめたいなと思います。僕たちD.Liveは学生団体から始まりました。最初は夢があって頑張っている人の話を聞き、姿を見れば子どもたちも夢を持つんじゃないかと考えていたんですが、どうやらそうではない。「その人はその人、自分は自分」と壁を感じてしまう。

じゃあ、何が夢に向かう際にボトルネックなんだろうと考えたときに自尊感情が大事じゃないかという考えにいたりました。その感情が高まれば子どもたちもやりたいことをできる。でも現実、日本の子どもは低い。じゃあそこをなんとかしようということで、今の事業を始めました。

 

田中:ぼくは野球をずっとやっていて、野球が強い高校入ったのですが周りがすごい人ばかりで。今まで自分が「これくらいできるやろう」と思っていたのが、周りの目を気にすると全然できなくなってしまって。他のできる人とも比べると嫌になって野球を辞めてしまったんです。野球するためにその高校に入ったので、そこから2年くらい高校に行かなくなってしまいました。で、浪人して大学に入って・・・でもやりたいことがなくて、仮面浪人して・・でもうまくいかなくて。モヤモヤしている時期がありました。その時うまくいかなかった経験から、自信とか自尊感情というものを意識するようになりました。

 

得津:こんな経緯から、今のD.Liveが始まったのですが、福井先生はどうして今の社会心理学を専攻されたんですか。

 

福井先生:実は、僕自身もテニスでプロ契約するところまでいったんです。

 

一同:へぇ~!!!

 

福井先生:それが18歳の時、右足を複雑骨折して医者からドクターストップがかかりました。そこから生きる意味を失って。で当初最初は哲学を研究しようと思ったが、それもあって、大学行ってもやることないし遊んでました。でも、あるとき阪大の先生と知り合う機会があって、哲学はできないけど心理はできるよと声をかけてもらいました。

この出会いがキッカケとなって自尊感情を研究し始めるようなりました。学生の当時はローゼンバーグの尺度自体に問題があるんじゃないかと考え、尺度の問題点を研究のテーマとしました。

どういうことかというと、ローゼンバーグは自尊感情を「とてもよい自分」very-goodと、「これでよい自分」good-enoughという2つの側面にわけて考えました。「これでよい自分」good-enoughというのは、あくまで人の物差しじゃなくて自分の物差しで、「これでいいよ」という感覚です。彼は後半の「これでよい自分」good-enoughを自尊感情だと言っているわりには、尺度の中で「人並みには」という表現がでてきたりしてそれは「比べとるやないか!」と、そこに問題があるんじゃないかと思ってたんです。

僕自身もそうなんですが自尊感情が低かって周りと比べて、ある分野ではすごかったけど別の分野でどうなのかと考えた時に、「なんもないやん」と思いました。自尊感情の中核になっている部分が崩れ去ったときに、自分をどう支えていくんやと。

 

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普通の生き方がカッコいいと思えなくなってきた現代社会

 

田中:よく自尊感情が今下がってきていると言われていますが、まずそれが事実かどうかと、事実であれば背景・原因を福井先生はどうお考えですか?

 

福井先生:私は特別、自尊感情が低くなっているという感覚はないですね。ただ、人と比べて勝った、負けたと自分から発信できるようになりすぎました。情報過多のような気がします。そして面白い情報にのみ飛びついている。昔も今もそんなに子どもの自尊感情自体は変わらないと思います。

「あいつなんて馬鹿だ、俺はいいんだ」という感情までもが情報として見えてきてしまうことに問題があると思います。発信できる情報量が多すぎる、その癖情報リテラシーがないので、自分の都合のいいように情報を切り貼りしてしまっている。結果として自己中心的な捉え方としている子が増えた。共感する力はもっているのに追い込まれると「なんで自分だけ!」となる。

 あと、普通にかっこいい生き方ってなくなってきましたね。普通に頑張っている人は評価されなくなってきてませんか?普通にこつこつやることもすごいのに。ああじゃないとダメという情報が発信されすぎだと思います。こつこつやっていたり、下働きしている人がすごいと思うし、子供たちもそれを見ているとは思うのですが、上に立つ人の成功だけが、目立つのはよくないですよね。

 

多様な生き方の中で

 

田中:今は生き方が多様化しています。昔はいい大学に入ったら安泰と、親も言いやすかった。でも今は子供から「大学にいくことってどういう意味があるの?」と聞かれたら親は「とりあえず行っとけば安心やで」としか言えない。親も子供たちもいろんな生き方がありすぎてわからない、勉強する意味もわからないと感じます。

 

福井先生:昔は立身出世や良妻賢母がそれぞれの生きる道だった。昔はそれ以外の生き方にスポットライトがあたらなかった。逆をいうと生きる道しるべがあったので、その通り生きていればよかった。考えなくてもよかった。周りに従っていれば安心できた。

でも社会の縛りがなくなって、弱くなってきて、「長男だからって家業を継がなくていい、20歳超えたからって職につかんでいいし、やりたいことをやったらいい!」となって、生き方のモデルがわからなくなっている。それで、自分がどう生きるのがよいのか、自分の生き方とは何なのかと自分探しの旅にでることが今切実なテーマになってますね。

 

得津:自分探しの旅というのは”今ここにない自分”とか、”本当はこんな自分じゃない理想の自分”というのを極端に追い求めようとしたときに表れる行為だとおもうんですが、先生はどうお考えですか。

福井先生:そのとおりだと思います。つまり自分探しの旅というのは変身願望で、今の自分を否定して別の自分になろうとするところに問題が出てくるのであって、たぶんそれが虚栄心につながるんですよ。今の自分を否定して別の自分を得るために必要なのは他者からの承認なんですよ。もっと自分のことを認めろ、受け入れろ、と。しかしそれは実態を伴わない評価なので、虚栄心につながるんですね。

 

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ありのままの自分とは

 

得津:となると今の自分や、自分をとりまくものにどれだけ目を向けて価値や意味があるかということを知っていくということが非常に大事になってきますね。流行り言葉でいうと「ありのままの自分」を認めるということなんでしょうけど、「ありのままの自分」って何なんでしょうね。

 

福井先生:僕は、コインの表と裏やって言ったんですよ。高校生に「ありのままの自分」て何だよという話をしたことがありました。傷つきやすい自分とか、優柔不断な自分とか、自信がない自分、不平不満をディスってばかりの自分とか・・・一見否定的なものでも裏側を見るといいんです。

傷つきやすいのは感受性が豊かだから。
優柔不断なのは慎重で懸命な判断を下したいと思って迷っているから。
自信がないというけれど、鼻高々よりも謙虚な方がいいよね。
不平不満をディスってばかりなのは鋭い感性と豊富なボキャブラリーがあるから。

それを言うとはっと、「それでもいいの?」と子どもは思う。一方で「誰とでも仲良くなれる自分」(などの一見、好まれそうな性格)でも、それは裏を返すとカメレオン的で本当の自分ってなんやねんて、周りに思われるで、ということも話しました。いい部分、悪い部分がどれにでもあるからどっちに光を当てるかが大事と違うか?ということですね。

あとは、必要に応じてそれらを統合する自分をもつことを話しました。様々な引き出しを持つ自分を状況によって使い分けすることができたらいいんやと。まずは様々な自分を見つけて育てていったらいいと思うし、これまでとは別の側面を大きくすることで自分らしくあれるようにしたらいい。様々な自分を意識してそれらを統合することができれば自尊感情は脆弱ではなく強固なものになるだろうし、たぶん他者に対しても受容的にもなれる。

だから必要以上にに他者と比べる必要もなくなるかなと。人ってやはり比べるんですよね。比べることは悪いことではない。自己確証動機という、自分の意見が妥当なものか判断する時に人は周りの意見を参考にしますよね。で、自己一貫性動機というものもあって、過去・現在・未来にわたって自分は自分でありたい。そのためには他者との比較を通じて自分がぶれていないことを確かめるものです。あと、自己高揚動機、人と比べて勝った負けたで勝ったら自分の評価は高まりますからね。客観的に自分を見るために他者比較は大事なんです。あとは自己評価を高めるために。自尊感情にとっても、人と比べるのは必要なメカニズムなんですよ。でもそれって、基本的な信頼感が脆い中でやってしまうから勝った、負けたでしかないんですよね。様々な引き出しや側面があってそれを知るために比べるのであれば問題はないと思うんですよ。

 

思い通りにならないこともまた良し

 

田中:福井先生が子育て中の方に伝えたいことは、何かありますか?

 

福井先生:思い通りにならないことの方が多いので、自分が試されていると思いませんかって。完璧で素敵な親になろうと思うことは大事だけど、子どもにとって素敵な親じゃないと意味がない気がするんです。だから、思い通りにいかないことが多いけど、それでいいんじゃないと思っています。妻とはカップルの頃から会議をしていました。

ケンカして、俺の方が正しいとか、理屈で勝った負けたになるのが嫌で「今から俺は5分間、言い訳もせえへんし、ただ黙っていいたいことを聞くから、お互いそういう時間を作って言い合おう」って。じゃあそれを家族でやってもいいということで。子どももつたないながらも気持ちを伝えてくれるし、最後はいい雰囲気で終わるようつとめてます。家族会議、おすすめですよ。5分間相手のいうことに黙って耳を傾けて聞きませんか。

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いかがでしたでしょうか。
11月のフォーラムでは、福井先生の専門を中心に
「子どもたちが意味ある世界の価値ある参加者になるために」という題でお話していただきます。

http://kokucheese.com/event/index/341501/ 

 

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得津 秀頼

得津 秀頼

D.Live副理事/元小学校教員 自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。 自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。