結局、フリースクールってどんなところなの?―その3:保護者の関わり編

ここまで、勉強面・行事面と2つの観点から「フリースクール」を説明してきました。
フリースクールに主に通うのは、当然のことながら子どもです。ですが、フリースクールでは保護者も重要な役割を果たしているところも多くあります。今日はそんなところを掘り下げてみようと思います。
これは学校でもいっしょですが「子どもだけの判断」でフリースクールに通うことは、まずできません。必ず親子で揃って見学するなど、入会にある程度の制約を設けるところもあります。逆に言えば、フリースクールと保護者はより密接に関わっていく必要がある、という見方もできます。
それ故に、フリースクールでの行事などには、家族総出で参加する生徒も多くいました。前回書いた運動会はその典型的一例で、僕自身はこの運動会でほかの生徒のお父さんと遊ぶのがちょっとした楽しみでした。「遊ぶ」と言っても、やることといえばただひとつ、キャッチボールなのですが。
中にはキャッチャーミットをはめて、本気のピッチングをきっちり受け止めてくれるお父さんもいました。普通にボールを投げ合うよりかはカーブとかスライダーとか、本当にピッチャーとしてのキャッチボールが大好きだった子どもたちに大人気だったのは言うまでもありません。
こういったところから保護者同士も「横のつながり」が構築されていき、たとえば月に1度みんなでランチに行きましょうとか、徐々にお母さん同士がまず関係を築き始めます。
後日書きますが、フリースクールの卒業式には当たり前のように卒業生ではない保護者も出席します。で、お母さん同士がやおらティッシュを交換しだしたと思ったら、卒業生の立派な姿やスピーチにみんなで大泣きするのが恒例行事。自分の子でなくても「うちの子」という目線を送れる関係性がそこにありました。
一方お父さん同士はお父さん同士で、「お父ちゃん会」と称してときどき盛大な飲み会を開いて親睦を深めていました。
お酒を飲むと車が運転できないので、お父さん飲み会をやっている間お母さん同士はハンドルキーパーとしてお茶して時間をつぶすのもまた恒例でした。余談ですが、毎夜の晩酌が恒例だったうちの父の「千鳥足」を見たのは、このフリースクールのお父さん飲み会のとき、ただ1度だけです。
保護者の関わりは、ときとして「支援」に及ぶこともあります。
たとえば、我が家は毎月、お米が定期的に10kg届くようになっていました。すると月によっては消費できないまま新たな10kgのお米が届くことがあるわけです。そんなときはフリースクールにそのお米をまるまる寄付していました。誕生日会でカレーなどを作るときにそのお米は有効活用されていました。
こうした「物品支援」も、ギリギリのところでやりくりしているフリースクールにとってはまさに渡りに船。イベントによれば、物品ではなく運営側で携わる保護者の方もおられました。
夏のキャンプでは備品を運搬するのに、生徒が乗った観光バスの後ろを保護者の車が何台もついていく光景が当たり前のようにありました。現地に着いてからも川遊びの場所が増水していないか確認に行くなど、裏方の仕事を率先して引き受けてくれました。
こういう保護者の方の支えが、子どもたちの夏の思い出となっているのは言うまでもありません。
変わったところで言えば、ある日フリースクールのスタッフがめでたく結婚(しかもお相手は同じスタッフ仲間!)したのですが、結婚報告会をなんと保護者有志で企画して盛大に開いたこともありました。直前まで歌のプレゼントの準備など、かなり手の込んだパーティーになっていました。
スタッフに何かめでたいことがあれば保護者がお祝いする。実にいい関係があの場所にはあったんだなあ、とまとめていて感じます。もっともこの報告会、音頭を取ってたのは他でもないうちの母だったんですが・・・。
さらに、カウンセリングや心理臨床の現場が介入しているフリースクールでは、臨床心理士が保護者のカウンセリングを行うところもあります。こうした心理的な側面からも状態を改善していくところも、少なからず存在しています。
フリースクールは、ある種親にとっても「サードプレイス」、第3の居場所となりうる側面を持っています。同じ不登校の子を持つ親、という共通点でつながれる、というのは親の目線から考えてもとても心強いことだと思います。
これも余談なのですが、ちょうど1年前に父が亡くなった際、葬儀にフリースクールの先生方や保護者の方が大勢駆けつけてくださいました。実は生前父が最後に顔を出した飲み会がまさしく「お父ちゃん会」で、あのとき最後に飲めてよかったよ、としんみりあるお父さんと話していたのが忘れられません。
冒頭にも書きましたが、フリースクールに毎日通うのは保護者ではなく子どもたち。しかし、その保護者の強力なバックアップなしでは、この場は成り立ちません。我々が運営している「昼TRY部」でも日々痛感することです。
そういう意味では、保護者という立場や関わりもフリースクールでは非常に重要なのです。
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