結局、フリースクールってどんなところなの?―その1:勉強編
弊団体の教室、昼TRY部は「フリースクール」として運営しています。
フリースクールとは、何らかの理由から学校に行くことができない、行かない、行きたくても行けない……という子どもたちが、小学校・中学校・高校の代わりに過ごす場所です。不登校やひきこもりをはじめ、軽度の発達障害、身体障害、知的障害などの事情を抱えるたくさんの子どもたちを受け入れ、学びの場を提供しています。
「フリースクール」という名前を聞いたことのある人でも、いったいどんな活動をしているのか?毎日何をして過ごしているの?と疑問に思われている人が多いと思います。
実は、僕は中高の6年間フリースクールにお世話になっていました。たぶんここでの6年間がなければ今の僕はないと思います。それくらいお世話になった場所です。
実際、フリースクールに通っているのは不登校全体のわずか2~3%、というデータがあります。(不登校のほとんどがフリースクールに通わない3つの理由 〈dot.〉) 「フリースクール」という名の居場所をそもそも知らないご家庭もひょっとしたらかなり多いかもしれない、というのが実情です。
そこで、今週からしばらく、フリースクールでの生活や実態について、僕の実体験を中心に短期集中連載の形でまとめていこうと思います。
フリースクールで勉強することって、できるの?
ここ数週間毎週のように書いている気がしますが、不登校において大きな障壁となるのが「学力」の問題です。学校で授業を受けることができない子どもたちにとって、家での自習などで工夫しない限り勉強面では大きな格差が生まれてしまうのは、残念ながら事実です。
では、フリースクールではどうなのか。
結論から言えば、勉強面を手厚く支援してくれるフリースクールもあります。
僕が通っていたフリースクールは、原則週5日・朝9時~夕方4時までの開室。主に午前中は勉強・自習の時間として、各々持ってきた問題集を開いたりしていました。ここで特筆すべきなのが、スタッフや大人も積極的にその「学びの輪」に加わっていたこと。
たとえば、僕は漢字検定準2級を持っているのですが、それを取得したのもこのフリースクール。生徒・スタッフ関係なく漢字検定に挑戦することになり、わざわざそのフリースクールを会場登録までして、一丸となってのチャレンジでした。
試験直前は全員で同じテーブルを囲み、大人も子どもも関係なくそれぞれ受験する級の問題集を黙々と解く光景が日常になっていました。もちろん受験するしないは生徒の自由に任されていましたが、ほとんどの生徒・スタッフが受験していた記憶があります。
それと、「毎週火曜日は○○先生の日」というように、各教科ごとの先生が来室する日もありました。もちろん全員この先生に教えてもらうことはありません。数学のA先生がていねいに指導されている横で違う生徒が英語学習している・・・ということもありました。
フリースクールの光景で忘れられないのが、教室の両側に大きな本棚があり、そこに所狭しと本が並べられていたこと。きっと、下手な学校の図書室以上の蔵書数だったと思います。当然自由に本を借りることもできました(ちなみに借りたままの本が2冊うちの本棚に眠っています・・・)。
蔵書のジャンルも幅広く、『モモ』などの児童書から絵本、さらには社会科の写真資料集もありました。ある生徒がやおら泣きだしたので何が起こったの?と思ったら、『南京大虐殺写真集』をパラパラめくっているうちに涙が止まらなくなってしまった・・・なんてこともありました。
考えてみれば、僕の通っていたフリースクールでは「環境」だけはしっかり整えて、その日勉強するかどうかは本人の自由に任されていたように思います。毎日英語や数学に取り組む生徒もいれば、勉強せずにずっとゲームしたり外へ遊びに出ていた生徒もいました。
普段は遊んでばかりいた生徒も、受験シーズンになればきちんとテキストを開いたり問題プリントを解いたりしていました。不思議と僕のフリースクールでは(そもそも受験しなかった生徒を除けば)高校合格率は100%で、誰かが合格すると「祝合格!」という紙が張り出されていました。
また、僕は高校受験のときに面接試験があったのですが、その模擬面接の時間もきちんと取ってくださいました。時間はたっぷりとあるので、扉を開ける作法から実際に出るであろう質問までみっちりとやりました。時には僕自身が同級生の面接官となって(!)模擬面接したこともありました。
おかげで、本番ではほとんど緊張することなく面接に臨めました。それも根気強く面接練習に付き合ってくださったスタッフのおかげだと、感謝しています。
正直、僕はこのフリースクールで一生懸命勉強を頑張ったかどうかと言われたら、答えは「ノー」です。同級生につられてよく外へ野球しに行ったり、ゲームに興じていた思い出のほうが濃いです。
僕にとってフリースクールは、どちらかと言えば人付き合いや関わりを学ぶ場だったのかもしれません。それもひとつの「勉強」だと言われればそうなのかもしれませんが、今思えばそんなに勉強した記憶が無いのに今があるのはある意味奇跡じゃないのか?と思ったりもします。
フリースクールによれば、学校復帰を念頭とした場所ではもっと勉強することを奨励されるかもしれません。逆に「不登校の子どもの居場所」というコンセプトならば勉強しなくても何も言われない場所もあります。このあたりはピンキリなので、気になれば直接問い合わせることをオススメします。
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