結局、フリースクールってどんなところなの?―その2:行事編
先週から書き始めている、僕のフリースクールでの体験談。今週は行事について書いていこうと思います。
(その1:勉強編はこちらからどうぞ)
僕は実際にフリースクールに5年ほど通っていましたが、その後別のフリースクールにスタッフとして関わっていたこともあります。
そこで共通していたのは、「誕生日はきちんと祝う」ということ。
普通学校のクラスでは、友達同士で「誕生日おめでとう!!」と言い合うことはあれど、たとえば朝の会や学級会で「今日は○○さんの誕生日です!!」とケーキが出てくることはまずありません。しかしフリースクールでは、この誕生日という文化をしっかり祝う傾向があります。
手作りのケーキとろうそくが出てきてみんなでバースデーソングを合唱する、お昼ごはんをその月(日)誕生日の生徒が決めてみんなで作る、など多種多様なやり方はありましたが、毎月どこかのタイミングで必ず誕生日会が開かれていたことに変わりはありません。
あまりこのことについて深く考えたことはありませんでしたが、どんなに忙しくても毎月誕生日会の日取りだけ確保されていたのは、誕生日という年に1度の大きな節目で、子どもたちにある種の「自己肯定感」を育ませている、ということなのかもしれません。
きちんとお祝いすることで「この世界であなたが生きていても大丈夫」「この場所にいてもいいんだよ」と安心感を与えることができる。そうして当人は先生や他の生徒などから認められている、という感覚を味わえます。
そして、祝う側の生徒も、誕生日会のセッティングや一緒にケーキ・料理をつくることで、誰かの役に立っている感覚を味わえることができます。フリースクールにおける「誕生日会」の役割は、とても大きいものがあったんだ、と今なら納得できます。当時は料理など面倒だなあとか思っていましたが・・・。
誕生日会のほかに、ほぼひと月に1度は校外学習へ出ていました。
この「校外学習」は本当に様々でして、たとえば奈良の古墳群あたりをサイクリングしたこともあれば、バッティングセンターや運動公園で身体を動かす、映画を観るなどなどかなりいろんなところへ行きました。
僕が通っていたフリースクールではこれ以外にも年に1度研修旅行に出掛けていました。これも行き先は北海道や沖縄など年ごとに違っていて、そこそこ長期間の宿泊が伴います。僕は北海道の研修旅行に参加しましたが、途中の自由行動でみんな小樽を巡る間ひとりで札幌に出向きました。
ほかに小樽を自由行動していた班が迷子になったのに対して、僕はきちんと時間内に札幌から小樽に戻って合流できたので、先生からどういうわけか握手で迎えられて非常に照れくさかったのがいい思い出です。
不登校の子どもたちは、外に出ることが苦手です。ひとりで行動するとどこで誰に会うか分からないし、変な目で見られるかもしれない。そういった意味では、こうして団体でいろんな場所へお出かけするのは、一見すれば学校の小規模の遠足なので、かなりハードルが低い外出だといえます。
ひと月に1度というやや高頻度の校外学習は、子どもたちを外の世界へ誘う側面も持ち合わせています。
そして、秋には運動会を行うところもあります。
普通の学校の運動会だと、たとえば徒競走はあらかじめきちんと組を分け、一度走ったらそれでおしまい。ですが僕のフリースクールの運動会では、時間の範疇なら何度でも発走することができました。そしてほとんどの生徒が家族総出で参加していたので、お昼休みは家族で弁当を囲むのも風物詩でした。
「おおーっと、今度は○○くんとお父さんの親子対決だ!」というシーンも度々あって盛り上がることも。また、みんなでソーラン節の表現運動を披露するのも恒例行事になっていました。これが毎回保護者の方にも大好評で、何度か商店街のお祭りなどでも発表したことがあります。
運動会で身体を思いっきり動かすことはストレスの解消にもなります。また、前述のように家族の方も積極的に競技に参加してくださっていたので、家族同士のコミュニケーションと言う面でも役立っていたように思います。もっとも翌日は激しい筋肉痛に悩まされる方も多かったようですが・・・。
これら校外学習や運動会に共通していたのは「自由参加」ということ。その場所へ行きたくなければ行かない、この競技をやりたくなければやらない、という選択肢も受け入れられています。
当然運動会におけるソーラン節も全員強制参加ではありませんでした。僕はこういう表現運動が苦手だったので、1度も踊ることはありませんでした(その割に真面目に練習は毎回見学していたので、踊りはすっかり覚えてしまいましたが)。
前回の「勉強編」でもそうでしたが、「いつでも参加できる環境」をしっかり整えて、実際に行くか否かは個人裁量に留められている、というのがフリースクールにおける行事の特徴です。「本人の思うまま」が尊重される場所ということが言えるでしょう。
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