「暗い顔」でいないことが、不登校の我が子を勇気づける

教育実習中、ひとつ心に決めていたことがありました。
それは子どもたちの前ではできるかぎり暗い顔をせず、明るく接しようと。
ちょっと前、子どもたちの集まりに参加したとき、行きの電車で忘れ物をしてしまいものすごく凹んだまま場に参加したことがありました。そのとき「あそぼー!」なんて言われても忘れ物のことが頭に残ったままでその場を楽しめず、暗い顔をしてたたずんでしまったことが教訓です。
自らその場を楽しんでいれば、おのずと参加者や子どもたちも楽しくなるはず。まあ僕の場合、楽しみすぎて他のスタッフや参加者に迷惑をかけてしまうことも多々あるのですが、それでも暗い顔でやる気なく参加するよりかはマシだ、と考えています。
そういえば教育実習中お世話になった大ベテランの先生が、「オレの授業、先生ばっかり楽しんでるってよく生徒に言われんねんなあ」とおっしゃっていたのですが、それって重要なことですよ、先生が楽しくなかったら生徒も絶対楽しくないですもん、なんて話をしていました。
自らその場を楽しむ、という意識づけは、ほかの参加者や子どもたちに「なにか自分のせいでがっかりさせてしまったのではないか」などと不安を煽ることを防ぐ、という考え方もできます。
最近、この意識づけは間違っていない、と再認識したことがありました。
北海道テレビの超人気番組『水曜どうでしょう』でカメラを担当していた嬉野雅道ディレクターの『ひらあやまり』というエッセイを読んでいたのですが、そこにある不登校の子どものお話がありました。
その子どもはある日突然学校に行けなくなり、母親が精神科のお医者さんに相談するのですが、子どもはどうしても医者に行きたがらない。ならばお母さんだけでもカウンセリングしましょう、としばらく母親のみのカウンセリングが続くのですが、ある日子どもは突然自らの意志で学級復帰するのです。
子どもは1度もカウンセリングに姿を見せなかったのに、なぜこんなことが起こったのか。
嬉野ディレクターはこう考察しています。
お母さんは、ぼくのことを怒っていない、お母さんは、ぼくのことで悩んでいない、お母さんは、ぼくのせいで泣いていない、お母さんは元気にしている、お母さんには不安がない、ぼくの家には不安がない。そのことの目撃の繰り返しが、子どもに「自分には不安がない」と、いつか確信させたのかもしれません。その確信が、子どもの心から漠然とした不安を拭い去ったから、だから子どもは自分から学校へ戻ることができたのかもしれない。そう思うのです。
引用:嬉野雅道(2015)『ひらあやまり』KADOKAWA/中経出版 P25
医者とのカウンセリングを通して、不登校の子どもではなく「不登校の子どもの母親」の不安を解消した。それによって母親は家庭でも不安なく家族に接することができるようになって、おのずと子どもの不安も解消することができた。
これって、ものすごく大事なことだと思うのです。
子どもは、親が思っている以上に「親の顔」をよく見ています。学校に行けなかった日、親の顔を見たらなんか暗いように感じた。それは自分が学校に行かなかったからかもしれない・・・と「親の顔を暗くした」責任を背負い込むことだってあります。
もちろん、過度に明るく振る舞う必要はありません。ただ、自然に(これがまた難しいところですが)、家の中でも暗くしないよう心がけるだけで後ろ向きな子どもを勇気づけることができるかもしれない、と嬉野ディレクターの文章を読んで感じました。
感情というものは他人に伝染するものです。たとえば、レストランなどで店員のサービスが行き届いていないと怒る人を目にすると、僕はどうしても気分が落ちてしまいます。逆に隣で笑っている人がいれば、自分も幸せになったり楽しくなった、なんてこともあります。
それはお店じゃなくて、家庭であっても同じなのだろうと思います。
我が子が今日も学校へ行かなかった、と暗い顔をするのではなく、「学校へ行かなかったけど、まあいいか」と考えを切り替えて普段通りに子どもを受け入れてみる。その接し方ひとつで、「今日も行けなかった」「親に迷惑をかけている」と罪悪感に苛まれる子どもが、ふっと気楽になれるかもしれません。
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