学校がしんどい子どもたちに「クラスメイトと無理に関わるな」と言っても、あまり意味がない理由

「学校がしんどい子どもたちになにか一言」、というインタビューを、最近良く見かける気がします。その中には、かつて不登校を経験した有名人や文化人はもちろんのこと、まったく不登校という話を聞いたことがない人気者までコメントを寄せていることもあります。

この間、「クラスメイトなんて友達じゃない」というような中身のコメントを読みました。だからこそ、クラスでひとりぼっちでも「友達じゃない人といかに平穏に暮らす練習ができるのが学校じゃないか」と続いたコメントには、確かにそうかもしれない、と頷きました。

そして、不登校経験のあるマツコ・デラックスさんは、「クラスメイトと無理に仲良くする必要はない」と割り切った上で、先生に会いに行く感覚で学校へ戻ったそうです。

もちろん、こうした形の学校復帰の形や先のコメントを、僕は否定するつもりはまったくありません。

ですが、「クラスメイトと無理に関わらなくていい」「友達なんて要らない」というのは、正直言って今の「学校」という場ではあまりにもハードルが高すぎるとも思うのです。

というのは、いまの学校生活において、クラスメイトとの関係を完全に断ち切った上で、誰とも話さず黙って机に座って1日を過ごすことなんてまず不可能だからです。

いや、1日「だけ」なら大丈夫かもしれません。しかし、1週間、1ヶ月、となったら確実に無理です。

なぜかといえば、たとえ黙って授業だけを受けて過ごしたとしても、学校という場所は「集団生活」を強要してくるからです。学校のシステムからして当然な話ですが、たとえば給食の配膳、授業間の移動など、学校にいる間ずっと黙って机に座っているわけにはいかない時間というものが必ずあります。

おそらく、黙って机に座って授業を受けるだけで良いのならば、いまの不登校の児童生徒数はいくらか減ると思います。しかし、学校はそれだけできれば許してくれるような場所ではありません。時として、ほかのクラスメイトと協力せざるを得ない場面や行事が、次々とやってきます。

たとえ周りと合わせるのが苦手でも、クラスメイトと仲良くしなければ万事解決したとしても、ひとりだけ給食当番をやらない、というわけにはいきません。日直当番をサボることも許されません。つまり、教室の中ではどれだけ孤立を望もうとも、周囲がそれを許してくれないわけです。

これは、学校自体が、授業に限らずほかのクラスメイトと集団生活を送ることで協調性を学ぶようにできているために、どうしようもないことだと思います。そしておそらく、この協調性という面によって、学校がしんどかったり居場所がないと感じる子どもも多いのだと思います。

こんなことを書けば、こうした「苦手な人といっしょに何かをやること」も人間関係を築く上で大事なことなんじゃないか、という指摘が来ると思います。実際、僕はどちらかといえば苦手な人と何かをやることがかなり苦手なので、こういう能力の必要さを痛感しています。

しかし、逆に言えば、「苦手な人ととことんかかわらない」能力も、大事だと思うのです。

登校して誰とも話さず授業を受け帰宅することも「苦手な人ととことんかかわらない」能力ではあります。しかし先述したように、学校では当番活動など、否が応でも生活する上でクラスメイトと関わらざるを得ない場面がたくさんあります。それを避けることはかなり難しいことです。

だからこそ、苦手なクラスメイトと関係を断ち切るために「学校へ行かない」という選択肢を取る。これは自然なことではないでしょうか。

この世の中は、なにも学校と家庭だけでしか人間関係が築けないわけではありません。その気になればいろんな世界を覗くことができます。それがたとえば近隣の児童館かもしれないし、弊団体の「TRY部」のような子どもと大人がいっしょに集まる場所かもしれない。

「他人との協調性」は、そういう場所でも学べます。なにも苦手なクラスメイトといっしょじゃなくても良いのです。

僕はこうして「学校へ行かない」「苦手なクラスメイトからドロップアウトする」という選択肢を取るほうが、よっぽど「クラスメイトと無理に関わらなくていい」というメッセージを強烈に伝えられると考えます。

嫌な人間関係に無理矢理付き合っても、なにもいいことはありません。むしろどんどん疲弊していくだけです。

もちろん、身体にむち打って、孤独な学校生活に向けて毎朝家を出ていく子どもたちも多いと思います。通学路の道のりは果てしなくしんどいかもしれません。それでもなお、「黙って机に座って授業を受けていればいいんだ」とそんな子どもたちに声をかけることなんて、僕にはできません。

ひょっとしたら4月のクラス替えで事態が好転するかもしれません。でもあと半年、クラスで孤独な戦いを強いられるのであれば、思い切ってその場から離れる、というのも選択肢のひとつです。

もしも「我慢して、クラスメイトと関わらなければ良い」なんて言われたとしても、教室の雰囲気が悪かったりクラスメイトの目がきになるなど、今の状況が本当にしんどいのであれば、躊躇わずに登校を止めるべきだと思います。

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    この記事を書いた人

    子どものころより人一倍敏感な特性を持ち、中学3年間を不登校で過ごす。大学卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画し、現在は通信制高校教員を両立しながらTRY部や不登校講演事業を中心に担当。HSP(Highly Sensitive Person)特有の繊細さを活かし、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。

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