不登校で悩む保護者のデクノボーになりたい。
あれは、たしか小学5年生のときだった。
塾で、宮沢賢治の『よだかのほし』を読んだ。
そこから宮沢作品にハマり、たくさんの作品に目を通した。
「宮沢賢治は、自分がしんどくて死にそうなときにでも、地域の人が困っているから助けたんだ」
塾の先生にその話を聞いたとき、子ども心に「宮沢賢治、カッコイイ!」となって、その頃から僕の憧れは宮沢賢治になった。
今、世の中には不登校で悩んでいる保護者さんがたくさんいる。
不登校の小・中学生は、全国に、134,398人(文部科学省)もいる。
親族を合わせると、その3倍近くの人たちが不登校で悩み、苦しんでいる計算になる。
不登校は、まるで交通事故のようなもの。
予兆もなく、突然おこる。
「え? うちの子が?」となり、心の準備をする暇もない。
分からないことばかりで、オロオロする。
「どうしたらいいの……」と不安になるし、とにかく困る。
急に後ろからぶつかられたような感じ。
全国的に不登校支援はまだまだで、我が子が不登校になっても、頼られるところはほとんどない。
カウンセラーは予約待ちだし、不登校支援をしている団体も足りていない。
フリースクールは、有象無象で、どこが安心して任せられるところなのかの情報も少ない。
不安で困ったとき、寄り添い、温かい声をかけてくれる人がいればどれだけ安心できるだろう。
僕は、不登校は跳び箱のジャンプ台みたいなものだと思っている。
不登校は、助走期間だ。
高い壁を飛ぶための準備期間で、踏み切ったあとには、今まで見えなかった新しい世界が広がっている。
実際、僕が見ている子たちは、大きく羽ばたいている子たちが何人もいる。
不登校は不幸でもないし、必要以上に嘆く必要もない。
でも、やっぱり学校行くのが当たり前だと思っている人たちからすれば、「え?」と戸惑う。
当たり前が当たり前ではなくなったとき、人はただただ狼狽する。
学校へ行かないという選択をそもそも知らないし、「これからどうなってしまうのだろう……」と不安になることだろう。
僕たちの団体にも、毎日のように相談メールが来る。
「学校へ行けなくなってしまったのですがどうしましょう」
「子どもにどんな声をかけたらいいでしょうか?」
親御さんも初体験なので、分からないことだらけだ。
僕たちは関西(滋賀)で活動しているけれど、最近は東京からの問い合わせも多い。
聞くと、「東京でも全然足りていないんです」と保護者さんがおっしゃる。
そこで、関東でも初開催の講演会をおこなうことにした。
今までは、どこかの団体さんに呼んで頂いたもので、非公開だった。
今回は、初めての公開イベント。
関東でイベントをおこなったことはないし、僕たちの団体を知っている人もほぼ皆無だった。
にも関わらず、当日は24人もの方々にご参加いただいた。
埼玉での開催だったが、群馬や遠方からの参加者もいるくらい、大盛況だった。
東京や関東には、たくさんの団体があって、不登校の保護者さんはそれほど困ってはいないだろう、という思い込みは、大いなる勘違いだったことを気づかされた。
限られた時間なので、話したのは、『不登校基礎入門』といった内容。
“不登校によくある勘違い”や”よく分かる不登校”について。
当日のスライドは、下記。
終わったあとも盛り上がりを見せて、カフェに行ってからも質問は止まなかった。
「お話を聞いて安心できました」「不安が減りました」という声をいただき、関東まで行ってイベントをおこなってほんとに良かったと思った。
(埼玉の方々がイベント準備など、たくさん奔走してくださいました!!!)
僕は、小学生のときから、何度も何度も読み返している宮沢賢治作品がある。
それが、『雨ニモマケズ』だ。
【雨ニモマケズ】
雨にも負けず 風にも負けず
雪にも 夏の暑さにも負けぬ 丈夫な体を持ち
欲はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に 玄米4合と 味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに よく見聞きし 分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の小さな茅葺き小屋にいて
東に病気の子どもあれば 行って 看病してやり
西に疲れた母あれば 行って その稲の束を負い
南に死にそうな人あれば 行って 怖がらなくてもいいと言い
北に喧嘩や 訴訟があれば つまらないからやめろと言い
日照りの時は 涙を流し
寒さの夏は おろおろ歩き
みんなにデクノボーと呼ばれ
ほめられもせず 苦にもされず
そういうものに わたしはなりたい
不登校で悩んでいる保護者さんは、全国にまだまだたくさんいる。
僕たちが全然手が届いていないほど、たくさんいる。
まだ見ぬ人たちがたくさんいるのだ。
まだまだいるのだ。
僕は、不登校で苦しんでいる人たちのデクノボーになりたい。
自分自身も不登校で苦しんだ。
だからこそ、出来ることがあると思っている。
『雨ニモマケズ』のような、そんな存在に僕はなりたい。
東に不登校で苦しんでいる子どもあれば、行って、「大丈夫だよ」と言い
西に不登校で疲れた母がいれば、行って「心配しなくていい」と言い
南に不登校でどうしたらいいか分からない人がいれば、行って、「子どもは決して劣っていない」と言い
北に不登校で自分が嫌いになっている子がいれば、行って、「君は君で素晴らしい」言い
悩んでいる保護者とは、一緒になって涙を流し、寄り添う。
みんなにデクノボーと呼ばれ、
ほめられもせず 邪魔者にもならない
そういうものに わたしはなりたい
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