反抗期は人間関係を自分なりに編みなおす大切な時期

「もしかして僕たちは、子どもにかまおうとしすぎてんるんじゃないか?」
こんにちは、スタッフの得津です。
先日、大阪である研修を受けて、このように思うできごとがありました。
どんな研修かというと、「サークルズ」という人間関係の親密さや距離感を学ぶプログラムです。
サークルズ参考HP
虹色で6色の同心円があり、円の中心に自分がいて、隣には両親や恋人、その隣には親友、4番目の円には友達、5番目の円には知り合い、最後には他人がきます。両親や恋人には抱きつくけど、他人にはしないよね。距離感に応じて関わり方って違うよね。という具合に、関係性の違いによる距離感を視覚的に理解できるプログラムです。パーソナルスペースに近いものかも知れません。
これを聞いて思ったんですよね。
「もしかして僕たちは、子どもにかまおうとしすぎてんるんじゃないか?」
なんなら、
「もしかして僕たちは、子どもに勝手にかまおうとしすぎてんるんじゃないか?」
先ほどのプログラムでは、自分の隣の円にくる近しい人は両親や家族、恋人だとされています。
両親や家族には何でも話せるし、ひっついてきても自然に受け入れられると。
「えっ?そうかなぁ。」と思ったわけです。そしたら、講師の人がおっしゃってくれました。
あくまでこれは一般的なものであると。そして子どもの成長に応じて、それぞれの円の中に入る人は変わってくるんだと。
そうですよね。小さい時はよくひっつきにいきましたが、小さい時だけです。話す内容もそうです。
中学生の時に、当時自分の悩みの大半を占めていた好きな人の話なんて一度も親に話したことはありませんでした。
かろうじて親友に相談したかなぁ・・・という具合です。
中学生の僕にとって、自分から一番近しい存在は間違いなく親友でした。
とはいえ、何でも話せる存在ではありませんでした。僕の恋の話は、悩みがピークに達するギリギリまでどこに話せば良いのかわからなかったし、当時の僕は好きな人の相談なんて恥ずかしくてできないから、話したくないトピックでした。
僕自身の話にそれましたが、サークルズが示す人間関係とその距離感は、変わっていくものであるし、その変わり方には特徴があるそうです。
円の内側に入るのにはお互いの了承がいるけど、外側に出すのは自分の気持ちだけでいい
友だちをつくるときはだいたい何度かしゃべったり、一緒に帰ったり、「遊びに行って良い?」「うん、いいよ」って言ったりしながら友だちになっていきます。好きな人には「付き合ってください」と言って、OKをもらわないと恋人同士になれません。フェイスブックだって、友だちになるには申請を受けた人の許可が要りますよね。お互い円の内側に入るのはなんらかの了承がいるのです。
しかし、円の外側に出すのは自分の気持ちだけでいい。親友と思っていた相手でも、嫌なことをされたら避けたくもなります。内緒の話をバラされたら、「もうあなたにはこんなこと相談しない!」という気持ちになります。「私の秘密の相談を勝手にしゃべられて気分を損なったので、あなたにはこのような相談は今後しないですがいいですか?」なんて了承はとらないんでしょう、普通。
恋人に対して別れ話を切り出す時でも、心の中では話を切り出す以前から一つか二つ円の外に相手をおいているはずです。
円の内側に入るのにはお互いの了承がいるけど、外側に出すのは自分の気持ちだけでいい
僕の中学時代の話に戻ると、僕は親を自分の近しいところから少し離れたところへ勝手においていました。
小さい頃とは違って、親に対して話したくないと思うことや踏み込まれたくないと思う事を持っていました。そこを踏み込もうとされると、反抗したりイヤな態度を示したりしていました。
僕が先生をしていた時に出会った生徒たちも、今の教室に来ている生徒たちも実は同じことをしているんじゃないかと思うんです。
子どもが小さい時にたくさん懐いてきたから、この子とはかなり近い関係だと自分の中で思って日々を過ごしていても、ある時にふっと「あれ?なんか違う」と感じることがあります。
「おかしいな、前はこんな風じゃなかったのにな」って。
それは、相手が心の中で自分との距離をおいた証拠なんです。自分が思う相手との距離感と、相手が思う自分との距離感にギャップがある。ギャップがあるから、本来近しい関係でするような慣れなれしい関わり方をされるとイラっとする。たとえば学校の様子を聞いても答えてくれない。スキンシップを取ろうとしたら避けがちになる。
反抗期の正体って、この距離感の認識に対するギャップではないでしょうか。
じゃあ、一度外側に出されたらもう以前のような親しい関係になれないのか。それは違います。
いま自分は親に結構いろいろ話をします。中学生の時は嫌だった買い物も一緒に行きます。
反抗期や思春期は第2の誕生といわれ、「自分」や「自我」をはっきりと持ち始める時期です。
だからこそ、今までに得た関係を自分の中でもう一度編みなおすのです。
自分で自分の心地よい関係をつくっていくのです。
自立するとはそういうことです。
ですので、思春期や反抗期のお子さんをもつ親御さん、低学年でみた生徒を高学年で受け持つことになった先生、そのほか久しぶりにその子と会うことなった皆様。
スキンシップつもりが怪訝な顔をされたり、「あれ?なんか前と違うな」と感じたりしたら、距離感の認識にズレがあると思ってください。
小さい時に子どもと関わったように、「何かしてあげたい欲」や「関わりたい欲」が出るかも知れませんがそこはグッとこらえていただいて、1人の友だちに接するようにしてください。嫌われたわけじゃありません。子どもなりに手探りでお互いに心地よい距離感というのを探っているんです。自立しようとしているんです。
だから、我々大人としては手をかけるのではなく、目をかける、見守ることをしてやりましょう。