親としての自信はゆらいでいい

こんにちわ、スタッフの得津です。
先日、お世話になっている方から僕に連絡がありました。
「子どもの自尊感情について、白書などで調査されていましたが親御さんの自尊感情はどうなんでしょう……何か感じられることはありますか?」という内容でした。
親御さんの自尊感情について、
個人的にも、一度考えたいなと思っていたテーマですし、
きっちりしたデータなどではなく、自分の所感でもいいとのことだったので、
今の自分が思うところを文章にして送りました。
以下、僕が送ったメッセージに加筆修正を加えた内容です。
(子育て中の親御さんが読むと、「わかってないな」とか「これは違うぞ」ということもあるかも知れません。あらかじめお断りを。)
”親としての自分”の自尊心には「ゆらぎ」の時期がある。
まず親御さんの自尊心(自尊感情やら自信)というものは、子どもの成長と共に育っていくものだと僕は考えます。
なぜなら、初めて会社に行った時に”社会人としての自分”が生まれたように、子どもができた(お腹に宿した)時に初めて親としての自分が生まれます。
この親としての自分が生まれた瞬間は自尊心につながるような経験を何も積み重ねていませんが、子育ての様々な出来事を時には失敗したり、周りを頼って乗り越えたり、お子さんが出来なかったことができるようになった姿を見たりする中で、「あぁ、私は間違ってなかった」とか「最初は困ったことばっかりやったけど、成長を見るのがすごく楽しい」というような親としての喜びや充実感と共に自尊心が育っていくんだと思います。
ただ、子育てに”困ったこと”はつきものです。仕事でも何でもそうですが、何もかも順風満帆には進みません。そんな”困ったこと”にぶつかった時に親としての自尊心が「ゆらぎ」ます。自尊心が安定せず、不安定な状態ですね。
誤解なさらないで欲しいのですが、このようにして揺らぐことは自然なことです。
”親としての自分”はゆらいでいいし、「ゆらぎ」の期間を経るからこそ、親としての自分や自尊心が確立されていきます。親としての自信はゆらいでいいのです。
さて、困ったことについてですが、
それぞれの学齢期に応じた困ったことがやってきます。
やっと離乳食に進んだと思ったら、野菜を食べない!?
やっと小学校に進んでほっとしてたら、合わない友だちがいる!?
ついに高校受験かー・・・
などなど。 (乳幼児期のほうが、直接親御さんが関わる事柄が多いかも知れませんね。衣服や食事、排泄など生活に関わることがたくさんありますから。)
この困ったことは先ほど述べたように
親御さんが工夫したり、
時には失敗したり、
おばあちゃんに預けてみたり、
友だちや先生に相談したり、
お子さん自身ががんばってみたりすることで解決されます。
しかし、困ったことを乗り越えることが難しく、親としての自分が「ゆらぐ」状態が長くなり、結果として自尊心が低い状態にいる親御さんがいます。
自尊心の「ゆらぎ」の時期に押しとどめられている親御さんがいる
共働き、あるいはシングルマザーのご家庭が特にその傾向があるのでは、と僕は感じています。※内閣府の調査で共働き世帯は増加傾向にあり、14年度は1,077万世帯です。
女性の社会進出が求められる現代社会において、子育ても仕事も両立させるというのはなかなか難しいように思います。実際、僕のSNSのタイムラインには難しさに頭を悩ませている方の投稿が流れてきます。
親御さんは決して自分から望んで「ゆらぎ」の状態にあるわけではありません。
当然です。
ではなぜ、このようなご家庭の親御さんが自尊心が低い状態になってしまうのかというと、仕事乗り越え方が分からないとか、子どもと関わる時間が十分にないなど様々な理由が考えられます。
しかし、大きな理由の一つとして、
仕事がある→あまり子どもと関われない→でも関わってあげたいし、より良い関わりも知りたい→けれど、子育てセミナーは仕事で時間が合わない→また仕事が始まる
というような「なんとかしたい!けれども仕事が。もう!」
というジレンマに押しとどめられてしまうということが考えられるのではないでしょうか。
さらには、このジレンマとよって、”仕事と子育てを両立できないダメな自分”という自己イメージを持ち続けてしまうことが二つ目の大きな理由だと考えます。
また三つ目の理由として、忙しさゆえに頼れる人が限られて、ほとんど孤軍奮闘のような状態にあるということも考えられます。自尊感情を構成する4つの要素に、社交性感覚というものがあります。ようは友だち同士のつながりのことで、子どもだけじゃなく親御さんにとっても友だちや、いざというときに頼れる存在は、親御さんの自尊心という点からも非常に重要です。
だからこそ、孤軍奮闘している親御さんの力になりたいし、力になっている団体を応援します!
「ゆらぎ」の状態にある親御さんのしんどさは、想像にかたくありません。もう十分に頑張っています。十分すぎる程がんばっています。
自尊心が「ゆらぎ」自己イメージの下がった状態にある親御さんが、”親としての自分のゆらぎ”から脱するためには、周りからの手助けや声かけが大事なんだと思います。頼れる人を自分で探しにいく時間がないのですから、こちらから出向くしかありません。
親御さんの力になろうと様々な取り組みをしている団体がたくさんあります。
僕たちだってその一つです。まだまだ認知の面では低く、認知されていても手が届いていない状態にだってあるでしょう。
だからこそ届けるための方法を工夫し続けていきますし、他の団体も応援しています。
どんな物語でもそうですが、主人公が自信を無くしたとき、主人公に寄り添う人物がいるから自信を回復していきます。
余談ですが、僕はワンピースがとても好きです。ワンピースでは、主人公のルフィが自信を無くして自暴自棄になったとき、ジンベエというキャラがルフィについていました。特に何をするでもなく、ただ見守っているだけでしたが果たす役割は大きかったと思います。
面白いのが、ジンベエは厳密にはルフィの仲間ではないという点です。ちょっと外側というか、ナナメの位置というあたりにいるキャラなんです。自信を回復する時に寄り添うべきは、相手が普段接する人ではなく、ちょっと離れた所にいる人がいいのかも知れません。