子どもを預けたいと思っても難しかった。だから自分が学んで変わることを選んだ。

「成績を上げるために塾に入れたり、仕事で帰りが遅くなるから学童に預けたりするように、不登校になってもフリースクールに子どもを預けることもできたと思うんです。でも、そうではなくて自分が不登校や人の特性について学ぼうと思ったのはどうしてなんですか?」
「自分が学ぶしかなかったんです。もちろん、D.Liveさんのフリースクールなんかも子どもに勧めました。でも、子どもが行くとは言わなかったので。」
そう答えるお母さんの目から強い決意を感じた。
2月におこなう「不登校のおはなし会in滋賀」の打ち合わせで、ぼくはお母さん二人とランチをしていた。二人ともD.Liveが主催する不登校の講座やおはなし会に以前から来てくださっている方々だ。2月の「不登校のおはなし会in滋賀」では、お二人に「子どもの不登校を機に学んできたこと」をテーマに話題提供をお願いしたので、当日の打ち合わせを兼ねてランチをする運びになったのだ。
D.Liveの講座に参加し始めた頃は「なにか子どものことでヒントが得られるのでは」と、すがるような気持ちで参加していたと教えてくれた。頼んだランチに手をつけるのも忘れて、ぼくはお二人の話に夢中になった。
不登校に関するいろんな講座に参加する中で、とにかく聴くことに徹して子どもに関わることや、HSPという他の人よりも音や匂いなどの刺激に繊細な特性を持つ人について知ったことなど、お二人が学んだことや自分なりに実践されてきたことを伺った。
お二人とは2年以上前から付き合いがあるにも関わらず、子どもの不登校を機に学んだことについては、初めて聴く話ばかりだった。思い出したように口に運んだランチはもう冷めていたけれど、そんなことは全然気にならなかった。話題は、お子さんやお子さんとの関係の変化に移った。
相手の話をとにかく聴くことや、子どもの特性に合わせた関わりをおこなうことで、随分と変化があったそうだ。今では、お子さんは進路を決めたり、あるいは家族で旅行に行ったり、ご家庭ごとに「もう、こういうことは難しいと思ってたんです。」なんてことができるようになっていったそうだ。
「田中さんに聴く、聴く、聴くと教えてもらったからです。」と、代表の田中を話題に出してくれると、こちらとしてもお役に立てて嬉しい。
これまで、何度も不登校のお子さんを持つ保護者さんを向けて、「不登校のおはなし会in滋賀」や不登校について学ぶ連続講座を開催してきた。これらに足を運んでくださる保護者さんを見るたびに、頭がさがる思いになる。
というのも、立教大学に中原淳という教授がいる。中原先生は社会人の学び、特に企業で行われるような人材研修を中心とした研究をされている。
中原先生は著書『働く大人の「学び」の教科書』の中で、人生100年時代にあって、これからの大人は学び直しが必要になる。それはこれまで登ってきた山を下山して、別の山を登るようなものだ。そして、学び直しは痛みを伴うという趣旨のことを書かれていた。
実際その通りだとぼくも思う。
これまで勉強してきたこと、当たり前だと思ってきたこと、効果があると思ってきたこと。これらを疑い、新しいことを学ぶのは簡単ではない。それが自分に近しい事柄であればあるほど、新しく学び直すときは半身がちぎれるような思いだろう。
時に泣き、時に励まし合い、時に失敗もしながら、学び、また新しいチャレンジをされている保護者のみなさんの姿を、D.Liveの講座の中で何度も見てきた。
辛いこともあっただろう中で、それでも学び続けて、自分のフレームワークを刷新し、子どもとよりよい関係を築いていこうとする皆さんに頭がさがるし、哲学者の内田樹にならって知性的な方々だとぼくは言いたい。
以前参加した内田先生の講演の中で、「いくら入力されても根本の枠組みが刷新されない。二十歳くらいに設定したフレームワークからまったく出られない人。無知の枠組みに捕らえられている人たくさんいます。知性の働きはフレームワークを刷新して次に行くことです。自己刷新をすることが知性です。」と、先生はおっしゃっていた。
痛みを伴うようなフレームワークの刷新は容易じゃないけれど、容易にする方法はある。
ご機嫌でいることだ。
ランチをしながら打ち合わせをしている最中、お二人とも楽しそうにお話しされていた。「こんなことを学んで、自分なりに整理してみたの。」と、ノートを開いて学んだ事柄を丁寧に説明していただいたり、お二人で参加された講座のエピソードを話してくれたり、とにかく話が尽きなかった。
ご機嫌なとき、人のパフォーマンスは最大化する。経験的にも科学的にもこれは間違いない。だから、ぼくがPTAや教育委員会に招かれて講演をするときも最後は必ず、皆さんご機嫌でいてくださいと予祝を贈るようにしている。
ご機嫌でいること、自分なりの楽しさを見つけることが学び直しを促す。
でも、実は学び直しを促すのはご機嫌であることだけじゃない。もう1つある。それも、お二人との打ち合わせから感じたことで、それが何であるかは2月9日(日)の「不登校のおはなし会in滋賀」でお話ししたい。
■ こんなかたにオススメ
・子どもにいま必要なことは何なのか探している
・カウンセラーに「今は休ませましょう」と言われたけど、何かしてあげた方がいい気がしている
・不登校に関する情報が全然見つけられなくて困っている
・不登校に関する悩みを相談できる相手をさがしている
・子どもとのコミュニケーションが上手くいかないなと感じている
■ イベント詳細
◎日時
2月9日(日) 14:00~16:30 (受付13:30〜)
◎参加費
1000円
◎プログラム
・自己紹介
・ゲストスピーカーの話題提供
・質問タイム
・参加者みんなで話す時間
・ふり返りやアンケートなど
◆ 話題提供
今回はD.Liveが主催する不登校のおはなし会に初回(2年半前)から参加してくださったお母さん二名(高1男、中3女)に、これまでお二人が不登校について学んだことを話題提供していただきます。
◎定員
10名
◎会場
マグハウス(JR瀬田駅から徒歩3分)
滋賀県大津市大萱一丁目9−7ワイエムビル202
https://maghouse.jimdo.com/access/
[駅からマグハウスまでのアクセス動画]
https://youtu.be/u063wK8eBg0
◎お申し込み
・メールでのお申し込み
件名を「2/9 不登校のおはなし会参加」とし、
本文に、お名前・ご住所・ご連絡先を明記のうえ、info@dlive.jp にメールをお送りください。
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主催
NPO法人D.Live
お問い合わせ先
info@dlive.jp