本当に「不登校を解決したい」とお思いなら、まずはその「解決したい」気持ちを捨ててください。

書店や図書館で不登校に関する書籍が並ぶコーナーに足を向けると、決まって目に入るのが「不登校はこうすれば解決する!」などといった、「解決」という文言が含まれた本。実際「不登校 解決」というワードでGoogle検索する保護者の方も少なくないようです。

なにか問題が起これば解決する方向を模索する、というのは不登校に限らない話です。いつまでも問題を放置しておけば、やがてたいへんな事態を巻き起こしてしまいます。

ですが、こと不登校に関しては、その「解決」という2文字が足かせになってしまうことがあるのも事実です。焦れば焦るほど泥沼にハマってしまうことも、まったく珍しいことではありません。

そもそも、「不登校が解決する」とは、どういう状況を指すのでしょうか?

子どもが不登校になった、学校に行きたがらなくなったとき、親はなんとかして子どもを学校へ戻そうとします。とにかくどんな形でも子どもが毎日学校へ行くこと、それこそが解決だと信じてやまない保護者の方もいるかもしれません。

でも、仮に学校復帰したところで、子どもが本当は「学校行きたくないのになぁ」と思っていたり、親からの「学校行きなさい!」の声に負けて渋々しんどい思いをしながら学校へ行っていたとしたら、どう思われますか?

断言しますが、それは「解決」したと到底言えません。

先週も書きましたが、日本財団の調査では、学校に対してしんどい思いをしながら日々通い続けたりするなどいわゆる「不登校傾向」の子どもたちが、文部科学省の調査で公表された不登校の子どもたちの約3倍以上いるのではないか、と推測されています。

つまり、とりあえず数日だけ休んでまた学校へ行かせたり、休むのはだめだよ、という態度を親がとったとしても、それはただ「不登校傾向の子ども」がひとり増えただけなのです。いつどこでまた不登校に戻ってもなんにも不思議ではない。不登校は、そんな生半可な思いで解決するようなことではありません。

たとえば、苦手な食べ物を克服するのに、その食べ物を来る日も来る日も食べ続けることが克服する第一歩になるでしょうか。

そうではありませんよね。

その食べ物を見ただけで吐き気をもよおしたり、もしくは口に入れても胃がその食べ物を受け付けずに吐き出したりするかもしれません。ましてそんなものを毎日毎日食べさせられるというのは、はっきり言って地獄も地獄です。

無理ぐり学校へ戻して不登校を克服するというのは、これと同じです。

ある日、ふとした拍子にその苦手な食べ物を口にして、「あれ?思ったより美味しいじゃん」と克服してしまうかもしれません。実は不登校もこの点は同じです。突然、なんの前触れもなく、「明日から学校に行きたい」と言い出したケースを、実はよく耳にします。

もちろん、別の機会に食べて「やっぱりこれダメだ」と思ってしまうことがあるように、1日登校して再び行けなくなることもあります。または、「茹でてあるものならば食べられる」というように、行事のときだけなら登校できるかもしれません。それでも十分大きな足跡を残すことになります。

苦手な食べ物との付き合い方を考えることと同様に、「学校へ行きたくない気持ち」を受け止めた上で学校との付き合い方を考えていくことが、不登校と向き合う第一歩です。

平成4年9月、当時の文部省が「登校拒否問題への対応について」という文書の中で、こんな報告をしています。

登校拒否はどの児童生徒にも起こりうるものであるという視点に立ってこの問題をとらえていく必要があること。

引用:登校拒否問題への対応について:文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19920924001/t19920924001.html

つまり、「うちの子に限って、不登校になんかなるわけがない」というのは、単なる幻想でしかないのです。毎日元気に「いってきます!」と家を出て、「ただいまー!」と帰ってくる子どもであっても、実はそれは無理して元気に声を出しているのかもしれない。極端な話、そういうことなのです。

 「どの児童生徒にも起こりうる」からこそ、突然我が子が不登校になって狼狽して、とにかく解決しなきゃいけない、しかも迅速にしなきゃいけない、と思うのでしょう。気持ちはわかります。でも親が焦ったところで、子どもの気持ちが変わるわけでもありません。むしろ遠ざかっていくでしょう。

まずは、「解決」という言葉を、頭の中からいったん消してしまうことです。

どんな状況であっても、学校に通うのは親ではありません。子どもです。ここを履き違えて解決しようとすると、いつまでたっても子どもは学校に足を向けることはないでしょう。

ただし、なんにもしなくていいわけではありません。大事なのは、学校に行く!と言ったときのためにいつでも心づもりをしておくことです。前述のように行事関係や特定の科目の時間なら出席できるかもしれません。実はそれが、まわりまわって結果的に解決していることになることもあります。

どうか焦らずに、不登校の子どもとじっくりと向き合ってください。

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    この記事を書いた人

    子どものころより人一倍敏感な特性を持ち、中学3年間を不登校で過ごす。大学卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画し、現在は通信制高校教員を両立しながらTRY部や不登校講演事業を中心に担当。HSP(Highly Sensitive Person)特有の繊細さを活かし、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。

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