推定30万人以上の「不登校傾向」の子どもたちを、学校は救えるのか?―日本財団「不登校傾向にある子どもの実態調査」より

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「学校、イヤだったよねー。ほんと行かなくていいと思うよ、あんなとこ」

少し前の飲み会で、僕が不登校だったという話題になると突然こんな声が上がりました。その方はデザイナーとしていまバリバリ活躍されているのですが、イヤイヤながら学校へ通っていたそうで、「学校が嫌いな人たち」がこんなにも身近にいらっしゃるんだなあ、とつくづく感じました。

文部科学省の定義では、「30日以上学校を欠席した生徒」が不登校ということになっています。つまり、逆に言えば「学校を欠席した日数が30日以下」であれば不登校ではありませんし、もっといえば「毎日登校しているけど、教室で授業に出席していない生徒」も不登校ではありません。

では、そんな子どもたちがいったいどれくらいいるのでしょうか。

先月、日本財団が「不登校傾向にある子どもの実態調査」を発表しました。

これによると、中学生年代6500人によるネット調査の結果、不登校傾向にある子どもたちの数は「不登校の子どもたちの約3倍」に上ると推測されています。平成29年度不登校だった中学生が108999人なので、この数値を当てはめれば不登校傾向の中学生が単純計算で33万人はいることになります。

ここでいう「不登校傾向」とは、以下の例を示しています。

  1. 1週間連続で学校を休んだことがある or 休んでいる
  2. 学校の校門や保健室、校長室にはいるが、教室には入らない
  3. 基本的に教室で過ごすが、授業に参加する時間は少ない(例:遅刻や早退が多い)
  4. 基本的に教室で過ごすが、ほかの生徒と違うことをしがちで授業に参加する時間が少ない(例:授業中に違う勉強をしている)
  5. 基本的に教室で過ごし、ほかの生徒と同じように過ごすが、本音では学校に行きたくない、学校が辛い、学校が嫌だと感じている

以上5つのどれかに当てはまる子どもたちが、日本中に30万人はいるのではないか、ということです。

とくに5.に関しては、「こんなこと誰にも言えないよ」と今もなおそう思っている事実をひた隠しにしている子どもたちも多いと思います。ひょっとしたらこの調査の参加者の中にも、はじめてこのアンケートで「本当は学校に行きたくない」と告白した子どもたちがいるかもしれません。

この調査に目を通すうち、いまの学校の制度や環境では、もう不登校問題を解決することは不可能に等しいと感じました。

先日も書きましたが、クラスの生徒がひとり不登校になった、ということだけで激しく思い詰める先生もいます。かと思えば、保護者の側から「こんなひどい対応をされた」と怒りに満ちたお話を聞くこともあります。もう学校としてもそんな余裕がないのだろう、とそんな話を聞くたび思います。

実際、「こういう解決策はできないんですか?」と生徒の問題行動の多さにため息をつくある高校の先生に尋ねたら、「そんなこと、できる余裕ないんです!」と怒られたことがあります。僕のほうが失礼な発言だったのかもしれませんが、その口調の強さに生徒、そして先生本人が心配になりました。

少し話がズレますが、たとえばまったくの野球未経験者なのに部活でいきなり野球部の顧問に任命されることも学校の世界ではよくある話です。こういう「餅は餅屋」という発想とはかけ離れた人事で日々先生方の仕事が増え、ブラック化していると警鐘を鳴らす記事をここのところよく目にします。

そんな環境下で、不登校の子どもたちはもちろん、「不登校傾向の子どもたち」をも救うことがとてもできるとは思えないのです。

しかも、学校に馴染むことのできない理由のひとつとして「授業がよくわからない」「ついていけない」という声も多くあったと先の調査で明かされています。これは本人の問題もあるかもしれませんが、あまりにほかの業務に追われすぎ、本来すべき授業研究が疎かになっている事実が隠されているように思います。

僕自身も教員なので授業づくりや教材研究についてあまり大きなことを言えない立場ではありますが、授業が分からない、ついていけない、という声を放置していくと、何にしても行動に自信が持てない、自己肯定感の低い状態で大人になっていくことになります。ますますの悪循環がそこに待っています。

いま学校に求められている人事は、先ほども書きましたが「餅は餅屋」ということだと思います。

学校が嫌だ、しんどい、行きたくないということを、安心して言える場所が必要です。弊団体の教室「TRY部」でも、「もう、学校いやや~」という声を聞かない日のほうが珍しいです。こんなこと、家でも、もちろん学校でも言えないんだろうな~と思いつつ、日々受け止めています。

そう思うと、まずは不登校支援を勇気を持って「学校外の専門家」に託すことがいよいよもって求められてきているのではないか、と感じます。それは我々NPOで行っているフリースクールはもちろん、市町村の教育支援センターなどでも良いでしょう。

上のグラフは平成29年度と平成30年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」から引用した、不登校の子どもたちが相談・支援などを受けた機関のグラフです。圧倒的に、養護教諭やスクールカウンセラーなど学校内の支援サービスに集中している実情が伺えます。

もちろん保健室の先生は不登校支援のためだけにいるわけではありません。スクールカウンセラーへの負担も日に日に高まっていきます。まして、不登校の子どもたちが年々増えているという現実。確実に「不登校傾向」、本音は学校が嫌な子どもたちも増加していくはずです。

それでもなお、学校の中で不登校支援していくのでしょうか。

もちろん学校の中で不登校のことを考えるなと言うつもりはありません。しかし繰り返しますが、たった少数でも、楽しく学校へ通うことができていない子どもがいるというこの現状を、いまの学校制度や学校環境でどうにかなるとは僕は思えないのです。だからこそ、もっと外部を頼るべきなのです。

そして、これは学校の先生だけでなく、保護者も考えなければならない問題です。普段家でなんでも話せる雰囲気になっているでしょうか。心のどこかで「学校に行くこと」が当たり前になっていないでしょうか。「子どもは学校で元気にしている」と思い込んでいないでしょうか。

実は本当は学校がしんどい、教室に入りたくない子どもたちが「33万人」に上るであろうこの推測は、保護者も教員も絶対に軽視できないものだと思います。

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山本 駿

山本 駿

子どものころより過度に敏感な特性を持ち、中学3年間を不登校で過ごす。大学卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画し、現在は通信制高校教員を両立しながらTRY部や不登校講演事業を中心に担当。HSP(Highly Sensitive Person)特有の極度な繊細さを活かし、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。