「君に届け」を自尊感情視点で読む 〜爽子の行動力を担保しているもの〜

スタッフの得津です。今日は僕の好きな漫画「君に届け」を自尊感情視点で考えてみます。
◆ そもそも「君に届け」って?
「君に届け」は、北海道の高校を舞台にした少女漫画です。主人公の黒沼爽子は、その見た目と誤解されやすさから周りから避けられ続けてきました。それが、風早くんという男の子との出会いをきっかけに、初めての親友ができ、初めての恋をし、初めてのライバルができ・・・その度に今まで悩んだ事の無い事にまっすぐ向かっていくというお話です。ものすごく胸がキュンとします。
◆ そんな主人公の爽子は行動力がすごい!
主人公の爽子は、泣いたり悩んだりしますけど必ず現状を打破しようと行動に移します。それは、仕方が無いからやるとか、やらされてるからやるとか、後ろ向きなものではなくて、「やりたいから、やる」のです。そんなシーンが多く描かれています。
◆ 行動力を担保している物は何か?
この爽子の行動力を担保しているのは、間違いなく親子の愛情です。
両親ともに、爽子を大事にしていることがところどころに描かれています。(父はちょっと過剰なくらいですがw)風早くんもそれを感じ取った台詞を作中で述べています。この両親の愛情は、自尊感情を構成する4つの要素でいうところの「包み込まれ感覚」に相当する物です。
◆ 具体的に両親は何をしたのか?
多分、特に何もしていません。
ただただ「今、この瞬間」の爽子を愛し続けたんだと思います。「今、この瞬間」の爽子を尊重し続けたんだと思います。この両親のすごいところが、期待を押し付けないんですよね。爽子にこうなってほしいとか、こうしなさいということを言いません。ましてや、幼児教育とか早いうちの習い事なんていうことも一切しません。
また、期待を押し付けないのは、高校生だから言わなくなったんじゃないと思います。ずっと言わずに育ててきたんだということが作中に描かれている両親の関係を見れば想像に難くありません。むっちゃ仲良しなんですよ。親子が。
◆ 「今、この瞬間」を尊重し続ける
この一点がずば抜けていた爽子の両親。機会としては、誰でも出来ます。別に子どもじゃなくても、同僚でも友人でも恋人でも誰にでも、やろうと思えば出来ます。でも、難しい。いろいろ期待もすれば、自分の気持ちを押し付けてしまう事もあります。いったい爽子の両親はどのようにして、この一点に取り組み続けたのか。もっと両親のことを作中で描いてほしいと願うばかりです。