不登校や行き渋りの児童生徒を担任する先生に伝えたい2学期からのこと

こんにちは。
D.Liveの得津です。
先日、大阪の小学校にて不登校対応をテーマに教員研修をさせていただきました。私たちD.Liveが運営するフリースクールの話や、保護者面談などでどんなやりとりをしているかについて2時間ほどお話ししました。
そろそろ2学期が始まる頃だと思いますので、今回は研修で話したことに手を加えて、2学期から不登校や行き渋り傾向の子ども達とどのように関わり、何をめざしていけばいいのかを考えるきっかけになる話しをしたいと思います。
1、不登校が長期になればなるほど保護者さんのケアが優先される
不登校には、4つの時期があります。
・行ったり行かなかったりの時期
・行かないことを決める時期
・行かないことが常態化する時期
・学校に戻れるようになる時期
この4つの時期の中で、2つめの行かないことを決める時期と3つめの行かないことが常態化する時期が保護者にとってはかなりキツイ時期です。
「自分の子育てが間違っていたんじゃないか」
「これからどう子どもと関わっていいかわからない」
このような気持ちの保護者さんが多いです。
2つめや3つめに挙げた時期に生徒がいる場合、生徒へ登校を促すことを重視するよりも保護者さんが次のステップを見つける手助けをしたほうが良いです。なぜなら、家庭で親子が過ごす時間の方が、生活の中で圧倒的に多いからです。
先生は不登校のご家庭と関わる時間は多くても1時間くらいだと思います。ですが、家で親子が過ごす時間は当然もっと多い。その時間がしんどいものだと家族みんなの息が詰まってしまいます。
子どもは親の目を気にして深夜にしかリビングに降りられなかったり、親は子どもに気を遣いすぎて腫れ物のように扱ったりすることが現実にあります。それはやっぱりしんどい。
だから先生としては、不登校親の会だったりフリースクールだったり、何かしら現状を変えるヒントがもらえそうなところを紹介するというサポートもアリだと思います。もちろんカウンセラーを紹介しても良い。とにかく保護者さんが気持ちを吐き出せ、次のステップの見通しがもらえそうな場所を紹介し、保護者さんの気持ちを楽にしてから、学校復帰や別の手段に向けた話し合いにのぞむほうが良いです。
2、学校に行けない当時の原因と今の理由は違っていることが多い。
これは実際にあった話ですが、ある生徒がクラスメイトからちょっかいをかけられて学校に行けなくなりました。当然、先生としてはその件について指導もしたのですが、学校に行けない期間が長くなり、崩れた生活習慣から生徒が当時よりも太ったそうです。
結果として、ちょっかいをかけられたこと以上に今の変わってしまった体型を見られるのが恥ずかしいから学校に行けないというように理由が変わってしまいました。
このように当初把握していたことと、今の気持ちがずれていることは珍しくありません。
2学期が始まると、担任の先生としては不登校の生徒とも話したいでしょう。生活に変化がないかとか、夏休みはどう過ごしたかとか気になるでしょうから。そのときに、学校について今の時点でどう思っているかも聞いてみてください。
「以前は、クラスメイトで苦手な人がいるから学校に行けないって言ってたけど、学校に行けないこと理由はあのときと同じ?それとも今は変わってる部分もある?」
聞くとしたら、例えばこんな感じでしょうか。
理由やニーズに変化があれば、当然打ち手も変わってきます。まずはその変化を把握しましょう。
そういう点では、いきなり生徒と会うよりも、保護者さんと一度面談をして現状の把握とこれからのすり合わせをした上で生徒と会うのも良いと思います。
3、たとえ過去に上手く言った方法でも、ニーズとずれていると失敗する
教員研修では、不登校対応における失敗例を教えてくださいと言われたので、「ニーズとずれていることをすると失敗する」とお伝えしました。
と言いますのも、例えばクラスメイトからの寄せ書きや先生との交換日記などが学校復帰に役立ったというエピソードを耳にします。一方でこれらのアプローチが本当にイヤだったとも聞きます。
同じアプローチでも機能するときと機能しないときがあるのは、生徒のニーズに合っているかどうかの違いでしかありません。
何かしらこれまでと違うアプローチがしたいと思うのでしたら、先ほども言った方にまずは生徒の現状やニーズを知るところから始める方がベターです。生徒それぞれに「本当はこうしたい」という希望は必ずあります。その希望をまずは知って、その上で「こんなこと始めてみない?」と提案する方が先生が考えた方法が機能しやすくなるでしょう。
ただ、希望を口にするまで時間がかかることもよくあります。恋愛と同じように、まずはお友だちから始めることだって十分にあります。代表は子どもと面談するときにゲームしながら面談するときもあります。それでも良いんです。「次もあって良い」と思ってもらうことが何よりも大切ですから。
4、プランBを初めから用意する
2学期が始まり、学校へ気持ちが向きつつある生徒や、無理矢理にでも向けようとしている生徒もいます。学校に行く約束をするなら、プランBを生徒と一緒に決めて欲しいです。
学校行くと約束してくれたのに生徒が来なかったら、先生としては残念ですよね。生徒も同じ気持ちです。なんなら、もっと残念な気持ちかも知れません。やっぱり自分はダメなんだと学習性無力感を募らせる結果にもなりかねません。それを回避するためのプランBです。
プランBを設定する理由は、約束を守れなかった時に生徒が落ち込まないようにすることと、これならできるかもしれないと生徒が思ってもらうためです。
具体的には、学校に行く約束をしたら、それに対してランクを一緒に決めます。
ランクSS:学校に行く
ランクS:制服を着る
ランクA:朝食を食べる
ランクB:朝起きる
こんな感じです。生徒がゲーム好きならもっとゲームっぽくしてもいい。
一番下はめちゃくちゃ簡単なもので良いです。
これらを決めて、結果に関わらず放課後にふりかえりが一緒にできるようにしてください。学校に来れなかったとしても制服を着るまではできたかも知れない。朝起きれたかもしれない。それらの小さなことが生徒にとっては価値のあることです。失敗したとしても、どこで失敗したか考える必要がある。そのためには、ふりかえりです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
小学校での教員研修でお話ししたことを、かいつまんでご紹介させていただきました。研修ではさらに具体的に、面談でのヒアリング内容や、不登校や行き渋りの未然防止にも話を広げました。もしご興味のある方は、研修依頼をしてください。いつでもスタッフが伺います。
2学期からの関わりについてですが、総じて言えることは無策で突っ込んでも仕方がないということです。
毎回の訪問や電話にあたっては、必ずめあてと下準備が必要ですし、生徒の支援という大きな枠組みでは学校復帰だけじゃないゴールイメージと小さな小さなステップを持っておくことが重要です。
まずは、「なんのために不登校の生徒に会いに行くのか?(あるいは電話をするのか?)」
その問いを自分に向けることを2学期からの不登校対応の一歩にしてもらえたら、これまでの行き詰まりと違った結果になるでしょう。
この記事をお読みの先生方にとって2学期からの教育実践や学級経営が、より充実したものになることを応援しています。