中学生の一言が、家で勉強しないのはやる気がないのではなく○○がないからだと教えてくれた

ある日のTRY部。

 

 

その生徒の話を聞いて、「やっぱりいろんな生徒がいるんだなぁ」とぼくは思った。
同時に、「新しい視点をありがとう」という気持ちになった。
軽い衝撃だった。

 

これまで、家で勉強できない子どもが勉強できるようになるために必要なものは適切な環境だとぼくは考えていた。
集中できるように机をきれいにしておいたり、カレンダーやふせん、冷蔵庫のメモなど勉強することを思い出させるアイテムが必要だろうと。

 

でも違った。

 

中学生の彼は、「これが何につながるかわからないから勉強しようという気にならない」とぼくに言った。

 

彼の言葉は「これって意味あるん?」という、これまで別の子供から聞いた勉強から逃げる発言とは違うと瞬時に気づいた。彼は勉強をするための目的を探していたのだった。

 

彼の言葉を聞いて僕はこれまで出会った子どもたちの顔を思い浮かべた。

 

宿題をしてこない生徒の中に、もしかして彼と同じようなことを感じていた生徒がいただろうか。

 

 

いたかもしれない。

 

 

そう思うと、彼ら彼女らにずいぶん悪いことをしたような気持ちになった。

宿題をしてこない生徒は、宿題してきた他の生徒たちから

「あー、また忘れてるー」
「先生に怒られるでー」

という目で見られたり、実際に言われたりする。

 

ぼくは、そんな生徒に対して放課後や休み時間に一緒に宿題をしていた。家では落ち着いて勉強できないんだろうと思ったからだ。本来、宿題とは家庭学習の習慣をつけるという側面もあるので、あんまり褒められたことではないと知りつつもこうしていた。

 

でも、その生徒たちの中には本当は勉強する目的を探している生徒もいたかもしれない。困っていたのは勉強のことじゃなくて、将来やりたいことが無いことだったのかもしれない。そう考えると、もっとたくさんの話を彼ら彼女らとすればよかったなと反省した。

 

そして、「これがなににつながるかわからないから勉強しようという気にならない」と言った彼のことを勇気のある生徒だとも思う。

 

どういうことかといえば、テスト期間が近づくと「〜点とらな怒られるから勉強しな」と話す生徒がいる。

これまでは、「そっかお家の人が厳しいのかな?」くらいにしか思わなかったが、このような生徒への見方も彼は変えてくれた。

 

「〜点とらな怒られるから勉強しな」という動機は、心理学の動機付けというジャンルでは回避型と呼ばれる。怒られるという嫌なことを避けるためにがんばるからだ。よくよくふり返ってみれば、この回避型で勉強を動機づけされた生徒のなんと多かったことか。

 

その点、彼は回避型で動機付けされていなかった。将来につながる目的を探していた。これは回避型に対して、接近型と呼ばれる動機付けだ。「消防士になりたいからこのテストがんばる」とか、「〜点とったらご褒美あるからがんばるねん」というものが接近型の例である。

 

 

 

ぼくに衝撃を与えた、中学生の彼は回避型の動機付けでもなく、なんとなくでもなく、自分なりに目標をさがしていた。接近型の動機付けで勉強したがっていた。多くの生徒が回避型で勉強しているだろう中で、目標をみつけられていない彼は勉強していないのでパッと見は「なんだこいつ」と他の生徒に思われながらも目標を探し続けていたのだ。

 

みなさんのお子さんはいかがでしょうか。
接近型の動機付けで勉強していますか。回避型の動機付けでしょうか。
それとも、彼のようにめざすものを探して迷っている途中でしょうか。

 

 

3月5日は、子どもが家でも勉強できるようなるために何が必要なのか。保護者としてできることはあるのか。

そういったことを探っていきます。

 

思春期の子どもとの関わり方講座、第3回。

3月5日(日)14時〜16時
テーマ「塾に通わせなくても、子どもが家で自分から勉強するようになるコツ」

当日の詳しい内容や参加者の声はこちらのページに載せています。

 

ぜひ一度ご覧ください!

 

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この記事を書いた人

D.Live副理事/元小学校教員
自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。
自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。

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