すぐ怒ってしまうことに悩む人へ届けたい1冊

僕は「怒り」と言う感情がものすごく苦手です。

もちろん、人から怒られるのも辛いし、違う人に向けての怒鳴り声を聞かされるのも辛い。ドラマで役者が鬼の形相でにらみつけたり、それこそ怒鳴っているシーンを見ているだけでも、なんかしんどい(すばらしい演技なのはわかるけど)。

ここに最近、自ら怒りと言う感情を発しただけで自己嫌悪になってしまうようになってしまいました。家族など誰かとケンカしたときに「なぜこんなことで怒ってしまったんだろう」「無茶なことを言ってしまった」とものすごく後悔することがしばしば・・・

おそらく、これを読んでいる方の中にも「短気」「すぐキレる」のを自覚していてなんとかしたい、と思っている方もいると思います。特に先生方だと、あの子にものすごいキツく注意してしまった・・・などと反省することもよくあるのではないでしょうか。

今日はそんなみなさんへ1冊の本を紹介します。

アルボムッレ・スマナサーラ 「怒らないこと」

スリランカの初期仏教「テーラワーダ仏教」の長老であるアルボムッレ・スマナサーラと言う人が書いたこの本は、20万部ほど売れるベストセラーになっているようです。

この本は、とにかくあらゆる観点から仏教の教えを通して「怒り」というものを完全否定します。もともとこれはブッダの考え方によるもので、「怒る人は理不尽」「怒る人は弱者」と一刀両断し、怒らない人には智慧も幸せもやってくる、と述べられています。

では仏教の世界で、なにか悪いことをした人ををいかにして「怒らず」にいるかというと、無視するそうです。ここでいう「無視」とは友達付き合いでよくある「無視」ではありません。あたかも相手が「その場にいないかのように」ふるまうことです。

前述した友達付き合いの「無視」は、相手の言うことを無理に聞かないということ、つまり心の奥底で無視している相手のことをどこか考える気持ちがありますが、仏教でいう「無視」は何をしようが知らんぷりをして社会から追い出そうとしてしまうのです。

自分の行いは間違っていた、誤っていた、と気付くまで、無視される側は集団にはいても、「集団にはいないことにされる」。これが怒らない代わりに仏教の世界で行われる罰です。そこに「怒り」と言う感情はありません。下手をすれば「怒られる」以上に苦痛ではないでしょうか。

「怒る人」は頭が悪い

こんなことまで書かれています。でも、読めば納得します。

試しに、最近「怒った」場面を想像してみてください。人と顔を合わせたときでもいいですし、インターネット上での出来事でもよいでしょう。そのとき、しっかり物事を把握したうえで怒っていたでしょうか。「怒る」ことが適切な判断と言えたでしょうか。

僕も最近、つい言い返してしまったことがあったのですが、まったく物事も把握出来ていない、そして全く適切ではなくもっと冷静に切り出すべきだった、とあとになってめちゃくちゃ後悔しました。怒りを込めて言うことで相手を傷つけたり、逆に自分に危害が及ぶこともあるかもしれません。

「怒る」とはそういうことなのです。

これは経験則ですが、僕は「怒ったときの行動」ほどろくなものはないと思っています。例えばゲームをしていて、自分の操作しているキャラクターが負けた。ついカッとなってリモコンを投げつけたら壊れてしまった・・・似たような経験が僕にもあります。

そのとき、壊れたモノを目の当たりにしての僕の気持ちは「なんでこんなことしてしまったんだろう」という後悔と悔恨の気持ちでした。冷静でいれば壊れていなかったのに。人間1度はこんな気持ちになったことがあるのではないでしょうか。ちなみにそのモノは、壊れたまま今も使っています。

怒っている自分を感じたら、「合理的ではない完全なバカで、何も理解できない無知な人間だから怒っているんだ」と真剣に自分に言わなくてはなりません。
子供が何か悪いことをしても、なぜそうなったかきちんと把握していて、どう言えば改まるかという道筋が頭の中にできているときは、あまり怒らないものです。

引用:アルボムッレ・スマナサーラ「怒らないこと」 88ページ

僕はこの一節を読んでストンと腑に落ちる感覚がしました。怒るという行為は、何も知らず、人に何が何でも何かを受け入れてほしいときの最終手段だと。その後の子どもを叱るときの話も思わず納得しました(僕には子どもがいませんが)。

「怒らないこと」は生半可なことではない

「怒らないこと」には続編もあるのですが、そこでは自分の子孫を残すことについても触れられています。一応読んだのですが、僕は「これキッチリ守ってたら最終的に人類滅亡するよね・・・」という感想しか残りませんでした。

たぶん、読んだ人の中には「こんな教えきっちり守る方がしんどいよ!」と言う声も出るかもしれません。でも、後半にはどうすれば怒りを治められるか、についても触れられていて、日常の中で「怒り」の感情に悩んでいる人にとってはすっと気持ちが楽になる一冊だと思います。

小さなことで怒らなくなった、なんとも思わなくなった、という出来事は小さな成功体験。すなわちそれが「自信」につながることにもなります。是非一度、手に取ってみてください。

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この記事を書いた人

子どものころより人一倍敏感な特性を持ち、中学3年間を不登校で過ごす。大学卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画し、現在は通信制高校教員を両立しながらTRY部や不登校講演事業を中心に担当。HSP(Highly Sensitive Person)特有の繊細さを活かし、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。

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