引きこもりを経験したことのあるかたへインタビュー 〜 前編 〜

 今回は、引きこもりを経験したこともある坂田さんにインタビューです。

―今どんなことをされていますか?

 今は家庭教師ですね。
一応勉強と言うものは教えますけど、でもそれ以前に、これからの時代ってますます人としての魅力で世の中が動いていく社会になる、そういう時代やと思ってるんですね。

ということは、考え方とかがすごく重要になってくる。ぼく自身もそうなんだけど、同じ出来事でも解釈が違うとまるで世界が変わってくる。これってすごい力だなーと。
ぼくの出会った生徒さんでどういう子になってほしいかって言うと、「自分で自分の事を褒められる」ようになってほしいんですね。周りの人たちに、いろんな言葉を受けると思うんですが、その中で自分で自分の事を褒めてあげられるって、力強いこと。そういうの、具体的にまだ完成はしていないんですけど、ちょっと変わった授業をできたらなーと。

 

―そう思うようになったきっかけは?

 もともとのタネが自分がひきこもった経験、そこから心理学の本を読んで、いい循環と悪い循環があると。
悪い循環と言うのは、人のことが気になるから挑戦しなくて、挑戦しなくなると自分に自信がなくなる。
まわりの目が気になりだす。本当の自分を出せなくなる。なんかいろいろ矢印で繋がってるなーって。
その逆の循環が今言ったことを全部ひっくり返していくんですね。
自信が持てる、挑戦する、失敗してもチャレンジした自分を褒めてあげられる、本当の自分のままでいられる人たちの中にいられる、なんかそういうのをイメージした時に、あっそういう世界行きたいなって思ったのがきっかけで、実際仲間といろんな国行ったり、いろんな世界を見て、「坂田は変わったね」ってよく言われるんです。
で、それから、他にもその後心理学だけじゃなくて色んな人の本とかいろんな人との出会いとかのなかで、自分なりにこれ大事だなと思うものを拾っていったら、自然と今に行きついたというか。
タネはそこからですけど、いろんな学ぶことがその先にあって、どんどんカスタマイズされていったんです。

 

―引きこもりになった原因はなんでしょう?

 もともと、「都合の悪いものを直視したくない」と言う癖があったんです。
大学生のとき、ひとつの試験が目の前にあって、もういいわってちょっと目を背けて、そのまま夏休みへ。

でも、学校へ行かなくてはならないという直視しなければならない現実が迫ってきて・・・でも、目を背けてましたね。
もともとそういう資質と言うか、そういうのがあったんかなと思っています。今は、それを教えてくれた出来事だったんだなと思うようになりました。

 

―引きこもっていたときのお話をもう少し詳しく教えていただけますか?

 うーん・・・・引きこもった時のやつは、ちょっと違うかもわからないですけど、要は自分が穴の中に入って、これでいいこれでいいと嘘をついていたんですよ。でも、ちょっと遠いところから自分のその姿を観てみたら、自分は穴の中でふさぎこんでこれでいいっていってるけど、前を歩いてる人もいますよね。
自分ができることはなんだろうか、っていうときに、ひとつはこのままでいるか、もうひとつは穴から出て歩きはじめるか、二つに一つだなと。ちゃんと問題が見えたから、歩み始めることが出来ました。

たぶんそういう心の土台にあるのは劣等感。なんか・・・失敗してもいいと思えてるんだったらちゃんと現実を直視するような気がするんですよね。
ちゃんとしなきゃだめだ、っていう強迫観念という前提があると、都合の悪いことに目を背けるかなーと。その土台にあるもっと大事なことを今は出会った人に伝えたいな。

―もっと大事なこととは?

例えば笑えることってぼくはオセロゲームだと思ってるんですよ。神様は絶対幸せの白はくれない。黒い石をくれるんですよ、苦労の黒。でもこれは、例えば病気になって、そこで嘆き悲しんで落ち込む人もいれば、そのあとそのできごとから何を学ぼうとするか、前向きに捉えられるか。
実は、昨日から手が痛かったんです。でも、そのできごとがあったおかげで今まで痛くなかったことってすごく幸せなんだなあと逆に思ったんですね。
もっといえば手が動く事もすごい幸せな事。っていうところまで想像を広げて白に変えていくか。
やってくる出来事全部がひっくり返して宝物にできたら、結局この世の中は幸せになるんじゃないかな、その力強さですよね。

 

―子どものときは、どのような性格でした?

 几帳面とか責任感が強いとかは通信簿によく書かれましたね。怒られるのも嫌でしたね。怖いから、先生に忘れ物を説明するときに、どうやって説明しよかなってわざわざメモを書いていた。よっぽど人の目を気にしていたのかな。

 

―実際に引きこもりになったのはいつぐらい?

 大学に入って最初の夏休み以降。でも、ひきこもりって人それぞれいろんなケースがあるじゃないですか。ぼくはそこまでずっと家にいた訳じゃなくて、地元の友達と遊んでたこともあったし、外でサッカーとか誘われたら出ていったし、ただそれくらい。

―そのときって何考えていましたか?

 学校に行かない自分を「これでいい」っていうのを正当化しようとして、なんかずっと俺は武者修行するとか言って絵描いてたりしてました。

 

―「これでいい」っていうのは大学に行ってない状態?

 そうですね。いってないことによって、いまこういう時間を使えているという正当化ですね。でも、どこかで大学に行かないといけないと思っていました。だから落ち着かないし、いたたまれない気持ちになりましたね。

 

―どれくらい続いたのですか?

 1年半くらいですね。

 

つづきは、また次回

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この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
詳しいプロフィールはコチラから

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