凡人だった自分が、テストで90点以上を常に取れていた理由

正直に告白すると、僕は自分に自信がない。
すぐ落ち込む。
すぐ悩む。
なにか言われると、クヨクヨしてしまうし、ヘコむ。
講演などへ行って、どれだけ良い反応があっても、1つでもネガティブなことが書かれていたら、「今日はダメだったなぁ」と思ってしまう。
子どものときから、そうだった。
僕は、自信を持って、キラキラ輝いている人が羨ましくて仕方がなかった。
「いいなぁ」
「僕もあんな風に、自分に自信が持てたらいいなぁ」と、思っていた。
ずっと。
さすがに、今はもう思わないけれど、数年くらい前までは、同じように思っていた。
中学生のときの話。
1年生最初のテスト(中間テスト)がそこそこの結果で、「余裕だな」と思って、期末試験に臨んだ。
点数は、たしか、ギリギリ400点(5教科)だった。
「これは、まずい……」と思った。
僕は、中学に入学したときに、心に決めたことがあった。
「モテる男に俺はなる!」というもの。
いや、バカみたいに思うだろう。
実際に、バカだった。
でも、当時の僕は本気で、「絶対にモテよう」と思った。
そのために、どうすればいいかと思ったとき、「勉強できることは、必須条件だな」と思ったのだ。
それまで、そこまで勉強をガンバったことはない。
授業中も、集中できない性格で、窓の外を眺めているような生徒だった。
しかし、モテるためならば、仕方がない。
「よし。学年10位以内を確保しよう」
そう決めて挑んだ中間試験は、確か学年で7位くらいだった。
「いける、いける」
そう思っていたのに、期末試験では、一気に順位を落としてしまう。
そこから、危機感がうまれた。
「まずい……」
モテるためには、勉強ができるだけではダメだとも思っていた。
「モテるためには、スポーツをガンバらないと!」
だから、部活では本気で取り組んだ。
休み時間に筋トレをして、家に帰ってからも、トレーニングにいそしんだ。
そして、なにを血迷ったか、「真剣に勉強しているヤツは、ダサイな」と思い、学校では勉強する姿をほとんど見せないようにした。
すると、勉強する時間がほとんど取れない。
取れるのは、部活が休みになるテスト前の1週間だけ。
この時間で、どうやってテストの点数を取るのか?
それが、僕に課されたミッションだ。
いや、自分で撒いたタネだろってツッコミが聞こえてきそうだけれど……。
僕は、別段、勉強の才能があったわけじゃない。
人よりも秀でた暗記力があったわけでもないし、頭が良かったわけでもない。
優れた理解力もなく、ただただ普通の頭だ。
「俺は、きっと勉強ができる」
「俺は、天才なんだ」なんて思ったことは、ない。
僕に残された道は、なんとかして凡人が、良い点数を取ることだけだった。
さて、どうしたか?
答えは、すごく単純だ。
思いつく方法をすべて試したのだ。
「この方法を使えば、点数が取れる」と思う方法を手当たり次第におこなった。
僕にとって、勉強をガンバる、なんて過程はどうでも良かった。
大事なのは、結果だ。
学年で10位以内に入る成績さえ手に入ればそれで良かった。
野球の時間を犠牲にすることなく、欲しい成果を得る。
そのためには、格好とか、体裁とか、向いているとか向いていないとか、そんなことはどうでも良かった。
だから、泥臭く、たくさんの方法を試した。
うまくいった方法なんてものは、数えるほどで、ほとんどはうまくいかなかった。
“短時間睡眠”について書かれた本を読んで、3時間睡眠にチャレンジしたこともあった。
寝る時間を減らすことで勉強する時間を増やせると思ってやってみたものの、授業中はずっと爆睡。
家に帰ってからも、常に眠たい状況で、全く効果がなかった。
きっと、優秀な子どもならば、もっとスマートにやっていたのだろう。
教科書を見たら、全て暗記ができる。
解いた問題は、二回目には、全部正解になる。
そんな頭を持っていたら、僕みたいに、いろんな方法を模索する必要はなかっただろう。
でも、僕は凡人だ。
ただ、手当たり次第に試してみるしかなかった。
だから、臆面もなく、先生にテストでどの問題が出るのかを聞きに行った。
分からない問題は、とことん教えを乞うた。
ガンバること、努力すること、たくさん勉強することを目指していたんじゃない。
ただ、ただ、結果を求めて、できることをしていった。
テスト前に先生が勉強会を開いてくれると聞くと、絶対に参加した。
どこが問題として出るか、探りを入れた。
「もう、テスト問題作ったん?」と聞いて、「作った」と聞けば、翌日以降に授業でおこなう内容は出ないなとヤマをはった。
賢い先輩には、「どうやって勉強しているんですか?」と聞き、教えてもらった方法は、愚直に試してみた。
残念ながら、みんな”天才”で、「授業聞いたら、全部覚えられるよ」とかいう、凡人の僕には、全く活用できないアドバイスもあったけれど。
睡眠や脳科学、勉強法に関する本を貪るように読んだ。
ちょっとでも自分に活かせるものがあれば、どんどん取り入れていった。
ノートの取り方、勉強の仕方、テスト対策の方法。
方法を模索し、試していく。
さながら、人体実験のようだった。
いろいろな方法を試してみた。
結果的に、中学のときは、中1の期末試験以降、90点以下を取ったことは、数えるほどしかなかった。
僕には、才能も能力も記憶力もなかった。
だから、自分なりに、模索するしかなかった。
凡人なりの奮闘だった。
学生時代、大阪のNPOでインターンをしていたときのこと。
たくさんの中学校や高校へ行った。
子どもたちと接する中で、感じることがあった。
みんな自信を持てていない。
自分なんてダメだと思っていた。
彼らを見ていて、「自分と同じだなぁ」と思った。
僕も、自分なんて全然ダメだって常に思っていて、自信も持てなかった。
だから、子どもたちが、ネガティブな言葉を言う気持ちは、痛いくらいに分かった。
ただ、ひとつだけ、違っていることがあった。
それは、僕は絶対に「どうせ無理……」とは、思わなかった。
ガンバれば、できるようになると信じて、努力することができた。
でも、子どもたちは違う。
中学1年生で、部活を始めたばかりなのにも関わらず、「いや、どうせやっていても、部活でレギュラー取るとかできないんですよ。どうせ僕なんて、なにをやってもダメなんです……」と、言うのだ。
いやいやいや、まだ部活入ったばっかりやん。
これからやん。
なんでそんなこと言うん!
僕は、いたたまれなくなった。
きっと彼らは、たくさんの失敗を経験して、うまくいかなったことがたくさんあったのだろう。
僕の場合は、たまたま結果が出たからうまくいった。
僕も、結果が出ていなかったら、きっと卑屈になって、「自分なんてどうせダメなんだ」と言っていたことだろう。
“自分なんてどうせ”と思っている子たちをなんとかしたい。
なんとか「やればできる!」と思って、前を向かせてあげたい。
そう思って始めたのが、TRY部だった。
塾でもなく、なにかの習い事でもない、「やればできる」と思えるようになる教室。
ここも、中学時代と同じで、手探りで始めた。
どこにもないプログラム。
どこにもない教室。
どこにもない授業。
やってみるまで、半信半疑だった。
「本当にうまくいくのだろうか……」
まったく分からなかった。
参考にできる教室は、ほとんどなく、自分で考えて、やっていくしかなかった。
何度も何度もカリキュラムを練り直し、何度も「もういっそ辞めてしまうおうか」と思ったかしれない。
気がつけば、教室を開いて4年目がスタートした。
始めた当初は、教室に自信なんて持てず、「やればできるようになります!」なんて、強く言えなかった。
「たぶん、いけます」くらいに、弱々しく言うしかできなんかった。
でも、今は違う。
やっていることが、ちゃんと体系立てて整理できるようになり、論理的に、どうして子どもが成長するのかが説明できる。
どんな授業をして、どうすれば効果的なのか、ちゃんと深く理解ができている。
今なら、自信を持って言える。
「やればできると、子どもが思えるようになります」と。
中学生のときにTRY部に通っていた生徒が、こんなことを言っていた。
「高校に入って、文化祭でバンド組んで、演奏をしたんです。メンバー集めのために、違うクラスに声をかけたりもしました。こういうチャレンジするのって、全てTRY部で学んだんですよ」と。
学校が楽しくなく、コミュニケーションがうまく取れないと言う中学生が、教室へ来ることになった。
「グループワークの発表がほんとイヤなんです。うまく話せなくて……。高校になると、もっともっと発表って増えるじゃないですか? もうそれが憂鬱なんです。学校、あんまり行きたくないなぁって思うのです」
その子が、TRY部へ来て、1ヶ月。
学校について聞いてみると、「すごく楽しいですよ。発表のとき、少しずつ話すことができるようになったんです。今までは、緊張して全然話せなかったんですが、今では緊張もしなくなりました。TRY部に来て、もう全く変わりました。学校も楽しくなったし、グループワークもワクワクしながらやっています」と、言うくらい変化が見られた。
親御さんからは、「とにかく、自分に自信がないんです。自信、つけてあげてください」とうことだった。
結果、今では、その子は、楽しそうにどんどんチャレンジをするようになっている。
誰がどう見ても、”自信がない子”には、見えない。
また、こんなことを生徒が言っていた。
「TRY部に来て、お母さんとケンカが増えてん」
どういうことかを聞いてみると、「今までは、親のこと避けていてん。なに言っても否定されるし。でも、TRY部に来て、自分の考えとか言えるようになったから、お母さんにもちゃんと思っていること言うようになってん。だから、ケンカも増えたけど、会話も増えてん」と。
「最近、目標うまく進んでいるんです」と、教室へ来るなり行ってくる子もいる。
「次は、もうちょっと難しい課題にしようと思うねん」と、やる気を見せてくれる子もいる。
みんなTRY部へ来たときは、”どうせ無理”と思っていた。
勉強も得意じゃないし、コミュニケーションもそこまでうまくない。
なにをやってもうまくいかないから、自分自身を諦めていた。
でも、TRY部で授業を受けることで、どんどん変わっていった。
親に言われなくても、みずから勉強する。
朝、たたき起こされる前に、起きてくる。
子どもたちは、”できる”ことが楽しくなり、どんどん成長してきている。
できなかったことが、できるようになっている。
大人からすれば、「そんな小さなこと?」と思うことでも、子どもたちは嬉しそうに話す。
「TRY部は、小さな成長でも喜んでくれるから、自信になるねん。これで間違ってないって思える。少しガンバったらできることやから、できるし、できたら、嬉しい。やから、もっとガンバろうと思えるねん」
僕は、自分に自信が持てなかった。
才能がある人が羨ましかった。
できる人に嫉妬した。
TRY部に来る子どもたちもきっとそうだっただろう。
「あの子は、いいな……」と思っていたに違いない。
だから、苦しい気持ちは、よく分かる。
子どもたちがよく言う。
「ガンバりたくても、ガンバれへんねん」
その通りだ。
やる気や気持ちがあっても、ガンバれるものじゃない。
だからこそ、もがく彼らの手助けがしたかった。
「やればできる」と思えるような教室を作りたかった。
4年目を迎え、いよいよ僕が本当にやりたかったことができるようになっている。
これからも、子どもたちは、どんどん成長していくだろう。
劇的な変化を見せてくれるだろう。
親や先生が驚くような成長を見せてくれると思う。
「勉強しなさい」と言わなくてもいい。
「早く起きなさい」と言わなくてもいい。
「もうゲームやめなさい」と言わなくてもいい。
子ども自身が、自分で考え、自主的に行動していく。
いつになったらやるんだろうと、うんざりした気持ちからは、オサラバできる。
塾に行きたがらない。
やる気がまったく見られない。
そんな子には、うってつけだ。
さぁさぁ、TRY部、見学や体験、お待ちしておりますね。