子どもをやる気にさせる魔法の言葉があったとしたら、本当に知りたいですか?

「親の私の前じゃ全然話さないのに、こんなに勉強や進路のことを話すなんてビックリしました。何か魔法でも使ったんですか?」

 

ぼくは仕事でフリースクールや塾をしていることもあって、中高生の子どもと話したり、面談したりすることがよくあります。面談内容を報告するときに、上のような言葉を保護者さんから言われることがあります。

 

 

嬉しいお言葉ですが、魔法は一切使っていません。

やっているのは、ひたすらに相手の関心に関心を持つことです。

何が好きで、どれくらいゲームをして、どんなことでモヤモヤするのか。

 

 

将来や勉強など核心にふれることを話してもらうために、ひたすらに相手の関心を聞き、共感して、信頼を掴むことをしています。

 

時間もかかるし、相手が答えてくれないことだってあります。

でも、ぼくはこの方法を辞めることはありません。

子どもが自分でがんばるエネルギーと目標を取り戻すためには、

遠回りなようで、これが一番の近道だと今は確信しているからです。

 

 

とはいえ、自分も魔法の言葉を探していた頃がありました。

学校の先生をしていたときは特にそうでした。

 

学校の先生じゃ無い人にとっては馴染みがないでしょうが、

書店にいったときに先生向けの書籍が並んでる棚に足を運んで見てください。

 

 

「こうすれば上手くいく●●の法則」

「勉強嫌いのやんちゃな子が勉強を好きになる◇◇な方法」

 

みたいなハウツー本が本当にたくさん並んでいます。

すぐ効果がありそうなので、そういうものをついつい手に取ってしまうんです。

パラパラ立ち読みしてたら、「使えそうかも・・」という予感が湧いてきます。

 

その予感を持って、翌日に本に書いてあることを実践するとどうなるか。

 

上手くいきません。

まあ上手くいかない。

 

 

仮に、本にあることが子どもに通じたとしても1回くらいがせいぜいです。

そんな具合ですから自分が解決したかったことの本質が解決されないままなので、また新しい本を探す。

こんなことを繰り返していました。

 

 

 

どうしてハウツー本に書いてあることが通じないのか。

 

言われる側に立ったら、その答えが見えてきます。

 

 

例えば「誰でも落とせる魔法の口説き文句」みたいな本があったとして、そこ書いてあるフレーズをあなたが言われたら嬉しいですか?

 

 

嬉しくないですよね。

どんなに耳障りがよく、綺麗な言葉であったとしても自分のために言われていない言葉には心は動かされません。反対に、どんなに不恰好で不器用な言葉であっても自分のために言われていることが分かれば少なからず言われた側は感動します。

 

結婚式の披露宴などで付き合うきっかけやプロポーズのエピソードが紹介されることがあります。あれを聞いて感動するのは相手のためを思ってがんばったことが伝わるからですよね。

 

 

大人が子どもに話す言葉も同じです。

本に書いてあるからとか、セミナーで教えてもらったとか、そういう言葉ってあんまり通じません。

相手に伝わる言葉を生み出そうと思ったら、相手のことをどれだけ知っているかが肝になります。

 

『伝え方が9割』という本をご存知でしょうか。広告業界のプロが書かれた本です

そこには「NOをYESに変える技術」という章があります。

「デートしよう」という自分の主張を言うんじゃなくて、「この前いきたいって話してた●●行こう」と言いましょう。YESを勝ち取るには相手の脳内を想像しようとあります。要は、相手の関心にあった言葉かけをしましょうということです。広告という発信することのプロでも、まずは相手を知るところから始まることにぼくは感心しました。

 

 

さて、記事のタイトルでもありますが、

子どもをやる気にさせる魔法の言葉があったとしたら、本当に知りたいでしょうか?

本当に知るべきは子どもが勉強や進路をどう考えているかではないでしょうか?

 

「勉強のこと、どんな風に考えてるの?」と聞いてみたとして、

おそらく自分の考えとはズレた答えが返ってくるはずです。

 

それが普通です。

そのズレに気づかないフリをして言うことを聞かせる言葉を探そうとするのは大人のずるさではないでしょうか。

 

子どもが自分で勉強してほしい。

やる気スイッチ見つけたい。

そうお思いでしたら、勉強に対してのズレをお互いに理解して、難しいかもしれないけどズレを埋めていく話し合いをする勇気こそが必要です。

 

 

ぼくが普段関わっている子どもは中高生が中心です。中高生にもなると、自分なりの意見を持っています。

自分の意見を言うことができます。

 

それこそ中高生だから不器用だし言葉が足りないこともあります。

でも、飾らないまっすぐな言葉で話してくれるので伝わります。

「君の言い分も一理あるな」と思っちゃいます。すごい面白いですよ、子どもが考えていることって。

 

 

 

相手が自分の思う通りになる魔法の言葉なんてありません。

ぼく自身、それを探して失敗してきました。

目の前にいる子どもを見ずに、自分のことばかり考えていました。

 

 

 

魔法の言葉はなくても、相手がどう思っているかを知ることはできます。

「正直な話、ぼくはは●●だから勉強したほうがいいって思ってるけど、どう思ってるの? とにかくこの時間は話を聞くから教えて」

 

ここから先はどうなるかなんて誰にもわかりません。

誰にも分かりませんけど、話し合いのマナーをこちら側が知っている限り経験的にはケンカすることはないです。

 

やる気を出してほしいと思うなら、話すではなく聞くから始めてください。

 

 

 

 

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この記事を書いた人

D.Live副理事/元小学校教員
自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。
自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。

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