クラウドファンディングを達成した翌日。ぼくは、音楽に救われたことを思い出した。

 

時計は、深夜0時を指していた。
その瞬間、数ヶ月にわたり取り組んでいたクラウドファンディングが終わった。

そのときの気持ちは、安堵感。

「やっと終わった」「達成できた」
ほっとしたというのが本音。

その日は、興奮してなかなか寝付けなかった。

 

翌朝、目を覚まして出発の準備をする。
いつもかけているFM802から懐かしい曲がかかってきた。

僕はその歌を聞きながら、当時のことを思い返していた。

 

今から4年前。
草津へ来て半年以上がたっていた頃。

小学生向けにおこなっていた教室は、なかなかうまくいかなかった。
子どもたちがフリーペーパーを作る教室。
カリキュラムも手探り。集客もなにをしたらいいかわからない。

時間をかけてビラをつくる。
そして、夜な夜なポストへ入れていく。

「誰か来てくれ」と心の中で叫びながら。

うまくいかないのとは反比例して、マスコミの取材はたくさんいただいていた。
新聞各社、地元草津のコミュニティラジオなど。

そんな依頼の一つとして、僕は大津へ向かった。
「エフエム滋賀」の番組にゲストとして呼んでいただいたのだ。

30分ほど立ち上げの経緯や活動内容を話して、「ありがとうございました」と言ったあと、ラジオからこの曲がかかってきた。

17歳の現役女子高生シンガーが歌う曲は、まるで僕を鼓舞してくれるかのように心へ届いた。
ビラを配っても配っても、なんの反応もない。
「読んでもらえているのか?」「そもそも、今のサービスはニーズがあるのか?」

広報のスキルも知識もなにもなかった。

本を読み、見よう見まねでいろいろ取り入れていく。

「この本が良い」と聞けば、読み、試してみる。
自分でもなにが良くてなにが悪いのかもわからない。
いろんなものに手を出して、めちゃくちゃになっていくこともあった。
中途半端になり、書きかけの広報文、配っていないチラシ。
そんな出来損ないがたくさん溜まっていった。

「どうせ、無理。。。」

いつの頃からか、僕は諦めるようになった。

手は尽くした。(自分ではそう思っていた)
けど、うまくいかない。

僕は、嵐が過ぎるのを待つかのように、ただ、ただじっと耐えた。
きっと風が吹くと信じて。

教室運営は、相変わらずうまくいかなかったけれど、草津市の協働事業や大学での講演。
少しずつだけれども、仕事が入ってくるようになった。

結局、はじめに立ち上げた教室は3年くらいでたたむことになったけれど、とても勉強できたチャレンジだった。

「どうせ、配っても誰も見てくれない」と思っていたときは、広報の仕事が心の底からイヤだった。
埋めることを知っている穴を掘るような、ただの徒労でしかなかったのだ。

今では、広報が楽しくて仕方がない。
運営しているTRY部を11月よりリニューアルする予定で、今はカリキュラムなどを作っている。

「ああ、早く伝えたい」「知らない人たちにとどけたい」と思って、ワクワクしている。
あんなに嫌いだった仕事、あんなにイヤだった広報が楽しくてたまらなくなってきた。

4年前は、誰も僕のことを知らなかった。
今では、草津周辺を歩いているだけで知り合いに会うし、知らない人からも声をかけられるようになった。

クラウドファンディングも130人以上の方々にご支援いただき、目標を大幅に上回って達成率は150%を越えた。

いろいろあった。
仕事が全くなくて、「売れない芸人みたいだな」と思っていた。

やっとここまで来られた。

これは、もうほんとに周りの人たちのお陰で、僕はなにもしていない。

スタッフをはじめ、クラウドファンディングを一緒に取り組んでくれたチームの人たち。
たくさんの人たちにシェアもしていただき、嬉しい言葉ももらった。

「ああ、こんなにも支えられていたんだな」と改めて思えた。

僕たちは、やっと1つの階段をあがることができた。

でも、まだまだ、これから。
クラウドファンディングで支援していただいた人のため、待っている人たちのためにも僕たちは活動を続けていく。
まずは、たくさんの皆さん。

クラウドファンディング、ご支援いただきありがとうございました。
このお礼は、必ずや「結果」という形で返させていただきます!!

 

 

思いを馳せたあと、イヤフォンをつけ、僕は久しぶりにこの曲をiPhoneで聞いた。
くじけそうになるとき、もうあきらめそうになるとき、何度もこの曲に助けられた。
泣きながら、歯を食いしばりながら聞いていたこともある。

今になって思う。

「ああ、一人じゃなかったんだ。。。」

 

 

立ち止まるのはいつでもできるきっと
高い壁だって乗り越えられる君ならできるから

 

自分らしく生きてゆく為にきっと
そう忘れないで一人じゃないよ。君のそばにいるよ

家入レオ 『Shine』

 

 

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この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
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