暗記のワザを特別公開!ある日のTRY部の授業、ちょっとだけお見せします。【TRY部 夏の無料体験授業のお知らせ】
弊団体が毎週月曜と金曜の夜に開いている「TRY部」。
正直なところ、長年スタッフとして関わっている僕としても、「どんなことやってるんですか?」と尋ねられると、いつもかなり長い説明をしてしまいます。勉強は教えていないので塾ではありません。でもプリントを用意して授業はやっています。それは一見すると、学習塾のようでもあります。
先日、ある生徒が、「TRY部、ほかの子に紹介したいねんけど、何やってるか説明がうまくできひんからなかなか呼べへんねんなー」と嘆いていました。実際、何本か授業動画をアップしていますが、基本的には「こういうことをやりました」というレポートしかブログには残していません。
そこで今日は、実際にどんな授業がTRY部では行われているのか、動画ではなく「授業録」として、実際に話した中身をそのまま書き起こしたものをご紹介しようと思います。
「暗記マスターに、俺(私)はなる!」
僕も高校で社会科の教員をしていますが、特に世界史は本当にややこしいです。「パータリプトラ」「トゥール・ポワティエ間の戦い」「ハプスブルク」などカタカナの人名や国名もあれば、中国史になると「焚書坑儒」「完顔阿骨打」など、人名なのか出来事なのかもわからない漢字だらけになります。
こうしたややこしい歴史用語を「暗記」できれば、特に社会科はテストで高得点を十分に狙えると言っても過言ではありません。というわけで、今回はそんな「暗記」について取り上げた授業を見てみましょう。
なお、頭に ― がついているものは生徒の発言です。それ以外は、今回の授業を担当した田中の発言を書き起こしたものになります。
えっと、今日は「勉強のエクササイズ」について、やりまーす。で、1時間くらい、がっつり!「勉強」をやりまーす。まあ残念ながらテスト終わった人はあれやけど、がんばってやりましょう!
―わたし、これからや・・・。
で、今日の目当ては、「暗記マスターに、俺はなる!」。海賊王に俺はなる!的な感じでやりまーす。
さっき書いてもらったと思うねんけど、暗記力を100点満点で表すとすると何点ぐらいですか?
一番低い人誰やったっけ?5点とかやったっけ。
(生徒名)くん何点やったっけ。50より高い?低い?
―低い!
30よりは?
―低い!
20よりは?
―うーん・・・わかんない・・・!
15くらい?
―15くらい、まだ低いかもしーひん・・・。
その理由はどうでしょう?覚えにくいものとかある?覚えやすいものとか。
―カタカナ。
あー・・・教科とかでも差はある?社会は覚えやすいけど、英語覚えにくいとか。
―興味のないもの全部・・・
あー、基本興味ある・興味ない?うんうんうん・・・
―わたしやったら、一番漢字が覚えやすいけど、ほかのは同じくらい覚えられない・・・
わかるわかる。俺やったら、カタカナがわからん。世界史とか、なんとか二世とかぜんぜん覚えられへんかった。
(一同、納得の声を上げる)
今日は、暗記のコツをマスターしましょう。暗記のコツを伝えるので、それを1時間くらいかけて練習をして、帰るころには、さっきの15点が170点くらいになれるように・・・余裕やわ!って感じで、やっていきまーす。
まず、めっちゃ大事なのは、暗記っていうのは、集中力をいかに使わないか。無理やり覚えない。なんか暗記って、やろう!って思ったらめっちゃ面倒くさいし、覚えたとしても覚えてないやんけ!みたいなことになったりして。で、無理やり覚えないし、集中力使わずにイヤイヤやらないみたいなのが実はコツなんや、というか。
まず暗記の基本からいきましょう。たとえば5年前に食べたご飯覚えてますか。覚えている人?覚えてませんか!
これは当然です。人は忘れる生き物です。そもそもね。で、忘れたほうがいいのね。逆に覚えてるとめっちゃ面倒くさくて、全部覚えてたらめっちゃ大変。人間は忘れるようにできています。じゃないと困る。
なので、忘れるのはけっこう当たり前。前提として覚えていたほうがまずいい。だから暗記できないんじゃなくて、忘れて当たり前。逆に全部覚えてたらめっちゃ面倒くさい。どうなるかっていうと、ここに来るまでの行きに、アパマンショップの看板とかのことも全部覚えているみたいな。もう訳わからへん。やから、そういうのは忘れるのはまず前提ですよっていうのが一つ。
あとは、繰り返すことで覚えられます。1回やるよりも絶対10回やったほうがいいし、10回やるよりも100回やったほうがいいから、よくバームクーヘンみたいな感じで重ねる重ねる、みたいな。何回も何回もやって覚える、みたいな。そういうのが大切です。
脳みそでいうと、シナプスっていうのがあって、暗記をするとこれがくっつくねん。でも、1日経つとそれがまた離れていくねん。で、また思い出すとこうつながっていくねん。で、だんだんこうやってつながっていくねん。やから、10年使えへんかったらそれが実はだんだん離れていったりとか、します。なので、忘れるのは当たり前で、これを何回もやっていったら、ちょっと覚えてるとかいうのはちょっとだけつながってる、みたいな。それを何回もやっていくとまた、もう1度つながっていく。結構脳みそつながってきた!みたいな感じ。なので、いかに繰り返していくか、みたいなのがすごく大事。
なので、すぐに1回覚えられるというのはないです。
これは脳みその仕組みとして、1回覚えるのにめっちゃ面倒くさいもんね。会った人の名前全員覚えれるようになるからね。テレビとか見てたら、全員の名前覚えてるみたいな。めっちゃ無駄やから。そういうのじゃなくて、何回も繰り返すことで、あっこれは大事なんやな、と思ったら脳みそは覚える。まず仕組みとしてそういうふうになっています。
で、さっきも言ったように、忘れるのは当たり前です。なので、忘れたなとか、記憶力悪いなとか、暗記力最悪やなって思ってやってると、やってるたびにテンション下がる。ぜんぜん覚えられてない!いつなったら覚えられんねんあたし!みたいな。その時間が無駄。忘れて当たり前。だからそれ言ってるのは、5年前何食べたかぜんぜん覚えてない!と一緒。最悪やー!!とか。そのレベルと一緒。忘れて当たり前、です。人はもともと覚えられない生き物で、覚えといたほうが多分いい。
じゃあ、アニメのキャラとか、ゲームの装備とか、友達の会話とか、覚えてる人?
覚えてるよね。全部じゃなくても。もし覚えられていたら、大丈夫です。暗記力はあります。
覚えられない人は、それも覚えられないです。それが覚えられているのは、暗記力はみんなあります。十分にある。それが覚えられていないから暗記力ないわっていうのは違う。単純に回数が少ないとか、っていうだけの話です。
じゃなんで今まで暗記ができなかったのかというと、マル秘ポイントを知らなかっただけです。もうこれを知ったから今日はバッチリです。今日は具体的にこれが明かされます。
今日はポイントを使って実際に暗記をしてみたいと思います。
暗記のポイント、まず、「プライミング効果」っていうのがあります。プライミング効果知ってる人?学校で習ったっていう人?あ、知らん?
何かって言うと、ヒジヒジヒジ・・・って10回言ってみたいなのあるやん。で、ここ何?って言ったらヒザ、みたいな。なにかっていうと、プライミング効果って、前に起こった出来事とか、前に言われたことを覚えてる、っていうのがあって、ずっとヒジヒジヒジ・・・って言ってるから、ここ何?って聞かれたら、もうヒジが頭に残ってるから、ヒジってなっちゃう。
これ面白くって、大学生にお年寄りのイメージを言葉にしてくださいって言って、たとえば白髪とか、腰が折れてるとか、杖とか言わせたあとに、何もやってない人と歩かしたら、言った人から歩きが遅くなんねん。老人っぽく動くねん。っていうふうに、前言ってることっていうのを実は意識しているっていうのが深層心理であって、なので暗記する前に「俺ぜんぜん勉強できひんねん」って言ってると、身体がぜんぜん勉強できひんから覚えやんでええやろ、って、プライミング効果が発動される。
なので、使った言葉にふさわしい人間になる。嘘でも、暗記超得意!余裕!全部覚えられる!みたいなことを言うのすごく大事。ポジティブな言葉を使いましょう。思ってなくてもいい。言っといたらいい。暗記めっちゃ得意!いけるいける!ってやると、脳が「暗記めっちゃ得意らしいでこの人!」ってなって、バンバン覚える気満載になる。けど、ネガティブな言葉を使ってると、「この人は暗記苦手らしいからちょっといいかな・・・」みたいになるので、まずポジティブな言葉を使いましょう。
ぜんぜん覚えられへん。やりたくない。こういうのなのは使わない。こういうのじゃなくて、めっちゃ覚えられる!やりたいよね!っていうふうに、ポジティブに言っていく。
で、次、覚えようとしない。覚えようとしすぎるとしんどいよね。覚えないといけない!とか。ってやると余計覚えられないので、できるだけ見てるだけですよねー、みたいに気軽に。で、覚えれるというよりたくさん回数を重ねる。単語集やったら、1ページから10ページやるんやったら、1ページを10分ずつやるんじゃなくて、1ページ15秒を100回やるくらい。15秒15秒15秒・・・を100回繰り返すほうが、覚えられる。
で、毎回毎回よっしゃ覚えるぞ!ってやるとめっちゃしんどいから、カタログ見てる感じ。なんかいいのあるかなーって、回数をとりあえず増やす。ってやると、勝手に覚えられる。だって友達の名前って覚えようとあんましてないよね。あんま覚えられへん子はいるかもしれんけど、仲良い友達の名前って勝手に覚えてるやん。それなんでかって言ったら回数増やしてるから。○○ちゃんって言うやん。それを増やしていくと勝手に覚えられるから。で、そんなに仲良くない友達がなんで覚えてないかっていったら、言ってる回数が少ない。呼ばへん。あんま知らん子とか。
なので、とりあえず回数を繰り返す。質より量です。10個覚えるよりも100個の単語に触れる。ってなると、いろんな単語でくっついたりしていく。っていうのが大事です。
っていうのを、実際に今日は練習としてやりたいなー、と思います。で、それぞれやりたい勉強はありますか?できれば暗記系・・・ある?単語とかある?
この4つ、ポジティブな言葉。で、これ、やってる最中とかもすごい大事で、勉強してるときに、いややなー、とか、やりたくないなー、ってやると、人は緊張感が高まるので、覚えられへんようになる。頭真っ白になるって言うけど、ストレスが掛かると嫌になって脳みそ閉じんねん。やからリラックスすることによってより覚えやすくなる、っていうのはあります。
なので、嘘でもやりたい!やりたい!みたいな。英語めっちゃ好き!とか。できるだけポジティブな言葉を。そこまで出されへんかったら、大丈夫、できる、できる!みたいな、自己暗示的に。今日は練習なのでやってみましょう。
そして覚えようとしない。できるだけひとつひとつに時間をかけるんじゃなくてたくさん繰り返す。で、質より量。1個の時間にかける時間を短くしていろんな単語を増やす。っていうのをやりたいな、と思います。
では実際にやってみましょう。ポジティブな言葉ってどんなんかけれる?かけれそう?
別に言わんでいいからね、自分の心の中で天才、天才、天才・・・みたいな。
―それやったらできる!
では、15分って長い?長くない?いける?1回やってみよう。15分暗記タイムやります。5分休憩してまた15分取ります。なので、15分ひたすら集中してやってください。
コツは、リラックスするのめっちゃ大事なので、別にこの教室じゃなくていいです。外行ってもいいし、姿勢もなんでも良いです。寝転がりながらでも。自分が1番やりやすい環境を作ってください。もちろん音楽を聞くのもあり。人の迷惑にならへんかったらいいです。大声で叫びながらとかはやめてや。15分後に帰ってきたらいい。モーツァルトみたいに歩きながらやるのもあり。ぶつぶつ言うんやったらロビー出てもらったほうがいいかな。これをやってください。
このあと、実際に暗記タイム→休憩→暗記タイムを繰り返しました。難しさを実感した生徒もいれば、「前よりすんなりと記憶できそう」と手応えを実感した生徒もいました。
冒頭にも書きましたが、TRY部では教科学習はしていません。僕も教員という立場ですが、この教室ではほとんど社会の学習支援をしていません。そのかわりに、こうした記憶など学習習慣をみんなで学んでいきます。ここでは、子どもたちはもちろん、時折大人もいっしょにワークに参加することもあります。
いくら勉強ができても、それが成績に結びつかなければ、なんの意味もありません。そして、「勉強しない!」「成績が伸びない・・・」原因は、単純に学力ではなく、こうした「勉強のやり方」を知らないが故に引き起こしている子どもたちも、決して少なくないと思います。
TRY部では、そんな子どもたち向けに、6月に無料体験授業を行います。
詳細は、下記バナーをごらんください。