先生の「メンタル」を守り、悩みを解決する方法

 

人間は、優れた仕事をするためには、自分一人でやるよりも、他人の助けを借りるほうが良いものだと悟ったとき、その人は偉大なる成長を遂げるのである。(アンドリュー・カーネギー)

バーテンダーは、もっとも結束の固い職業集団(ギルド)と言われています。

僕は学校の先生も、そんなギルドになる必要があると思ってます。

先生(教師)は、CAや看護師と並ぶほどの感情労働です。

感情労働とは…

感情労働とは、相手(=顧客)に特定の精神状態を創り出すために、自分の感情を誘発したり、逆に抑圧したりすることを職務にする、精神と感情の協調作業を基調とする労働である。 (社会学者 A・R・ホッシールド)

参考)
「感情労働」の現場を生き延びる
あなたの職種も当てはまる?拡大を続ける「感情労働」とは


しんどいときも笑顔でいなくてはならない。

先生として、あるべき姿でいなくてはならない。

先生らしく、先生であることを求められるとても大変な職業。
だからこそ、先生たちの絆、協力、支え合いが大事です。

「感情」を守る方法は?


感情労働である先生(教師)という職業では、メンタルを守ることがなにより重要。

保護者に文句を言われることもある。
教頭先生や学年主任の小言も聞く。
子どもが言うことを聞かないこともある。

うまくいかないこと、ストレスが貯まることがたくさんあります。

しかし、その解決策はカウンセリングではありません。

悩みを聞いてもらって気がラクになったところで、授業中に暴れ回る生徒の現状は変わりませんし、相変わらず保護者は先生に対してイヤごとを言ってくれることもあるでしょう。

そうなのです。

先生がどんどん倒れていっている現状にありながら、どうすればメンタルを安定させるのか。
ストレスマネジメントをおこなうのか。

良い解決策があまりないのです。

そこで提案したいのが、「ワークアウト」という手法です。

ワークアウトは、先生の問題を解決するのか!?

ワークアウトとは、元々GEのジャック・ウェルチが提唱したものです。
その方法を少し変えて、ワークショップの手法として私たちはおこなっています。

先日、滋賀県でおこなった「あこがれ先生プロジェクト in 滋賀」にて、このワークアウトを先生たちとおこないました。

参加者は、13人ほど。
4人〜5人でそれぞれグループを作り、1人の悩みを(質問者を除いた)グループのみんなで話し合います。
(質問1つに対して25分ほどの時間をとり、時間になれば、グループを変え、質問する人も変わります)

このワークアウトの特徴は、アドバイスする人たちの輪に質問者は入らないことです。

顔色をうかがうと、どうしても「このアドバイスでいいのか?」と不安になったり、良いアドバイスがしたくなります。

自由に話してもらうため、質問者には会話が聞こえる位置で後ろ向きに座ってもらいました。

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ワークアウトの良さ ①
押しつけではないアドバイス

たとえば、上司のアドバイスはどうしても押しつけのように感じることがあります。
アドバイスする側は、よかれと思っていても、聞く側としては「こうしなさい!」と言われているように感じます。

しかし、ワークアウトは自由に話す場。
質問者の顔も見えないので、アドバイスする側も好き放題に言えます。

質問者はたくさん出たアドバイスの中から、自分がなにをするか、どの意見を採用するかを自分で決めることが出来ます。

 

目次

ワークアウトの良さ ② 多様な意見

数人が話し合いながらおこなうアドバイス。

経験やタイプも違う人たちからの意見は、「こういう考え方もあるのか」「そんな方法もあるのか」と新しい発見に繋がります。

 

ワークアウトの良さ ③ 内省できる時間

普通の場面だと、アドバイスを聞いているときは、殊勝にメモをとり、しっかりうなずく。
“ちゃんと聞く”ことが求められます。
しかし、ワークアウトでは“聞く態度”は求められません。
うなずく必要もなく、聞いてますとみせる必要がないのです。
そのため、聞きながら「じっくり考える」「内省する」ことが出来ます。

 

ワークアウトの良さ④ アドバイスする側も学びになる

これは、ケース会議に近いものがあります。

この日に出た相談で、「大人しい子がトイレに落書きをするのだが、どうしたらいいか?」というのがありました。

「こういう方法は?」「こんなやりかたもあるかも?」
そうやって解決を考えるのは、まさしくケース会議です。

普段のアドバイスでは、「知っている人」から「知らない人」への一方通行。
しかし、ワークアウトでは、アドバイスする側もやりとりを通して学ぶことが出来ます。

 

ワークアウトの良さ⑤ どんなことでも相談できる

相談するときって、「具体的な問題点をまとめてからにしよう」と思いませんか?
「こんなときどうしたらいいでしょうか?」「こんなことで悩んでいます」というふうに。

しかし、ワークアウトはアドバイスする場というよりも、“困っていることについて話し合う場”です。

「あこがれ先生プロジェクト」のときに、象徴的な場面があったので、ご紹介しましょう。

「どうやって生きていけばいいかわからないんです」と20年ほど勤務されている先生のご相談。
詳しくお聞きすると、「先生として、ちゃんとしないといけないと思ってしんどい」とのこと。

こういう質問や相談ってなかなか出来ないですよね。
同期との飲み会では出来ても、先輩には言えない内容です。

なんとなくモヤモヤしている。

そんな曖昧模糊(あいまいもこ)としたものは、相談しようとはあまり思わないはずです。
(スッキリするアドバイスがもらえるとも思えません)

しかし、ワークアウトという場では出来るのです。

アドバイスする側が、この問いに真摯に向き合ってくれます。

A先生「先生は、どうしています?」
B先生「僕は、気楽にとらえています」
A先生「自分出すの大事ですよねー」
C先生「さらけ出したほうが、生徒から慕われますし」

そうやって、みんなの意見を聞きながら、自分自身で質問の内容をかみしめ、「ああ、こういうことで悩んでいたのか」と、モヤモヤが明確になるのです。

まとめ

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先生として、困ることや悩むことは日常茶飯事ですよね。
ワークアウトをして感じたのは、たとえベテランの先生でも、なんかしらの悩みや困りごとを持っているということです。
むしろ、そのような先生方こそ相談する人たちがいないので、ワークアウトの場が必要なのかも知れません。

ワークアウトは、誰かにアドバイスをするというより、提案をする感覚に近いです。

「こんな方法はどうでょう?」「こんな考え方もありますよ」

どうするか、どのアドバイスを採用するかを決めるのは、質問した本人。

だからこそ、自由な発想が生まれ、学びに繋がり、新たな視点の獲得になります。
この手法、教育に関わる人たちにとってはかなり有効です。
ぜひ、皆さんの現場でも使ってみてください。

D.Liveでワークアウトのお手伝いします。

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この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
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