生徒指導がうまくいかないと感じる先生へ伝えたいこと 

こんにちは、スタッフの得津です。
僕は4年間教員をした中で、最後の2年間は生徒指導に関する業務を取りまとめる役をしていました。

 

一般の方には、生徒指導というのは耳慣れない言葉だと思うので説明しますと、
いわゆる不登校やいじめなど学校で起こった問題に対処することです。毎日おこる小さなケンカや、校舎への落書き、生徒の上靴が隠されたかどうかなど生徒指導でくくられる事案というのはかなり手びろいです。

 

僕は、取りまとめとして学校で起きたそれらの事案の数を記録したり、他の先生から事情を聴いたり、自分が担任していない児童生徒の話を聞いたりしていました。

 

どうして僕がこの役割になったかというと、きっとたまたまです。別に自分が生徒との関係づくりが特別にうまかったとか、ドラマのようにクラスの問題をことごとく解決していたからでは一切ありません。そういうのは人並みでした。隣の先生と同じように、クラスで問題が起きると頭を抱えていましたし、生徒を叱るときもこの言葉が本当に響いてるんだろうかと反省することだってたくさんありました。

 

だから痛感しています。
難しいんですよね、生徒指導って。

多分、生徒指導について悩んだことのない先生なんて0.0001%くらいじゃないでしょうか。調べたことないので分からないですけど。とにかく自分は悩んだし、他の先生方が悩んでいる様子を見ることもたくさんありました。これが原因の一つになって、休職された先生の話も聞いたことがあります。

 

それほどに悩むことが多い生徒指導ですが、どうしてみんなこれだけ悩むのかその原因を探ろうとすることはほとんどありません。書籍もハウツーに関する書籍が多いです。ざっとamazonで調べてみても「生徒指導の鉄則」とか、「生徒指導入門」なんていうタイトルが並びます。

 

もちろん、これらの本はとても参考になります。僕も買ったことあります。でも、これらの本には生徒指導の難しさについてあまり深く触れません。だいたいが「今の子どもは〜・・・」という時代に合わせて変化した子ども論が並びます。あとは、個々に合わせた指導が大事だから、一人ひとりと関係づくりが大切だ、とか。

その通り。確かにそうなんです。関係づくりは大事だし、今の子どもは僕たちがすごした子ども時代とは環境も持っている道具も全然違うから、子ども時代の「当たり前」が違う。それはおっしゃる通りなんですけど、その主張に沿うと、下手な鉄砲数撃ちゃ当たるのように感じてしまって、結局あの手この手を探る前にこっちが疲れてしまう。

 

なので今日は、学校の生徒指導の難しさの理由を探り、こうすればちょっとは負担が軽くなるだろうという考えを述べます。

 

自分が考える生徒指導が難しい理由は、「お手本がないからだ」ということです。
あまり指摘する人がいませんが、これは結構大きいと思います。

 

学校では初任の先生のために、指導する立場の先生がつきます。授業を見せてくれたり、自分がした授業についてアドバイスをくれたりと、初任の先生にとっては頼りになる存在です。

けど、生徒に指導する場面を見せて、「この場面で、こう言ったのはね・・・」と解説してくれることはありません。これは生徒に指導する時は基本的に、即時対応が原則だからです。自分が先生だとして、ある生徒が友だちをからかっている場面を見つけたときに、他の先生を呼びにいくことはまずないですよね。

実際そうしたら、すでにその出来事は終わっていることがありますから、生徒に「ええ?そんなことやってませーん」と言われておしまいです。そうしないためにも、見つけたその場面で対応する必要があります。

 

こうなると、自分なりに生徒に指導するしかないんですよね。目的はシンプルです。自分が見つけたからかい行為をやめさせる。これです。ただ、この目的を達成するための手段は無数にあります。

大声を出して止める、からかった生徒だけを呼び出す、みんなの前で叱る、あえて怒らずに行為の理由のみをつきつめる、などなど。

この手段の決定と実行を瞬時に判断して行わないといけないところが生徒指導の肝なんですが、何度もいっているようにこれが難しいんです。手段を失敗するとその場だけの指導になったり、反感を買ったりすることもあるからです。嘘をついてその場をしのごうとする生徒が出ることもあります。

 

だからこそ、僕は生徒指導にもお手本を持つべきだと思います。お手本をもたないままに生徒指導の手立てを決めていくのは難しいですよ。僕自身も最初は全然ダメでした。ただ大声でおさえつけるだけで、暖簾に腕押しの日々でした。どうしたものかと頭を悩ませていたんです。そんな時に、当時僕の初任者指導の先生が言ってくれました。「得津くんは、誰か先生が指導してるところを見たほうがいいで。どうしたらいいかわからへんもんなー。」

 

 

目から鱗でした。

その日から、僕は他の先生が誰かを指導している場面を見かけたらそれとなく聞き耳をたてたり、ちょっと離れたところからみたりしました。やっぱり見るのは違います。そうかこんな言い方をするのか、と気づくこともありましたし、このやり方を真似させてもらおうと心の中で決めたこともありました。

 

だから、生徒指導に悩む先生はいろんな先生の叱り方や指導の仕方を見せてもらいましょう。頼みにくかったら、こっそり見ましょう。

生徒への指導は、感情を抑えようとしても言葉につられて感情が高まってくることもあり、自分でも何をどう言えばいいのか分からなくなることがありませんか。そんな時に、いくつかでも真似できる言い方を持っておくと指導の手がかりになります。

それに、これまで出会ってきた先生たちから類推するに、先生は基本的にいい子だった子ども時代をすごした人が多いので、叱られた経験のある人や叱られたから態度を改めた経験のある人が少ないように感じます。だからこそ、本で勉強するのも大事ですが、いろんなお手本を見つけることも大事だと思うのです。しかも、これは毎日どこかで実行できるチャンスがあるので、ゆっくり本読んでられないという人にもオススメです。

 

一人一人にあった指導が大事なんだから、お手本をもつのは型にはめる指導になるのではと感じられる方もおられるでしょう。おっしゃる通りです。僕が言いたいのはお手本という土台を持ち、そこから自分なりにアレンジしていけばいいのではないかということです。人は一から考えるより、付け足したりちょっと変えたりするほうが得意らしいです。指導も同じです。何もわからないところから始めるよりも、付け足したり参考にできるものがあったほうが絶対いいです。

 

 

本当は生徒指導も担任や学年の枠を超えて、柔軟にできればいいのでしょうがそれは別の難しさがあります。小学校は特に「担任の先生」が占めるウェイトは大きいです。秋口からだんだんと問題や気になることが増えてくる時期だと思います。先生方の日々の児童生徒との関わりに少しでも参考になれば幸いです。

 

もっと具体的にお手本を知りたい人は

お手本見せてくれそうな人もいない、もっといろんな人がどうしてるのか知りたい!
そんな皆さんには、11月6日(日)のフォーラムに足を運んではいかがでしょう。

小学校の先生や、ワークショップのプロ、発達障がい・不登校を専門にしている塾の先生などが、
子どもの自尊感情を育てるために取り組まれていることについて具体的にお話しいただきます。

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11月6日(日)京都市下京青少年活動センター

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「子どもの自尊感情の育て方 ただ褒めるだけでいいのかと思い始めたあなたへ」
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この記事を書いた人

D.Live副理事/元小学校教員
自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。
自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。

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