オンラインコミュニティには、刺激を与えあい、寄り添ってくれる仲間たちが常にいる。

大学生のとき、僕は京都の下宿で引きこもっていた。

ゲームをして、2ちゃんねるを見る。

楽しみなんてなにもない。

起きているときは、ずっとネットを見ていた。ずっとゲームをしていた。

とにかく、無音が怖かった。

一人になってしまうと自己嫌悪が襲ってくる。

だから、常になにかを見たり聞いたりしていた。

けれど、今になって思うと、ほとんど情報に触れることはなかった。

不登校になると、家や部屋から出なくなる。すると、圧倒的に情報量が減る。

たとえば、通学していると、登下校の時に店や広告が目に入る。

学校では、クラスメイトの話し声が聞こえる。
ハヤっているものを身に付けている子もいる。

意識せずとも、様々な情報に触れている。

不登校になると、この情報がすべて遮断される。入ってこなくなる。インターネットやYouTubeを見ていても、自分の関心しか見えてこない。

たとえば、僕はYouTube ではカメラやガジェットしか見ない。
すると、iPadやMac、カメラの情報だけがどんどん入ってくる。

自分の関心があること以外は目にも入らない。情報の最適化により、カメラが好きな人にはどんどんカメラの情報が集まっていく。

流行のアイドルやバズっている動画の情報はなかなか入ってこない。

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不登校になると、エネルギーは低下する。

意欲は失せ、なにかをしようという気持ちはなかなか起きない。

普段見ないアニメを見る。
興味が無い分野の勉強をする。
なにかを新しく始めてみる。

なんてことは、とてもハードルが高い。

たとえ、親から勧められたところで、「やってみよう」とはならない。

オンラインコミュニティの生徒を見ていて、「あっ」と気づいた。

新しくチャレンジする子どもたちが多いのだ。

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今までやったこともないのに魚をさばく子。
動画の編集を始める子。

などなど、思い切ってやってみる子たちが多い。

なんでだろう? と思って、観察をしてみると、オンラインコミュニティにはたくさんの刺激があることに気がついた。

大人がフレンチを食べたと写真で投稿をする。
中学生が魚をさばいたと動画で投稿をする。
動画編集に四苦八苦していると、生徒たちが雑談をしている。

ここでは、自分に興味や関心がない情報も入ってくる。

教室にいると、女子が好きなアイドルについて話しているのが聞こえてくるように。

僕は、なにかチャレンジをするときに大事なのは「不安が少ないこと」だと思っている。

どうしたらいいか分からない。
うまくいくか分からない。
失敗しそうで不安。

誰だって初めてのことは緊張するし、不安になる。

でも、オンラインコミュニティのみんながやっていたら、「自分も出来そう」と思える。

どうやってやるか分からないなら、聞ける。

「どこで魚買うの?」
「包丁はどんななのがいいかな?」

検索エンジンでは、不安な気持ちを受け止めてくれることはない。

でも、オンラインコミュニティなら、受け止めてくれる人がいる。

「大丈夫だよ」
「こうすれば上手くいくよ」と励ましてくれる。

ここでは、「ちょっとやってみよう」と思うハードルが低い。

見本もいるし、教えてくれる子もいる。

情報によって刺激を受け、不安を軽減することではじめて子どもはなにかを始めることができる。

オンラインコミュニティには、刺激を与えあい、寄り添ってくれる仲間たちが常にいる。

それがなによりも子ども達にとって心強い。

刺激があるからこそ、なにかに興味を持つ。
やっている人たちが身近にいるから、行動する。

オンラインコミュニティには、刺激を与えあい、励ましあえる仲間がいる。

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この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
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