最近気になる教育ニュースvol.2―今注目の「通信制高校」

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今週は、スタッフが見つけた気になる「教育ニュース」を取り上げていきます。

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ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会のために、今できること

「ほぼ日手帳」でお馴染み、糸井重里さんのウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」からピックアップ。

我がD.Liveでもよく活動や取り組みを参考にさせてもらっている、大阪の認定NPO法人「D×P」の共同代表のおふたりの講演の様子です。お会いしたことは無いのですが、「D×P」は以前から個人的にすごく気になっていた団体だったので、ほぼ日で記事を見つけたときはびっくりしました。

僕自身、通信制高校を卒業しているだけあって、D×Pが取り組む「通信制高校・定時制高校に通う生徒への支援」と言うのはものすごく興味がありました。そこで今日は、この記事と照らし合わせながら、通信制高校について考えていきたいと思います。

「自分たちの世代に通信制があったら、絶対通ってたと思うわ」

うちの両親はよく口を揃えてこんなことを言っていました。

上記リンクの第2回にもありますが、通信制高校の生徒数は年々増加傾向にあります。しかも最初から通信制高校に通う人はそんなに多くありません。僕と同じように前籍校から転入してくる生徒が多いです。最近では単位の関係で前籍校では残り半年で卒業できないが通信制ならば卒業が可能、ということで転入する生徒もいます。

ちなみに、卒業した高校は僕の代は約50人程度と少数でしたが、約7年後には200人以上の卒業生を輩出しました。「前の高校をドロップアウトして行き場を失った生徒の受け皿」という意味でも、いま通信制高校は重要な位置づけにあると言えます。

最初は、通信制高校なんか行きたくなかった。

中学のときは、「通信制は学校に行けなくなった生徒が集まる場」「ヤンキーのたまり場」だと勝手な偏見をもっていました。なので、不登校は中学で卒業して、高校は週5日しっかり通いたい、と単位制の高校に進学しました。そして、大失敗しました。(そのあたりの話はこの記事をお読みください)

で、結局通信制に転入するのですが、ここで少し考えが変わり始めました。確かに幅を利かせているのは茶髪だったりピアスをつけた派手な生徒ですが、それ以上に自分と同じかつて不登校だったり、前籍校が合わなくて・・・という生徒も多くいました。気付けば自分の周りにはそんな生徒ばかりになっていきました。

そして、茶髪で一見いかつい風貌の生徒であっても、実はめちゃくちゃダンスが上手かったり、「美容師なりたいねん!」と専門知識をどんどん吸収していたり、下手すると自分なんかよりも夢を持った子だった、ということもしょっちゅうでした。これは下手すると一般の高校に通う以上に貴重な経験ができるかもしれない、と思いました。

通信制高校は高校によって違いますが、余暇時間が一般の高校よりかなり多いのが特徴です。自分の周りではひたすらアルバイトする、という使い方をする生徒が多かったのですが、僕はフリーペーパー作ったり、まちづくりのボランティアに参加してみたり、とにかく学外活動に勤しみました。

考えてみれば、この学外活動の時間を通して、NPOや一般社団法人など、「普通の会社」とは違う働き方があるのを知った気がします。今こうしてD.Liveで活動しているのも、間違いなくこの学外活動の時間がなければ有り得なかったでしょう。

D×PのプログラムとTRY部の共通点「成功体験の獲得」

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通信制高校を卒業した2人に1人が進路が決まらぬまま卒業している」というデータがあります(第2回より)。おそらくこのデータには含まれていないと思うのですが、実は進路が決まっていても、卒業後進学・就職してそこでドロップアウトしてしまう生徒、というのが思った以上にいます。

僕自身もあわやドロップアウト、というところまでいきましたし、母校に顔出して先生と「○○さんって今どうしてるんですか?」「あの子××大学行ったけど、辞めたみたいでな・・・」という話になったのも2度3度では済みません。在学中よく遊んでいた生徒でも、連絡がつかず今どこで何をしているのかさえ知らない子が大勢います。

そこでD×Pでは通信制高校や単位制高校への生徒向けに活動をおこなう目的のひとつとして、「成功体験の獲得」というものがあります。これは、我がD.Liveがおこなっている「TRY部」でも主要な活動目的のひとつでもあります。

TRY部では、自らで立てた目標に挑戦し、翌週嬉しそうに「目標できたで!」と報告する生徒の姿をよく見ます。言われてみれば、ただ淡々と学校に行き、誰と会話するでもなく黙々と授業を受け帰宅するライフスタイルの生徒も多い通信制高校では何か目標に挑戦する機会というのは大きく限られてきます。

僕自身は文化祭実行委員だったり写真部で数々の成功体験がありますが、こういった学内活動に積極的にかかわらない限り、成功体験に接する機会はほぼ皆無です。そんな環境で誰でも気軽に参加できる授業と言う形で「成功体験が提供できるプログラム」をおこなう、というのはこの上なく画期的なことだと思います。

もしも通信制高校在籍中にD×Pの授業があることを知ったら。

もう、絶対に受けてたと思います。っていうか、今でもそんな授業受けたい!と思うくらい。前日なんかワクワクして眠れない状況まで想像できます(機会があれば是非コンポーザーとして参加してみたいとすら思います)。そしてもし受けていたら、どんな道を歩むことになっていたのでしょうか。考えは尽きません。

僕は通信制高校と言う場がなければ今頃生きていないかもしれません。もちろん遊んでばかりではなくて、それなりに責任もあるし、厳しい一面がある場所でもあります。学習面とか生活面とか、何度くじけそうになったかわかりません。その度に、生徒はもちろん、先生方にも本当に助けて頂きました。感謝しかありません。

僕にとって通信制高校は、高校行って、大学行って、社会人で普通に会社勤めして・・・という固定概念を見事に破壊して「いろんな生き方があってええんやで」ということを教えてもらった場所。通信制高校を通して、ひとりでも多くの新たな「生き方」を見つける生徒が増えることを、ひとりの通信制高校OBとして願っています。

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山本 駿

山本 駿

NPO法人D.Live スタッフ / 高校非常勤教員(社会科) 京都出身。中学3年間不登校。岐阜県内の大学を卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画。主にTRY部や不登校講演事業を担当しながら、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。