学校に行けていない息子には、こんな安心できる居場所と仲間が必要でした。
(2023年5月より、オンラインフリースクールからオンラインコミュニティに変更しました)
高校生のとき。
僕は、学校へ行かず、制服姿のままずっと河川敷で横になっていた。
プロ野球選手になりたいと思って大阪の強豪高校に入ったものの、挫折。
人生のプランは崩れ、やることはなにもない状態になった。
これからどうしたらいいのか……。
自分がなにをしたいのか……。
雲に語りかけても、答えは一向に見つからなかった。
不登校の孤独
ひとりぼっち。
悩みを打ち明けられる友達もいない。
親になんてなにも言えない。
ただ、一人で「どうしよう、どうしよう」とあせっていた。
苦しさを抱えながら、しんどい気持ちを抑え込みながらなんとか学校へ行き、卒業をした。
浪人して入った大学でも、孤独は変わらなかった。
「誰も自分のことを分かってくれない」という思いは、日増しに強くなっていき、入学して夏休みが終わるころには引きこもりになっていた。
不登校にとって、なによりも辛いことは孤独だと僕は思っている。
学校へ行きたい気持ちがあっても、体は言うことを聞かない。
周りには、サボっているように思われる。
「明日、行くわ」と言って、翌日になり「やっぱり無理」と言うと、親はすごく残念そうな顔をする。
ため息をつかれることもある。
(いや、ため息をつきたいのはこっちだよ……)
思っていても口には出さない。
悪いのは全部、学校へ行けない自分なんだから……。
不登校は、孤独だ。
ひとりぼっちで、誰にも気持ちが分かってもらえない。
どれだけ親が寄り添ってくれても、心の苦しさを100%理解してもらうことは不可能だ。
タレントが食べている海鮮丼をテレビで見て、「美味しそう」と思っても、味までは分からないのと同じ。
「なんとなく分かる」だけであって、「はっきり分かる!」わけじゃない。
居場所がない
家から出られない。
知り合いに会いたくない。
近くにフリースクールがない。
適応指導教室も合わない。
不登校の子たちにとって、”居場所”と呼べる場所はとても少ない。
自分にあったフリースクールを見つけられるのは、とても運がいい。
たとえ近くにフリースクールがあっても、
「金額が高い」「時間帯が合わない」「外へ出るのがしんどい」「対象学年ではない」「雰囲気が合わない」「やりたいことの趣旨が合わない」
など、いろいろな面で合わないことがある。
「どこに住んでいる子にも、居場所がある社会にしたい」
「不登校で孤独になっている子が笑顔になれる場所をつくりたい」
そう思って、7月よりオンラインフリースクール「TRY部」を始めた。
完全オンラインのフリースクール。
リアルで会ったこともない子たちと一緒にやっていくのは、果たして可能なのか?
多くの不安もあったけれど、「とにかく、やってみよう!」と思って始めた。
オンラインフリースクールを始めてみた結果
スタッフの多くは、不登校経験者。(校長である僕もそう)
「何人くらい来てくれるだろう?」
不安な気持ちばかりだった。
しかし、蓋を開けてみると、申し込みが殺到して、一時的にストップをかけるほど。
ありがたいことにたくさんの問い合わせをいただき、募集を2ヶ月に1回だけに変更した。
現在、39名の子が参加している。
小学4年生から高校3年生まで、全国の子たちが参加。
ゲームだけではなく、雑談やお絵かき、写真コンテストなどもおこなうようになった。
ゲームが上手い子が他の子たちに優しく教えている姿もよく見られる。
「ここってどんな場所?」と聞くと、子どもたちは「安心できる場所」だと言う。
そう! こんな場所を作りたかった。
このオンラインフリースクールは、僕自身が不登校のときに欲しかった場所だ。
こんな居場所が僕にも欲しかった。
あぁ、ずるいな……。
河川敷で悩んでいたとき、僕にもこんな場所があれば良かったのに……。
生徒の声
保護者の声