一度立ち止まってみて、他人の目を気にするクセも含めて自分だと思えるようになった|D.Liveボランティアインタビュー#7

6年ほど前にD.Liveの社会人ボランティアとして加わり、2016年の『子どもの自信白書’16』作成のためのクラウドファンディングや、D.Liveファン感謝祭などの周年イベント企画など、D.Liveの支援者を募るファンドレイジングを担ってきたさおりさん。
「子どもが生まれると、これまでと比べて他人から評価の目で見られることが増えました。以前の自分ならすごく落ち込んだんでしょうけど、D.Liveがいうところの自尊感情。良いところも悪いところも受け容れる気持ちというのが、自分の中で腑に落ちるようになり、自分を大切にできるようになりました」
今回のインタビューでは、家庭を持ち、D.Liveとの接点が減っていてもD.Liveには成功してほしいという気持ちを持ち続けてることや、他人の評価ばかりを気にしていた自分から、自分のやりたいことを大切にしようと思えたエピソードなどを話してもらいました。
ー本日はよろしくお願いいたします。まず、さおりさんがD.Liveに関心を持ったきっかけを教えてください。
何年も前になるんですけど、友だちからの紹介がきっかけでした。友だちが紹介していた田中(D.Live代表)のブログを見て、自分と考え方が近いかもと思ったんです。それでHPで事前に活動内容などを調べて、D.Liveがやっていた社会人向けのワークショップに参加しました。
そのあと代表と話をして、事前に感じていた考え方の近さや代表の人柄を知って、ボランティアで参加することを決めました。当時は代表の人柄を知って、成功してほしいな、幸せになってほしいなと思った気がします。これは、当時のわたしの新しいことを始める基準でした。その人に頑張ってほしい、成功してほしい、幸せになってほしいと思えたらやってみようって。
ーそんな風に思えるなんてすごいですね。D.Liveとさおりさんの考え方が近いなと思ったのは、どういった部分なんでしょう。
わたしは中学校から自信がなく、言いたいことを飲み込むようなことも度々あって、鬱々した中高時代をすごしていました。漠然といつか子どもを持つだろうなと思ってた25歳の頃、自分の子どもが成長していく社会は、自分が中高生で感じたような思いを持つことなく楽しく過ごしてほしいなと思っていました。それで、D.Liveの活動を知ったときに、心を内側から強くするような活動だなと感じたんです。
ボランティアとして加わっても、やれることは小さいだろうけど、動きたいなと当時の自分は思っていたはずです(笑)
ーさおりさんがD.Liveブログで書かれた記事の中には、子ども達との関わりから気づいたことやファンドレイジングの意義について紹介するような記事もありました。ファンドレイジングのやりがいや魅力について教えてくれますか。
D.Liveを応援してくれる人たちと大きなチームになれるような感覚がすごく好きで、ファンドレイジングに魅力を感じています。活動の応援は、お金を寄付するだけじゃなくて、時間を提供するボランティアや、技術や専門性を提供するプロボノ。事業に興味を持ってくれそうな友だちを紹介するなど、たくさんの形があります。
ファンドレイジングはいろんな形を通して、社会課題を解決していこうという人の気持ちを集めていく感覚だなと思っています。
ファンドレイジングのやりがいですが、「こないだテレビに出てたね」とか、「最近がんばってるね」って言われると嬉しいです。ですが、一番は2016年のクラウドファンディングです。D.Liveとして初めて挑戦したクラウドファンディングでした。
このとき、私たちだけで取り組むのではなく、D.Liveが関わりのある保護者さんたちにクラウドファンディングチームとして加わってもらいました。それが私にとってのいい成功体験になっています。私たちだけでできない部分を支援者の人たちに助けてもらうというのが、すごく楽しかったし、自分たちには届かない人たちに情報を届けることができたと思っています。
ーファンドレイジングは取り組んでいる社会課題を伝えて仲間を増やしていくこととD.Liveブログに書かれていました。D.Liveが取り組んでいる社会課題や活動を世間に知ってもらう上で、一番大事にした方がいいと思うことは何ですか?
そうですね。こういうのは、身近な人から広がっていくんだろうと思っていました。「さおりちゃんがやってるから興味ある」とか。だからD.Liveに関わる人を増やしていくのがいいと思います。学生や子育て中のママ。おじいちゃんおばあちゃんなど、いろんな人がゆるく関わっているのがいい。
そう考えると、D.Liveとのいろんな関わり方を用意するのがいいなと思います。お金の寄付もそうだし、物品の寄付があってもいい。
わたしは独身の頃からD.Liveに関わっていますけど、ライフステージに合わせて団体との関わり方がある。そういう、団体との関わり方の手段をたくさん団体がもっているのがいいのかなと思います。ですから、D.Liveでも、ゆるく長くつながれる体制を整えたいと思っています。まだできていないけれど・・・笑
ーライフステージに合わせてゆるく接点が持てるって良いですよね。D.Liveでは子どもの自尊感情を育むことを大切にしています。さおりさんは、ライフステージの変化にそって自尊感情の捉え方が変わったりされましたか?
ボランティアとして加わる時に、自尊感情は『いいところも悪いところも受け容れる』気持ちだと教えてもらいました。当時もなるほどって思ったけど、それが本当の意味で腑に落ちたのは最近な気がします。
2年くらい?もう少し前だったかな。結婚して家庭を持ち始めた頃、ちょっと自分が無理してるかもしれないと思ったことがあります。
平日は仕事のあと、会議やD.Liveの教室に参加していました。他にもいくつか課外活動をしていたので、平日の夜に家を開けることが多かったんです。旦那さんはそれを気にする人じゃないけど、申し訳なさを感じていました。
その頃、知り合いに「ちょっと忙しすぎないか、無理してるんじゃない?」って言われて、立ち止まってみようと思いました。
全ての活動から距離を置きました。参加頻度を減らしたり、平日の夜はやめてみたり。そこで初めて落ち着いて自分の思考と向き合う時間をもったんです。なぜ中学の頃から自信をもてなかったのか、いじめにあった時や両親とぶつかったとき、自分が何を考えていたのかということを内省して振り返る時間を持ったんです。
そして自分の思考のパターンに気づきました。わたしは、他人からの評価を気にする癖、他人からみて良いのか悪いのかを気にする癖があったんです。
そういう癖も含めて自分なんだと受けとめて、次は他人からどう思われるかじゃなくて、自分がどうしたいかという気持ちをもう少し大事にするように転換しました。これまで、他人軸だったものが自分軸に移っていくような感覚がありました。
改めてD.Liveの『自分のいいところや悪いところを受け容れる気持ち』ってみたときに、「あ、そういうことだったのね」って思えるようになりました。
わたしの場合、「わたしがこうしたい」という自分の思いよりも、「これをやったら喜んでもらえるかな」という他人の評価を求める気持ちが大きくなると、しんどくなります。
それに気づいてからは、落ち込んだりイライラし始めていると思ったら、自分自身はどうしたいか問いかけてみるようになりました。
D.Liveの活動も今やりたいからやっていると思えます。自尊感情の理解は変わらないけど、付け加えるとしたら、「他人の評価を気にすることなく自分がどうしたいかを基準にする」ですかね。
自尊感情の理解は子育ての支えにもなっています。子育てって、他人からの比較の目線にすごく晒されるんですよ。「この月齢だと、普通こういうことができるけど、まだできてないね」とか、「標準体重はこれくらいだけどまだ足りないね」とか、善意でよく言われます。
言う側は心配してくれているんでしょうけど、自分は比べられている感じがする。以前の私だったらただ落ち込んだでしょうけど、今は落ち込んでる自分をも客観的に見れています。他人の評価を気にする癖はそう簡単にはなくならないけれど、それが自分だと知っているから、「そんな風に言われた落ち込むよね。そうだよね。」なんて思っています。
ー自分を大切にするって大事ですよね、やっぱり。
これまでのわたしは、自分自身にあまりにも目を向けてこなかったというか、できてる部分に目を向けてなかった。自分に厳しく、どんなときも「まだ足りない、もっと頑張って」って自分を責めて十数年もすごしてきました。自分のことを認めてあげる機会が少なくて、他人との比較に苦しんできたなって思います。
ー6年ほどD.Liveの活動に参加されて、あらためて沙織さんが思うD.Liveの魅力や強みはなんですか?
何を言っても誰かが受け止めてくれる安心感だと思います。生徒と話しているときでも、ミーティングのときでもそれは変わりません。自分が落ち込んでて、変なことを言ってもここなら大丈夫なんだろうなって思います。仕事終わりで、いつも疲れ気味参加するんですけど帰るときには元気になってるような感じでした。
ー最後に、今後D.Liveに期待することがあればお願いします。
いまの活動を一軒家を借りてできたらと思っています。一軒家で、文化祭みたいなオープンデイをつくって、支援者も地域の人もこれるようにしたり、生徒が先生になって自分の好きなことを教えられたりしたらいいな。もしそうなったら、わたしも子どもを連れて参加したいです。