朝、起きるのがしんどい子どもたちを理解すること―「起立性調節障害」をご存知ですか

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この1年ほど、不登校にまつわるトピックを書いてきていますが、その中には書いた僕ですら反響の大きさにびっくりした記事もあります。そのひとつが、「朝起きられない子どもたち」のこと。

なぜ、不登校の子どもは朝起きられないのか

当然、子どもたちによってはきちんと朝起きる子どももいます。たとえば、不登校経験のあるHKT48の指原莉乃さんは、夜型生活とは縁遠く不登校のときでも朝はしっかり起きて家事手伝いをしていたと、著書『逆転力』で明かしています。

一方で、僕自身は超夜型人間。とくに僕は深夜番組が大好きだったせいもあり、毎晩1時2時に寝るのは当たり前。なかなか起きられず、日が傾くにつれて徐々に元気を取り戻すような、そんなタイプの不登校でした。夜型人間なところは、27歳になった今でも変わらなかったりします。

そもそもなんで不登校の子どもが生活リズムを崩しがちかといえば、ほかの子どもたちが授業を受けている間「なんで自分は学校に行けないのか」自らを責めているのがしんどかったり、昼間に家にいることに対してとてつもない罪悪感を抱えていることが考えられます。

しかし夜になれば、毎日学校に通う子どもたちも家にいる時間帯。人目を気にすることも、罪悪感もなく過ごすことができます。これが夜に元気になる正体。もちろん、起きる時間が遅いとその分ピークが暗い時間に移ることもあります。

朝起きるときに、変調を訴える子どもたち

さて、「朝起きられない」には、いくつかのパターンがあります。

僕はついつい昼まで寝てしまい、ぼけーっと起きることが多かったのですが、中には朝起きる時点で頭が痛いなど、身体の変調を訴える子どもたちもいます。しかもある日突然その変調を訴え、翌朝もその翌朝も・・・と毎日起き上がることができず、学校を欠席してしまうようになる子どもたちもいます。

「サボってるんじゃないの?」「気合が足りない!」と思われる大人の方もいると思います。でもそれがもしも、きちんとしたメカニズムが実証されて本当に身体に変調をきたしているとしたら・・・?

こんな本があります。

朝起きられない子の意外な病気 – 「起立性調節障害」患者家族の体験から (中公新書ラクレ)

中学1年のある朝、突然朝起きる際に頭痛がすると変調を訴え、ベッドから抜け出せなくなった著者の息子。最初はサボりたいのかと思ったものの、何日も毎朝続く「まるで死人のような蒼白な顔」にこれは何か重大な病気がひそんでいるかもしれないと直感した著者は、彼を連れてかかりつけ医を受診する。

そこで示されたのは、「起立性調節障害」という病気の可能性だった・・・。

この本はこんなエピソードから始まります。それは同時に、朝に起きることができず、日常生活に様々な困難が待ち受ける「起立性調節障害」に親子で立ち向かっていく物語の出発点でもあります。

「起立性調節障害」は起き抜け、全身に十分な血液がめぐっていなかったり、交感神経が活性化しないことによって引き起こされます。それは、無理ぐり朝起こして改善するようなものではありません。そうすれば逆にむしろ悪化する可能性があります。

この親子も、まず15分かけて目覚めさせ、30秒かけてゆっくり起き上がる・・・などと段階を踏んで起床する必要があること、そして水分を多めに取ること、など医師からもらったアドバイスが、起立性調節障害とうまく付き合う第一歩でした。

そして、耳慣れない「起立性調節障害」という言葉に戸惑いながらも、著者は「怠けではない」という医者の言葉を信じ、息子への手厚いサポートを決心するのです。それが彼にとって大きなプラス要素として、周囲の環境をも味方につけて自分を取り戻していくきっかけとなっていきます。

「起立性調節障害」に必要なのは、周囲の理解

この本では、「起立性調節障害」には周囲の理解が重要だということがたびたび取り上げられています。そして実際、息子がこの起立性調節障害とうまく付き合えたのは、著者である母親はもちろんのこと、間違いなく周囲の温かな見守り、支えが功を奏しています。

病名がわかっていの一番に母親がしたことは、クラスの生徒に向けて自分の息子の症状についての手紙を書いたことでした。そして、家庭教師のお兄さんやその彼女、担任の先生、隣に住むおばさん、などなど、ともすれば誤解される危険性のあるこの病気について深く理解し、体調と戦う彼を支えました。

それは、母親がきちんと起立性調節障害に対する知識をもち、周囲に根回ししたことも大きいでしょう。でもそれ以上にこの親子の周囲は温かい人に恵まれていた。息子にとっての「ナナメの関係」がうまく機能していたという見方もできます。

この本の後半では親や子ども、いわゆる起立性調節障害当事者の声も寄せられています。とくに親の声で目立つのが家族の無理解。なかなかこの症状が受け入れられずに「甘やかしているだけじゃないのか」と誤解する家庭も多いようです。中には医者にすら理解されなかった症例もあります。

しかし起立性調節障害はそんな甘いものではありません。むしろ甘えているのは無理解な家族のほうだと言えます。起立性調節障害を家族はもちろん、周囲の大人が正しく理解し、子どものペースに合わせた生活を許容することで、どのケースもようやく快方へ向かっています。

朝、起きないことを叱責する前に

たびたびお邪魔する不登校の親の会でも、朝起きられない話になると「起立性調節障害」という言葉がすんなり出てくるようになりました。実は僕はこの言葉を知ったのがごくごく最近なので、おそらく「起立性調節障害」の7文字が世間に徐々に浸透しているのだと思います。

ですが、僕はまだまだ世間には知られていないのではないか、と感じます。上記で取り上げた本の執筆にあたり、著者が起立性調節障害について厚生労働省に問い合わせたところ管轄部署はないとのこと。これを受けた「死なない病気は対応が進まない」というある医師の見解が、とても複雑です。

繰り返しますが、学校がしんどい子、不登校の子どもが朝起きられないのには、理由があります。同時に夜の時間帯に急に元気を取り戻すことにも理由があります。しかし、どうしても周囲は「怠け」「サボり」と言った言葉で、その生活を誤解し、ときには強烈な非難さえ浴びせることもあります。

その非難は、ハッキリ言ってすぐに止めるべきです。なんの意味もありません。

本当に子どもたちに規則正しい生活を送ってほしいと願うならば、朝起きられない理由をきちんと分析してあげましょう。その上で、顔色が悪いなど明らかに体調を崩している場合は、病院への受診など様々な選択肢を冷静に見極めることが大切です。

朝起きられないことは、たしかに日常生活に大きな影響を及ぼします。ですが、起立性調節障害の症例のように、うまく血液が体内を巡らないと無理ぐり起きてもしんどいだけ。これは大人でも同じでしょう。焦らず、ゆっくりとした起床ができる世界を、朝起きるのがしんどい子どもたちは待っているのです。

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山本 駿

山本 駿

子どものころより人一倍敏感な特性を持ち、中学3年間を不登校で過ごす。大学卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画し、現在は通信制高校教員を両立しながらTRY部や不登校講演事業を中心に担当。HSP(Highly Sensitive Person)特有の繊細さを活かし、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。