不登校になる子どもの気持ちを知りたいアナタへ

 

-不登校-
『何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、
 あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの』文部科学省

不登校になる子は、なにか問題を抱えているのだろうか?
特別な人間なのだろうか?
他の子どもと比べて、どこか劣っているのだろうか?

不登校・登校拒否の問題に30年以上カウンセラ−として関わっている高垣忠一郎先生は、こう話す。

「不登校・登校拒否の問題は、特別な子どもの特別な問題ではありません。今の日本という社会の中で生きている人間が共通して抱えているしんどさや、生き方の問題が、学校に通う子どもにあらわれたものが登校拒否なのです」

元気そうに見えてピンピンしている子が学校へ行けなくなることもある。
不登校は、どんな子どもにも起きる現象だ。

僕自身、高校・大学と不登校を経験した。
しかし、そこから立ち直り、学生時代は政治家の秘書やテレビ制作会社でのアシスタント、カフェ運営をおこない、今ではNPO法人を立ち上げて、代表として働いている。

先日、新聞で僕の半生についてインタビューをしていただく機会があった。

13501571_1130852073622966_1258142372478953458_n

そのとき、「どうして、不登校から立ち直ったあとでこんなに活動的になったのですか?なにかキッカケがあったのですか?」

はじめ質問をされたとき、意味がよく理解出来なかった。

僕は元々アクティブな性格で、好奇心が旺盛だ。
キッカケもなにも、「生まれたときからそうなんです」としか言いようがない。

しかし、世間はそれがわからない。
不登校になる子は、「暗い」「心になにか抱えている」なんていう風に思われているのだろう。
だから、不登校になるような僕が「急に活発になった」(なっていないのに!!)のがとても不思議なのだと思う。

目次

「急に不登校になった」なんてことを言うけれど、本人は別に急になっているわけではない。
しんどさが少しずつたまっていき、それが結果的に“学校へ行けない”という結果が出たに過ぎない。

 

不登校の子を考えるときは、「恋愛」で考えてみる

file000202384719
僕は、“不登校”という現象に向き合うときに、『恋愛』のように考えるといいと思っている。

あなたが1人の誰かに好意を持ったとしよう。
まずは、どうしようと思うだろうか?

きっと、「もっと知りたい」と思うに違いない。

好きな食べ物や趣味、週末になにをしているのか。
相手に興味を抱き、相手の情報を集めようとする。

ただし、ここで分岐点。

うまくいく可能性が高いのは次のうちどれだろう?

A : 恋愛本を読み、オシャレなレストランへ誘う
B : 相手の趣向を知り、その人が好きな料理が食べられるレストランへ行く

答えは、明白。(もちろんBだ)

どれだけステキでおしゃれなレストランでも、油っこいものが苦手な人にフレンチレストランへ誘うのは得策ではない。

恋愛のポイントは、「みんなにとって良い策」ではなく、「その人に合った策」だ。

自分の好きという思いがどれだけ強かろうが、相手をしっかりと見ていないと、なにも届かない。

恋愛の初手は、きっと“相手をしっかりと知る”ことから始まる。
知ることで、次の打ち手が決まる。

打ち手が効果的かどうかは、どれだけ相手のことを知り、考えるかにかかっている。

デート前やプレゼントするときを考えてみるといい。
あなたはきっと相手のことを考え、「どうすれば、喜んでもらえるか?」を徹底的に考えたハズだ。

 

不登校の子たちの気持ちを知って欲しい


girl-542887_1280

不登校について考えるときも、これと同じ。

学校へ来ない子。
学校へ行けない我が子。

彼ら、彼女らについて考えるとき、まずはじめは“知る”ことから始まる。
子どもたち本人を知ることが必要になるのは当然。
ただ、その前に「不登校状態にある子」「不登校になる子」についてもしっかりと知っておく必要がある。

どうして、不登校になるのか?
不登校の子はどんな気持ちなのか?
どのように関わればいいのか?

1人1人によっていろんな違いはあるけれど、傾向は確かにある。

「なんでこの子が?」
「なんでうちの子が?」

なんて思うかも知れないけれど、不登校になる子は誰かに比べて劣っているわけでは決してない。

人より繊細だったり、人より正直、誰よりもマジメなだけ。

まずは、あなたにお願いしたいことは「不登校の子を知って欲しい」ということだ。

愛する人を知ることと同じように、不登校になってしまう子がどんな気持ちになっているのか、なぜそうなってしまうのか?

知ることで、対策を練ることが出来る。

相手が嫌いなモノを知らない中でレストランを選ぶのは難しい。

トマトが嫌いな人をイタリアンレストランに誘うのが敗退行為であるように、不登校の子たちの心理をわからず、「やる気がない」「イヤなことから逃げている」などというレッテルを貼ることになんの意味もない。

不登校の子どもたちは自分自身でも、なぜ学校へ行けないのか説明出来ない子も多くいる。
実際、僕たちの教室(TRY部)にも、「なんかしんどくて行けない」と話す子もいた。

いじめられているワケでもない。
友達もいる。
けれど、学校へ行くことが難しい。

そんな子たちの気持ちを理解し、読み解くことはとても大変だ。

だからこそ、しんどさを抱えた子とカウンセラーとして30年以上関わってきた高垣先生の話はきっとあなたにとって大きな価値がある。

高垣先生ですら「カウンセリングの場面で出会う人たちの中には、私には容易に理解しがたい感じ方や“生きる世界”を持っている人がいる」と言うのだから、尚更だ。

ゲームの攻略本のように、全ての謎が解き明かせるわけではないけれど、きっと子どもと関わる上での大きなヒントにはなるだろう。

IMG_0077

「自己肯定感(自尊感情)を持てないことが、今の子供や若者たちの生きづらさの核心にあると私は心理臨床を通して痛切に感じてきました」と高垣先生は話す。

 

自己肯定感(自尊感情)は、いろいろな意味で用いられるが、高垣先生は下記のように説明している。

「私の言う『自分が自分だって大丈夫』と言う自己肯定感は自己の存在そのものを肯定する自己肯定感です。その自己肯定感はテストと言う部分的な能力や特性を図るものによって育てられたり、傷つけられたりするものでは、そもそもないのです」

僕は、自己肯定感(自尊感情)についてここまでわかりやすく説明出来る人を他に知らない。
子どもと向き合い、心を見ていく中でこの言葉を形作っていったのだろう。

高垣先生の著書は、どれも“子どもの気持ち”をメインに扱っている。
決して、“子育てマニュアル”ではない。

『生きづらい時代と自己肯定感』
『生きることと自己肯定感』

タイトルだけを見ると、あなたは「少しとっつきにくいな」と思うかも知れない。

実際、自己肯定感について「操作的に育てることは出来ない」と高垣先生が話すように、誰もがわかるような“ハウ・ツウ”は存在しない。

しかし、高垣先生が出会ってきた子どもたち、関わる中で培ってきた知見はきっとあなたの役に立つだろう。

「簡単に解決策を教えて欲しい」と思うのなら、この講演会はオススメしない。

でも、「子どもの気持ちを理解したい」「不登校になっている我が子をなんとかしたい」と思うアナタには、きっと光が射す機会になるだろう。

不登校のプロでもある高垣先生を招くことが出来るのは、僕としてもとても嬉しい。
なにより、僕自身が先生のお話をとても楽しみにしている。

これだけの現場経験を持ち、言葉として説明出来る人は多くない。

ほとんど告知をしていないにも関わらず、3割ほどの席がすでに埋まってしまっている。

・自信が大切なのはわかるけど、自信をつけるには具体的にどうすればいいかわからない
・思春期になり、どのように子どもと接したらいいか困っている
・生きづらさを抱えた生徒への接しかたで困ることがある
・自己肯定感が大事と言われても、どうすればいいかわからない

そんなあなたの来場をお待ちしている。


〈 高垣 忠一郎 さん プロフィール〉
心理臨床家。1944 年高知県生まれ。1968 年京都大学教育学部卒。専攻は 臨床心理学。京都大学助手、大阪電通大学教授、立命館大学大学院教授など を歴任(2014 年 3 月退職)現在は、登校拒否・不登校問題全国連合会世話 人代表。主な著書に『自己肯定感を育てる作法』『登校拒否を生きる』『生きづ らい時代と自己肯定感』『不登校支援ネットワーク』など。

 

【追記】

高垣先生講演会をおこないました。その模様は、下記の記事をご覧ください

「私は私であって大丈夫」高垣先生が語る思春期の子どもを認める関わりと自己肯定感

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
詳しいプロフィールはコチラから

目次