成長するために大切なのは『何か』を小栗旬が教えてくれた

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映画のエンドロールが流れ出した頃、僕は静かに手をたたいていた。

「これだよ!これ!」
一人、部屋でつぶやいた。

僕が大切にしているもの。
子どもとの関わりで大事にしているもの。

それをまるで代弁してくれるような映画だった。

人は、どのようにして成長するのか?
どうすれば、自信を持てるようになるのか?

そのために必要な「なにか」をこの映画は教えてくれる。

大きな展開もなく、淡々と物語は進む。
けれど、少しずつ変化する主人公の二人。

職人気質な木こりと気弱な新人映画監督。

映画監督の青年は、25歳。
ベテランの助監督にベテランの撮影監督。
撮影シーンのOKですら、自分で出せない。
しまいには、木こりに「今のOK(良かった)ですか?」と、聞く始末。

そんな青年が、木こりと出会い、変わっていく。

大きな出来事があるわけではない。
事件も起きなければ、そんなに困ったこともない。

ただ、人との関わりの中で、青年は成長していく。

木こりも同じ。

自分の息子と同じ名前である青年と関わることで、少しずつ変わっていく。
3年前に妻を亡くし、息子と2人暮らし。
不器用な木こりの彼は、うまく息子と話すことが出来ずに衝突ばかり。

しかし、青年と接することで、木こりにも変化が起きる。

僕はこの映画を見て、人が成長する様を見た。

成長や自信をつけるためにはどうすればいいかと言うと、きっとこんな言葉が並ぶだろう。

成功体験、挑戦、努力。

よく自信をつけるためには、成功体験をつけるのが大切だと言う。
けれど、僕はこれは少し矛盾してると感じている。

走るのが嫌いな少年に「マラソンが走れるようになれば走るのが好きになるよ」と言うようなものだ。

3キロですら走れなくて苦労しているのに、フルマラソンなんて走れるわけがない。

自信も同じ。
自信が持てなくて苦労しているのに、成功体験をつくるのは難しい。

たとえば、よくある物語。

気弱でいじめられている少年が、あるキッカケによって目覚め、冒険に出る。
その中で、いろんな経験を通して少年は成長する。

イメージしやすいのは、ハリーポッター。
家に居場所がない彼の元へある日、大男がやってきて「君は魔法使いだ!」と言う。
そして、魔法学校へ行って、悪と戦うようになっていく。

物語には、キッカケや決意がある。

桃太郎は、「鬼退治へ行く!」と決意する。
アナキン・スカイウォーカーは、「ジェダイになる」と決意して、親元を離れる。

しかし、日常の中で、そのような決意が生まれることは少ない。

テレビや雑誌、本で感化されて「早起きしよう!」「毎日読書しよう!」なんて決めても1週間もすれば忘れる。

ハグリッドが突然やってくることもなければ、
クワイ=ガン・ジンが自分の力を見抜いてくれることもない。

ただただ、日常はいつものように過ぎていく。

その中で大切なのは、大きな決意でも、人生を変えてしまうような劇的な出会いでもない。
それを僕は、見ていた映画の中から学んだ。

映画の撮影に来た山で、たまたま道案内をしてもらう。
そんな些細なキッカケによって、青年と木こりは次第に心をかよわせていく。
木こりとの関係が変わっていくことで、青年も変わっていく。

助監督に叱られ、撮影監督からも怒鳴られていたのが、少しずつ自分の意見が言えるようになる。

木こりとの出会いや関わりによって、青年は成長していくことが出来た。

これは現実の世界も同じ。
自信は、他者との関わりから身につく。

誰かから認めてもらう。
悩みを受け止めてもらう。
うれしい言葉をかけてもらう。

他人からしたら何気ない一言が、自分には大きく響くこともある。

青年が自信を持てたキッカケは、木こりに「おもしろいよ!」と脚本を褒められたことから。

他人との関わりの中で人は成長していくことをこの映画は教えてくれる。

木こりは、青年と過ごすことで息子への態度も変わる。
不器用で、うまく息子と会話も出来なかった彼もまた、人との出会い、関係によって成長していく。

大切なのは、「他人」ということ。

ナナメの関係という言葉がある。
親でも友達でもない、第三者。

親にも友達にも言えないことがある。
親には、言われたくないこともある。
友達に、言われたくないこともある。

少し離れた関係だからこそ、より客観的になれる。

木こりと青年は、親子ほど年齢が離れている。
青年の父を思い、木こりが涙ぐむシーンがある。

青年と触れ合うことで、木こりは「若者の気持ち」を知り、息子を理解しようと思っていく。
映画の世界と林業。

全然関係のない二人だからこそ、心を通わせることができたのだろう。

はじめは、「すいません」しか言えなかった青年が、少しずつ自己主張をしていく。

人はこうやって関わりの中で成長を遂げていくのか。
それを知ることが出来る映画だった。

きっと、今も世界のどこかで、人々は出会い、その関係の中で成長しているのだろう。

一期一会。
もしかしたら、見過ごしてしまうくらいのささやかな出会い。

でも、それは漢方のようにじんわりと人の成長を促す薬になるのかもしれない。

人は、関係性の中で成長していく。
第三者の関わりによって自信をつけていく。

成長するために大切なのは、人との出会い、関係性だと、小栗旬演じるこの青年の成長が教えてくれた。

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田中 洋輔

田中 洋輔

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒 中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。 しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。 野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。 浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。 友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。 フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。 京都新聞にして子育てコラムを連載中。 詳しいプロフィールはコチラから