不登校中学生が大学受験をするまで

先日、フリースクール昼TRY部に通う高校生が大学の総合型選抜一期を終えました。総合型選抜は、昔のAO入試みたいな試験です。志望理由や、試験当日に受講する大学での授業態度、面接などで決まる試験のことです。まだ結果はわからないのですが、試験当日は楽しく授業を受けることができたそうです。

フリースクール昼TRY部では、この生徒のために夏はずっと試験対策の個別指導をしてきました。グループワークのポイントを解説し、定着を図るために何度もグループワークをしました。プレゼンの要点を伝え、伝えたいことの要点をまとめる練習もしました。面接練習もおこたりません。志望理由や高校生活で力を入れたことなど、定番の質問に対する答え方も練り上げました。こちらが出した多すぎる宿題に音を上げることもありました。お盆前にはさすがにやりすぎたと自分も少し反省しました。

今年の夏は、生徒にとって、これまでで一番頭を使った夏になったことでしょう。5年前に彼がフリースクールに来たころからは、お互いに想像もできない夏でした。

5年前。生徒は不登校の中学生でした。フリースクールに通い出したころは部屋の隅っこでゲームをしている姿が印象的でした。スタッフや他の生徒たちとの関わりかたを探っていたのでしょう。中学3年生になり、勉強しなきゃと思うようになってからは通う日が増え、一緒に勉強をするようになりました。

思えば、中3から始まった勉強の時間が、フリースクールでの対人関係に慣れる意味でも、自分の心を整える意味でも、有意義な時間だったように感じます。というのも、この生徒とは国語を主に取り組んでいました。今の国語の教科書で扱われている題材をご存知でしょうか。『少年の日の思い出』(ヘルマン・エッセ著)や、『故郷』(魯迅著)も載っています。もちろん。しかし、この他にも思春期の心に触れる題材がちょうどいいバランスで載っていて、問題を解きがてらいろんなお話ができました。

「エーミールのように、誰かを責めずに、ただ軽蔑したことはありますか?」
「反対に、『僕』のような、今でも思い出せる後悔や、取り返しがつかないと思った経験はありますか?」

そんな話を勉強がてら、よくしていました。念のために説明しますと、この会話は別に私が強要したわけではなく、生徒が持ってきた問題に含まれていたので、これ幸いとばかりに生徒と話していたのです。

高校に進学し、学校から出される課題を解きながら、進路についても少しずつ考えていたようです。お家の人や学校からの働きかけ、それにフリースクールで会う先輩が大学入試に向けてがんばっている様子を近くで見ていたことも大きかったのでしょう。よく、「来年は自分がこうなるのか・・」と言っていました。

子どもが不登校になって、お家にこもるようになると保護者としては将来への焦りが生まれてしまいます。一生このままじゃないかという不安や、先々のことを話そうにも話せない孤独感がどうしても付きまといます。

軽率に「大丈夫」とは言い難いですが、それでも、学校じゃなくてもどこかにつながることができれば希望は見えてきます。自分もこの生徒が大学受験を希望するなんて、出会った当初は思いもしませんでした。本人も同じだと思います。一年ずつ、目の前のことを取り組んでいるうちに大学進学までたどり着いた。そんな感覚です。

先々を心配してしまう方にとっては、なんとも頼りない話で申し訳ないです。ただ、どのフリースクールも長いスパンでじっくりお子さんと関わる気持ちを持っているはずです。少なくとも昼TRY部はそうです。

ここまでお読みいただいて、「もしかしたらウチにも希望が出てくる・・?」と思われましたら、ぜひ一度フリースクールにご面談・ご見学にいらしてください。最初は保護者さんだけでも大丈夫です。

昼TRY部はいつでもご連絡お待ちしております。

>フリースクール昼TRY部はこちらをタップ

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この記事を書いた人

D.Live副理事/元小学校教員
自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。
自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。

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