「逃げ恥」石田ゆり子が教えてくれた、社会人がご機嫌に働くための処方箋

社会人の皆さん、こんにちは。

D.Liveの得津ともうします。

 

この記事ではじめてD.Liveのブログ読んだ方もいるでしょうから、

ぼくの仕事についてまずは少しお話しさせてください。

 

ぼくは平日の日中は不登校の子ども向けにフリースクールをして、

夜は、中高生向けに計画力や実行力をきたえて、子どもの自信を育てる塾をしています。

土日は月1、2回ほど保護者さんに向けて講座を開いています。

 

社会人の皆さんにどうしてぼくの仕事の話をしているかというと、

ぼくが仕事で感じたことが、社会人の皆さんのお力になれるのではと思っているからです。

 

日々仕事でどんなことを感じているかと言いますと、

ぼくが関わっている子どもも保護者さんも、「自分は自分で大丈夫」という感覚がすごくうすい。

「どうせ俺はダメなやつだし」という生徒がいたり、「私がやってきたことが全部間違ってたんじゃないかって自分を責めちゃうんです」といったりするお母さんもいました。

「自分は自分で大丈夫」という感覚がうすい子どもや保護者さんはすごく辛そうにしています。

ぼくが、「そんなことないよ。すごくがんばっているよ!」と言っても、全然本人に届いていない。

SNSで見かける友達の投稿を見るたびに、相手とくらべてへこんでいる。

子育て本を読んで、自分が出来ていない部分ばかりが目について自信をなくしている。

常に劣等感や不足感が彼らの頭を占めているんです。

 

子どもや保護者が、自分は自分で大丈夫という感覚を持てないのはどうしてでしょうか。

ぼくが社会人の皆さんにお伝えしたいのはこの部分です。自信をなくしたり、劣等感や不足感ばかりが自分の頭を占める理路はちょっと複雑ですが、社会人の皆さんも聞けば、納得してくれるはずです。

自信をなくして自分を責めるようになってしまう理路と対処法をこれからお話しすることで、仕事のやりがいが持てずに常に劣等感や不足感がつきまとう社会人の方々が、自分は自分で大丈夫だという感覚を取り戻せる。

明日からご機嫌に働くためのスタートを踏み出せる。

そんな話を今からします。どうぞよろしくお願いします。

 

最初に結論を話してしまえば、自分に自信が持てず仕事のやりがいも感じられないのは、あなたの職場が呪いの言葉であふれているからであり、対処法としてはそこから逃げることです。

何を言っているんだとお思いでしょうが、もう少しお付き合いください。

まだ始まったばかりですから、じっくりいきましょう。

 

今の社会は呪いの言葉であふれています。

そして、そこから逃げることの大切さを分かりやすく表現したのが「逃げるは恥だが役に立つ」というドラマです。

女優の石田ゆり子さん演じるアラフィフ女性「土屋百合」が、このドラマの最終話で若さこそが自分の価値だと思っている20代女性と会話する場面がありました。

アラフィフ女性「土屋百合」は会話の最後に、次のように相手に語ります。

「私が虚しさを感じることがあるとすれば、あなたと同じように感じている女性がこの国にはたくさんいるということ。今あなたが価値がないと切り捨てたものは、この先あなたが向かっていく未来でもあるのよ。自分がバカにしていたものに自分がなる。それって、辛いんじゃないかな。

私たちのまわりにはね、たくさんの呪いがあるの。あなたが感じているのもそのひとつ。自分に呪いをかけないで。そんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまいなさい。」

 

 

ぼくが言いたい呪いの言葉は決してオカルト的なものではありません。

自分を貶めようとする言葉、自分を否定しようとする言葉のことです。

 

この呪いの言葉についての詳細を、思想家の内田樹さんはインタビューの中でこのように語っていました。

 

ーー「呪いの言葉」は、人を記号化したり、カテゴライズしたり、一面だけを切り取ってその人の全体を表してしまう言葉です。「反革命」とか「非国民」とか。本来は多様で複雑な人間の存在を、単純化し、記号化してしまう。例えば、ある作家について語るとき、その人の著書も読まずにインタビュー記事の一行だけをつかまえて、全人格を否定するような人がいますね。「あいつは所詮○○だ」と、ひとりの人間を言い切ってしまう。そういう切り方が現代では「スマート」と思われています。でも、それはスマートなのではなく、「呪い」をかけているだけなんです。 「呪い」は強烈な破壊力を持っており、人の生命力を減衰させて、前向きな気持をなくさせます。そういった言葉を発する人は、他者が傷つくさまや評価が下がるのを見ることに快感を覚え、その感覚の虜になってしまいます。けれど、実は他者以上に自分の生命力も傷つけてしまっている。「呪い」は必ず自分にも跳ね返ってくるのです。

 

 

強烈な破壊力で私たちの前向きな気持ちを無くさせる呪いの言葉。このような言葉を浴び続けると人はどんどん否定的・攻撃的になっていきます。

何かの機会で子どもと関わったことのある方は、子どもの言葉の悪さやキツさに驚かれたことはありませんか。

今の子どもは思春期になっていくにつれて全体的に言葉がキツくなっています。

2chやツイッター、オンラインゲームで人を煽ったりバカにしたりするような言い方に慣れており、まさしく呪いの言葉で相手を傷つけることの快感にハマってしまっているんです。

 

みなさんも職場にいませんか。

すぐに相手をどなったり、こそこそ悪口を言ったりするばかりの人。

このような人たちもまた呪いの言葉の快感にハマっています。

 

では私たちの前向きな気持ちを奪い、自己否定に向かわせる呪いの言葉にどのように対処するか。

まずは逃げることです。

先ほど紹介したドラマのセリフの通りです。さっさと逃げてしまいましょう。

耐えることや我慢することが美徳だと思っている人もおられますが、辛いことを耐えたり我慢したりすることは自分のパフォーマンスを下げることになります。我慢を続けると、やがて耐えることや我慢することそれ自体が目的になってしまいます。

 

ジョージタウン大学のクリスティーン・ポラス教授は、自身の研究で以下のことを明らかにしました。

・直接暴言を吐かれた人は処理能力が61%、創造性58%落ちる。

・自分の属しているグループに暴言を吐かれた人は処理能力が33%、創造性39%落ちる。

・他人が暴言を吐かれるのを目撃しただけでも処理能力が33%、創造性39%落ちる。

 

科学的にも、自分がイヤだなと思う場所に居続けることの不健康さが指摘されているんです。

何度でも言いますが、恐ろしい呪いからはさっさと逃げていいんです。

 

では実際問題、どう逃げるのか。あるいは自分が居心地の良い場所をどう作っていくかです。

逃げると言っても部署の異動が難しかったり、簡単に転職できなかったりという人がほとんどだと思います。

オススメは家でも職場でもない自分が居心地よくいられる3つめの場所を持つことです。

スポーツジムでも、地元の集まりでも、サークルでもいい。

親でもなければ、仕事の肩書で呼ばれることもない。

そんな別の自分でいられる場所や関係を1つでも持つことです。

知り合いのお母さんは、ずっとママさんバレーを続けているからストレス発散になっていると言っていました。

ぼくの場合は大学の友だちとの付き合いが3つめの場所として機能しています。

もう大学を卒業してずいぶん経ちますが、卒業してもずっと二ヶ月に一回の定例会が続いています。

 

ボランティアに参加するのも1つです。「プロボノ」という言葉をご存知でしょうか。

社会人が自分のスキルを活かして、自分のペースでボランティアに参加されることをいいます。

まだまだ知られていない言葉ですが、プロボノとして参加されている方は職場とは違ったやりがいや充実感を感じている人が多いそうです。

 

呪いの言葉から逃げ、ご機嫌に働くための1つの方法として、家でも職場でもない場所に属したり関係を作ったりすることが大切だと言いました。

実はもう1つ大事なことがあります。それは、自分が相手を呪わないこと。それ以上に、自分で自分を呪うような言葉を言わないことです。

自分が発した呪いの言葉は自分にも返ってきます。

ドラマ「逃げ恥」の例をもう一度出しますと、若さこそが価値だと話す20代女性は、アラフィフ女性「土屋百合」の否定を通して結果的にやがて来る老いた自分に価値がないと呪いをかけたことになります。

このような自分にかけた呪いが一番自分で解きにくいです。

自己否定が強いときに、周りからどれだけたくさん褒め言葉をもらっても届かないですよね。

褒められた側は「いやぁ私は、まだまだですよ。」と言ったり、「でも私、この部分の仕事できてないのでダメですよ。」と言ったりする。

これって、結局自分への呪いをかけていることになる。

自分への呪いが解きにくい理由の1つが、このありがちな謙遜です。

ありがちだから見過ごされやすいんですが、謙遜も繰り返すと劣等感が常につきまとうようになります。

 

解きにくい自分への呪いにも対処法があります。

呪いの言葉に対して効果があるのは祝福の言葉です。

 

もう一度内田樹さんのインタビューを引用します。

ーー「祝福の言葉」は逆に、目の前の人間や物事について、それを「語り尽すことができない」という謙抑的な態度を示すことだと思います。世界の深み、厚みに対する慄(おのの)きや感謝を忘れないのが「祝福の言葉」です。

 

職場で誰かが知らないうちにゴミ捨てをしてくれていた。あの人がお茶を入れてくれた。仕事を代わってくれた。夜遅くまで下準備を進めてくれていた。

働いていると、売り上げやノルマ達成率などの数値では表せられない多くのがんばりや気遣いがあります。

普段はそういうものに注目されることはありません。でも自分が働いている目の前で起こっているのは「そういうもの」の方が圧倒的の多い。「そういうもの」にこそ目を向け、ありがとうと言ったり、礼節を持って接することが祝福です。

つまり、呪いを解くためには相手を認めることです。同僚のちょっとした気遣いへのお礼言ったり、あの人気難しいところはあるけどこの部分は良いよねと認めたりする。

 

子育てでも同じです。

親としての努力や家事なんて認められることって本当に少ない。

だから子育てのシーンでは自分は自分で大丈夫という感覚を持ちにくくなっています。

ご飯美味しいねとか、ゴミ捨てありがとうと言うだけで、呪いが少しずつ解けていきます。

 

自信をなくしたときや、劣等感や不足感が頭を占めている時に、相手を褒めたり感謝したりなんて出来ない。

そんな意見も分かります。妬み嫉み(ねたみそねみ)もでてくるでしょう。

でも、あなたが自自信を取り戻しご機嫌に働けるためにこのような態度を持って欲しいのです。

小さなことで構いません。

意味がないと思っていたこと、価値がないと思って切り捨てたことにもう一度目を向けてください。

もし、あなたが仕事のやりがいや自信を失っていたなら、聞いてください。

あなたのがんばりは意味も価値もあるのです。自分への呪いをやめ、自分や相手へ祝福の言葉をおくってください。

 

最後に、どうしてぼくがこんな話を社会人の皆さんに話したか根っこの気持ちを言いますね。

ぼくは皆さんがご機嫌に働いて毎日を過ごして欲しいと心から願っています。

自信をなくしたり、劣等感で頭がいっぱいになったりすることをぼくの仕事では自尊感情が下がっていると言います。ぼくの仕事は子ども達の自尊感情が下がっているのを食い止め、大人になった時に前向きにがんばれる人を育てることです。

 

そのためには、働くみなさんの姿が大きな役割を果たします。

子どもは大人の背中を見て育ちますから、みなさんがロールモデルな訳です。

ロールモデルにはいきいきとしてほしい。ご機嫌でいてほしい。

そんな姿を見たら、子ども達もご機嫌になるだろう。

ぼくはそう考えています。

 

これからの社会を考えると、「お前の代わりはいくらでもいる」なんて言える社会じゃありません。

余人をもって代え難い社会です。だからこそ、社会人の皆さん一人一人がご機嫌に働けることをぼくは心から祈っています。

 

宣伝になりますが、ぼくの職場では3件子どもと関わってくれるボランティアを募集しています。

社会人の方も大歓迎です。

ご機嫌に働く方法として、もし興味があったらお問い合わせください。

D.Liveが募集しているボランティア情報はこちらから

 

 

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この記事を書いた人

D.Live副理事/元小学校教員
自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。
自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。

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