学校の先生がすぐできる子どもの自尊感情の育てかた【実践紹介】

こんにちは、スタッフの得津です。

昨今、子どもの自尊感情が低いことが内閣府や学力学習状況調査でも明らかになり、子どもの自尊感情を育てようという機運が学校現場でも高まっていす。おそらく、学校の先生も研修等で「子どもの良いところを見つけましょう」とか「子どもが居場所を感じられる集団づくりをしましょう」と言われていることでしょう。

でも、具体的にどのように伸ばしたら良いのか分からない。今日はそんな学校の先生に向けて、これまで見聞きした実践も踏まえて子どもの自尊感情を育てるヒントをご紹介します。

難しい実践ではないので、明日からでも取り組めます!

改めて自尊感情とは

自尊感情とは「自分のいいところも、悪いところもかけがえのない自分」として受け入れる気持ちのことです。それは、「包み込まれ感覚」「社交性感覚」「自己効力感」「自己受容感覚」の4つから構成されると私たちは定義しています。

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私のおすすめはこの4つのうちから自分の得意なものや、できそうなものから取り組んでみることです。

なんでも一気に全部やろうとするのではなく、子ども同士の関係づくりがうまい人は関係づくりを、子どもの目標達成の支援が得意な人はそちらをまずは重点的に取り組めば良いんです。

いくつか私が見聞きした実践をご紹介します

目標にむかって粘り強く取り組める自己効力感を育てたいあなたへ

小学校での実践

<大人に夢をインタビューし、自分の夢を作文にする>

これは私が小学校の先生をしていたときの実践です。私は、子どもが夢をもてるような学級経営がしたかったので、3学期に自分の夢について作文を書いた本を作る実践をしました。ただ自分の夢を文章にするのではなく、それまでに働く大人にインタビューさせたり、自分の夢が周りをどのような面で幸せにするのか考えたりもしました。

この実践をしているときは、自分のやりたいことをやっていたので自分も生徒もかなり生き生きと取り組むことができました。小学校低学年での実践でしたので、夢や憧れを具体的に描くことで「やってみたい」「やれるかも」という自己効力感を生みだすことがねらいでした。結果、子どもたちのふり返りでもねらいに近づいた感想を得ることができたので、やってよかった実践の一つです。

1コマ目:身近な大人にインタビューする項目を伝え、インタビューの練習する
2コマ目:インタビュー結果を発表し、職業に限らず自分はどんなことをしたいのか考える
3コマ目:自分がしたいことを基に改めて自分がしてみたい職業を調べる
4コマ目:作文に書く

<ノートやテストの添削で過程に注目したコメントを書く>

丸付けのときにどんなコメント書いていますか。自分が尊敬する先生はノートチェックのときに、問題を解く時に工夫していたことや、ノートに書いてないけどがんばっていたことを短くコメントに書いていました。結果じゃなくて過程に注目することは自己効力感につながります。ちょっとの工夫で取り組める素晴らしい例を教えていただきました。

高校の先生の実践

目標を持たせるだけでなく、自己効力感を育てるには他にもたくさんの方法があります。ぼくが関心したのは、高校数学の先生が行っていた実践です。この先生は、毎回1時間に使う数学のプリントを難易度別に5種類用意しているんです。

生徒たちが、自分なりに「できそうかも」と思う難易度のプリントに挑戦して、その授業のめあてや課題を理解するという取り組みでした。正直数学は苦手科目に挙げる生徒も多いです。だからプリントをもらっても見た瞬間にやる気をなくす生徒もたくさんいます。そんな中で、この先生は自分なりに課題を選択させて生徒の「これならできそうかも」という気持ちを引き出していることが素晴らしいと思いました。

課題に対して、「これならできそうかも」という気持ちを持たせることも自己効力感の醸成につながります。
他には、お手本を示してあげることも1つですね。

子ども同士がつながりを感じられる社交性感覚を育てたいあなたへ

小学校の実践

「信頼ベースの学級ファシリテーション」という本があります。私は、この本にかいてある実践を一年間とことん取り組み続けたクラスの動画を、以前見せていただきました。

クラスは小学校の低学年でした。私が見たのは、月曜日の朝の会の様子です。
先生が「土日にあったことというと?」と投げかけると、ペアになって子どもたちがいきいきと話し出しました。

しかもすごいのが、聞き手はホワイトボードに相手の話をメモしながら聞いているんです。

この先生は、ホワイトボードを話し合い活動に取り入れたり、友だちと関わりあうアクティビティを取り入れたりと、お互いが過ごしやすい環境づくりを徹底していました。

アクティブラーニングが推奨されている現在の学校現場とも、とても親和性が高い実践だと思います。

こちらの本で取り上げられている実践の一つに「質問の技カード」というものがあります。私たちの教室でもおこなっていて、少しずつ生徒のコミュニケーションが上手になってきたなぁと感じます。

「質問の技カード」はこちら(PDFをひらきます)

中高生向けの実践

こちら、私たちが行っている「TRY部」という教室での実践です。
企業でもやっているようなチームビルディング系のワークショップやアクティビティですが、これが結構簡単で生徒も楽しそうにやっています。

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この写真は、ペーパータワーというもので、グループでひたすらに紙を高く積み上げてその高さを競うという活動です。作戦タイムと積み上げタイムの2つの場面があります。作戦タイムでは、「こうしたらどう?」というアイデアを話すことはできますが紙を手にとって試すことはできません。話し合ってとにかく作戦だけを決めていきます。積み上げタイムは、決まった作戦を実行する時間です。決められた時間内で協力してとにかく積みます。だいたいどのグループも必死になってきます。

肝は活動後のふり返りです。話し合いがどれだけ機能したのか。一つ一つの場面を思い出しながら実はグループのメンバーがどんなことを考えていたのかを引き出させることで、日常のグループ活動などにも生きてきます。

自尊感情は長い目で

これまでいくつかの実践を紹介してきましたが、自分のいいところも悪いところもかけがえのない自分として受け入れる気持ちなんて、一朝一夕では身につきません。嬉しいことや辛いことがあると、気持ちの浮き沈みもあります。

自尊感情を育むのは、子どもたちに漢方薬を処方するようなものです。風邪薬みたいに即効性はないですが、続けることで必ず効き目が出てきます。担任としての一年間、あるいは児童生徒が卒業するまでのスパンで子どもたちの自尊感情を育てる気持ちで日々子どもたちと関わり、実践に取り組んでもらえたらと思います。必ず効果はでます。短期的な目で見るのではなく、長い目でみてじっくり取り組んでください。

私たちは先生のチカラになりたいと思っています。

私どもが教室でおこなっている自尊感情を高める実践について知りたい人に向けて講演・研修を行っています。
過去の講演例もございますので、ぜひ一度こちらのページをご覧ください。

講演や研修の案内はこちら

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この記事を書いた人

D.Live副理事/元小学校教員
自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。
自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。

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