不登校の子に必要なのは、アイドルのライブかもしれない。

週末、都内某所に30 人近くの親子が集まった。

この日はオンラインコミュニティ(TRY部)と保護者サークルのオフ会。

みんなで「初めまして」をして、会場となる家へ入っていく。

隣の家の前でサッカーをしていた少年たちは、「一体何事だろう?」「あの人は何をするんだろう?」「どんな集まりなんだろう?」と、じっとこちらを見ていた。

しまいには、「どうやったら僕たちも参加できますか?」と聞いてくるくらい、気になったらしい。

関東近郊に住む子たち13人が集まり、みんなでゲーム。
低学年の子はスライム作りもしていた。

 

 

大人はみんなで集まって座談会。
特にテーマもなく、みんなで他愛もない話をする。

子どもたちも最初は緊張していた様子だったが、だんだん慣れてきた様子で、フォートナイトやスマブラを一緒にプレイしていた。

子ども達はみんな初対面。大人も多くの人たちが初対面にもかかわらず、初めて会った感じがせずに、みんなで楽しく過ごすことができた。

午後からは浅草・雷門で遠足。
ラムネや人形焼を買い、ベンチに腰かけて頬張る。

お参りをして1 時間ぐらいゆっくりしたら、スカイツリーへ。

 

子ども達に「歩くことはできる?」と聞くと「うん」というので、歩いてスカイツリーへ向かうことに。

隅田川沿いを歩きながら、だんだん大きく見えてくるスカイツリーに興奮する。

浅草では、少し疲れた様子を見せた子もだんだん回復してきたよう。

みんな楽しそうにいろんなところで写真を撮っている。

オンラインコミュニティ(TRY部)に写真を投稿している子もいた。

気が付くと夕日が落ちる時間になっており、着いた時にはちょうどスカイツリーのライトアップが始まった。

スカイツリーの下のところでみんなで記念撮影をして解散。

 

普段、家からほとんど出ない子も多く、彼らにとってはとても大きな冒険だったと思う。 1万歩ほどは歩いた。

電車に乗って集合場所へ来て、また電車へ乗って浅草へ移動。
そこから歩いてスカイツリーまで。

なかなかの冒険だ。

 

参加するために体調を整える

 

この日が楽しみすぎて1 週間ぐらいずっとウキウキしてた子もいたと親御さんが言っていた。

普段ほとんどお風呂に入らない子も、朝シャワーを浴びてきたらしい。

昼夜逆転だった子は、この日に合わせてリズムを整えたという。

不登校だって目的があれば外に出るし、昼夜逆転を直すことができる。

不登校の子はどうしても当日行けなくなることがある。

ドタキャンは当たり前なのに、この日は 13 人全員が参加することができた。

すごい!

それだけ楽しみにしていたんだろうなと思う。

 

わざわざ新幹線で仙台から東京まで来た親子もいた。

その後、子どもたちに感想を聞いてみると、「とても楽しかった」と言ってくれ、「またやりたい」という声もたくさん聞いた。

 

参加した子どもたちの変化

 

何よりも嬉しかったのが、たくさんの子どもたちの変化だ。

不登校になって会食恐怖症になり、ご飯の味がわからなかった子が、この日遠足から帰ってきた時にご飯 3 杯食べたらしい。

そして、「美味しい」と言ったと。

人の目が気になり、外に出られなかった子が、帰りにコンビニに寄ることができた。

 

たった 1 日遠足へ行っただけで、子どもはそんなにも変わるのかと驚いた。

 

オフ会というのはアイドルのライブイベントのようだなと思う。

いきなりアイドルのライブイベントに行ったり、握手会に参加することはない。

まずはCD やスマホなどで音源を聞く。テレビで見る。ラジオを聴く。

そうやってアイドルに触れていくことによって、だんだん「好き」が高まっていき、「会いたい」になる。

 

不登校の子はとても不安感が強い。

繊細で人見知りな子も多い。

人間関係でトラウマを抱えた子も少なくない。

 

そのような子たちは、行ったことがない場所や知らない人に会うのを極端に嫌う。

近所を散歩することやコンビニに行くことすらままならない。

 

フリースクールに行きたくても行けない。
友達と遊びたくても遊べない。
外を出たくても出られない。

やりたいのにやれないという心の葛藤で苦しむ。

 

「大丈夫! 気にするな」
「誰もあなたのことなんか見ていないから」
「勇気出して行ってみようよ!」

どんな言葉も子どもには届かない。

子ども達は、たくさん傷つき、怯えてしまっている。

 

だから、どうしても一歩を踏み出すのは大変だ。

それなのに、オフ会には、参加希望した全員が参加した。

なぜか?

それはオンラインでの交流があったからだと僕は思っている。

 

知っている子がいるからこそ、参加できる。

 

僕たちのオンラインコミュニティ(TRY部)は、音声だけでやりとりをする。
ボイチャと言われるものだ。

顔も出さない。本名も晒さない。

ハンドルネームだけでやりとりをする

顔を出し、本名をさらしているのはスタッフだけだ。

だから、安心して交流することができる。

話したくない子は話さなくてもいいし、聞き専でみんなのやりとりを聞いてるだけでもいい。チャット参加もオッケーだ。

オンラインで少しずつ交流をして、お互いを知ったからこそ、リアルで会うことができたのだと思う。

いきなり、「同年代の子たちが集まってゲームするから一緒に行こうよ」と言っても、ほとんどの子は参加しないだろう。

「え?なんで?」となる。

「いや、いい」と言うだろう。

けれど、オンラインで交流をして、お互いを知ったからこそ、思い切って一歩踏み出すことができたのだ。

曲を聴いて歌が好きになり、歌っているアイドルが好きになり、ライブに参加するみたいに。

 

保護者も同じ。

会ってすぐ子どもの話をするのは難しいだろう。
初対面の人に子どものことを赤裸々に話すのは難しい。

悩み相談もできないし、気兼ねなく話すこともなかなかできない。

けれど、オンラインですでに交流があると、会った時にはもともと友達だったかのように振る舞うことができる。

普段、オンラインで子どもの悩み相談や自分自身の悩みに関してもいろんなことを話している。

だからこそ、この人たちは私の話を聞いてくれる、否定しないという安心感を持つことができる。

だから、まるで数年来の親友だったかのように振る舞うことができるんだ。

 

今回参加した子が変化したようにイベントを企画していく中で、子どもたちがどんどん勝手に変化し、成長し、進化していく姿を見られたらこれ以上嬉しいことはない。

さて、次はどこへ行こうかな。

 

ps

翌日、江ノ島で行ったときの動画あるのでよかったら見てください〜

 

 

 

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この記事を書いた人

1984年 大阪生まれ 立命館大学文学部卒

中学時代は、部活に打ち込み、勉強では学年で常にトップ10以内。
しかし、中学3年生のときから学校がしんどくなり、誰とも話さなくなる。
野球選手を目指し、大阪の野球強豪校へ行ったものの、自信を失い退部。そこから学校へ行かず、河川敷で過ごす毎日をおくる。
浪人して立命館大学へ入学したものの、なにをしたいかが分からなくなり、行く意味を失う。1回生の夏から1年ほど、京都の下宿で引きこもる。
友人の支えもあり、復活。政治家の秘書やテレビ制作などのインターンをおこない、期間限定のカフェも開く。「自分のようにつらい思いをさせたくない」と思い、D.Liveを立ち上げる。
フリースクールや自信を取り戻す教室を運営。不登校に関する講演や講座もおこなっている。
京都新聞にして子育てコラムを連載中。
詳しいプロフィールはコチラから

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