みんなで勉強を始める前にフリースクールの生徒たちへ伝えたこと
こんにちは、スタッフの得津です。
この4月から、フリースクール昼TRY部では毎日の活動の中に勉強の時間を設けることにしました。
これまでは、水曜日だけスタディコースとして個別指導をおこなってきましたが、月・火・木・金でも30分程度、みんなで勉強する時間をとります。
今、昼TRY部には高校生や進学を控えた中学生が多く、これまで勉強を全くしてこなかった子どもたちもいよいよ勉強しないといけないような現状です。せっかく進学した子どもたちが、進学先で「勉強って難しいな。やっぱり勉強は嫌だな。もう学校も嫌だな。」となってしまわないよう、安心・安全に過ごせる昼TRY部で一緒に勉強をして、勉強への抵抗感を少しでも和らげられたらという思いでスタートしました。
スタートしました、なんて言うと立派に聞こえますが、実のところ30分の勉強時間は再スタートになります。と言いますのも、初年度の昼TRY部は朝の30分間を勉強の時間にしていました。ところが、だんだん崩れてきて、気づけば無くなってしまいました。「もう、初年度のようには…」という気持ちで、今年度から勉強の時間が再スタートです。
再スタートにあたって、なんの説明もなく勉強をするのも締まりが悪いですし、またなし崩しになるかもしれません。中には勉強への抵抗感も根強く残っている子どもたちもいますから、再スタートの前に以下のような話をしました。せっかくですので、こちらでもご紹介します。
3月に連絡したように、今日から勉強の時間が始まります。この時間では、基本的にこちらで用意した算数プリントをします。でも、高校生の人は、学校のレポートもあると思います。何かやりたいものがある人は、レポートと教科書を持ってきてください。
さて、「これからついに勉強をするのか」と、戦々恐々としている人もいると思います。学校での勉強を思い出す人もいるでしょうから、昼TRY部の勉強時間について説明します。
この時間では、「わかった」「できた!」を大切にしたいと、ぼくは考えています。ですから、昼TRY部では学校みたいな比較・評価・格付けはしません。テストもしないし、順位や成績をつけることもありません。
まあ、昼TRY部のみんなが、「お前アホやなー」とか、「なんでこんなんもできひんねん」なんてことを誰かに言うとは思えません。もし、こんなことを言うとしたら、自分自身にだと思います。わからない問題や難しい問題があるときに、自分自身にこういうことを言ってしまいたくなる気持ちはわかります。だからこそ、自分自身にはこういうことを言ってほしくないなと思っています。自分で自分に言う言葉って、強力でなかなか抜け出せないですから。
そもそも、勉強とは、わからないをわかるに、できないをできるに、知らないを知っているに変えることだと、ぼくは考えています。だから、わからなくて当たり前だし、できなくて当たり前なんです。誰もが、わからない、できない、からスタートします。
わからない、できない、からスタートするから、勉強はしんどいときがありますよね。勉強は、右肩上がりのグラフみたいにやればやるほどグングン伸びるというものではありません。変化のない、しんどい期間がずーっと続いた後、ある日突然バーンとできるようになります。これは皆さんも経験があることと思います。
ぼくは小学生の頃、立方体や直方体の体積を求める問題が苦手でした。特に、立方体の真ん中に穴が空いている問題が苦手でした。なんとなく解き方はわかるんですけど、必ず計算ミスをしていましたので、苦手意識が強かったんです。それが、大人になったある日、問題を見たら解けるようになっていました。別に、その問題を解くための練習をしたわけではないんですが、「あ、わかる」と思えたんです。成長って、こんなものですよね。ある日、急に解けるようになっていたりする。
これまで、昼TRY部では楽しい時間を共に分かち合ってきました。お花見にも行ったし、クリスマス会もしました。最近では、バレンタインにしっとりケーキを作ったりもしましたね。
これからは楽しい時間に加えて、できるようになるまでのしんどい時間も一緒に分かち合っていけたらと思います。勉強を教えたり、教えられたりしましょう。ぼくは、日本の河川を言えるようになりたいです。最上川、利根川、信濃川の名前は覚えましたが、それぞれがどこを流れているのかさっぱりです。皆さんの方が詳しいでしょうし、ぜひ教わりたいです。
自分の学年に合わせた問題じゃなくて構いません。いくらでも戻ったり進んだりしましょう。分数の計算に自信がないなら分数からやりましょう。ひらがな、九九からでもいいです。「わかった」「できた!」が増えていくように、これから一緒にやっていきましょう。