僕がHSPやHSCの情報を発信するにあたって決めている「ひとつのこと」

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ここ2週間ほど、フリースクール「みなも」さんの親の会を契機に、立て続けに人前でHSP(Highly Sensitive Person:ひといちばい敏感な人)やHSC(Highly Sensitive Child:ひといちばい敏感な子)のことをお話する機会がありました(うち1回は弊団体のYouTube生配信だったんですが)。

「みなも」さんではHSCの基礎知識からHSCだった自分の不登校体験談までかなりみっちりとお話しましたが、先日のYouTube生配信では時間の制約上、HSCの基礎知識とHSPに向いている仕事や環境について取り上げました。ちなみに個人で書いているnoteでも、HSPに関する話を不定期で更新しています。

僕はこうして人にHSPやHSCの話をするにあたってひとつ決めていることがあります。

それは「あなたはHSPですね」ということを決めつけない、ということです。

僕がこうしてHSPやHSCのことを発信しているのは、基本的に「こういう人が世の中には一定数存在している」ということと、さらに自分の生きにくさ、悩みが実は自分ですら気がついていないところにある繊細さにあることにひとりでも多くの人に気づいていただきたい、という思いからです。

ただそこで、あなたHSPだからこういう性格です、だからこういう場所や環境向いていないですよ、という物言いだけは絶対にしてはいけない、と日々自分を戒めています。仮に伝える必要がある場合は、必ず本などの情報を通じて、自分の主観と偏見と言う視点からの話には絶対にしないよう心がけています。

イギリスのことわざに「You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.」という言葉があります。これは直訳すると「馬を水辺につれていくことはできても、水を飲ませることはできない」と言う意味です。つまり、水辺に馬を連れて行ったとて、その水を飲むかどうかは馬次第、ということです。

僕はHSPの情報発信もこのことわざのとおりだと思っています。馬を水辺につれていくようにHSPやHSCの情報を発信することはしても、それをどうとらえるか、どう考えるかは読み手次第だと考えています。強みとしてとらえるか、弱みとしてとらえるかまでは、さすがに強制することはできません。

このあたりはアドラー心理学で言う「他者の課題」に通じるものがあります。

先日、HSPに関する講演を通じて、もっとHSPやHSCを広めていく必要があるということを痛感したことは書きました。そのなかでも、この「敏感で繊細な特質」というのは、そういった特質を「知らない人」、または「持っていない人」にこそ広めなきゃいけないのではないか、と最近よく思います。

HSPやHSCの人は5人に1人いると言われています。これはHSCでいうと、35人学級では7人いる計算になります。小学校だと学級班に分かれての行動がよくありますが、この学級班にもたいてい1人、繊細な特質で人知れずアンテナをピンと張り巡らせてしまい、疲れてしまう子どもたちがいます。

教育関係者の中でもまだまだこうした繊細な子どもたちがいるということを知らずに、動きが緩慢だとか怠惰だと誤解してしまう人もいます。これは本当に悲しく誰も得をしていません。ひとつの物事を深く考え慎重に行動しているのにそこを「動きが緩慢」と捉えられる子どもたちを思うと心が痛いです。

HSPやHSCを「知らない人」に広めなきゃいけないというのは、そういうことです。

ただそこで、「キミは繊細な特性だから」と大人がHSCの子どもたちに敏感というレッテルを貼るような教育にならないような考え方や行動を広めることも同時に必要になってきます。実は「自分は敏感だからこれもできない」と自信をなくしてしまうHSPの人は大人でも珍しくありません。

あくまでも、「この子は繊細な特性を持っている」と気がついたり知ることで、大人(教育者)の側が行動を変えて、そのHSPやHSCの特性を上手に活かすような方向に持っていく。そういった学校や世界が広がればなんと生きやすいのだろう、と(HSP特有の)空想にふけることも、たびたびあります。

今でこそこうして月に何本かHSPに関するブログを書くようになりましたが、はじまりは自分があるキッカケで「HSPだと気がついた」からでした。べつに人に言われたわけでもありません。

そこから自分の不登校がこの繊細さも遠因だったことがわかってきて、不登校に関する講演でこのトピックを取り上げると参加者の関心が高いことに気が付き、それでこのブログや個人のnoteで自分のHSPとしての日々や過去の体験談を書くようになりました。

ありがたいことに僕の文章を読んで「自分の特性に気がつけました」と感想を送ってくれた高校生の方や、「強みになると言われて励まされました」と丁寧なコメントをくれた若者の方もいます。こういう声をいただくたびに、こうやって発信し続けてよかった、と思います。

だからこそ、「あなたはHSPです」と決めつけることなく、自分の日々や思い、考えを少しずつ切り取って文章にして、ひとりでも多くの人に(特性を持っている持っていないは関係なく)この敏感で繊細な特質を持つ人が世の中には多く存在することをアピールしていけたらいいな、と思っています。

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山本 駿

山本 駿

子どものころより人一倍敏感な特性を持ち、中学3年間を不登校で過ごす。大学卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画し、現在は通信制高校教員を両立しながらTRY部や不登校講演事業を中心に担当。HSP(Highly Sensitive Person)特有の繊細さを活かし、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。