5人に1人いる、敏感で繊細な子どもの存在を「知る」ということ【8/22 フリースクールみなも親の会講演レポ】
先週の8月22日、大阪市のフリースクール「みなも」さんの親カフェにて私・山本が講演させていただきました。
今回、「みなも」さんのほうからリクエストとして「繊細さんのことをお話しいただければ」という話をいただいていたので、HSC(Highly Sensitive Child:ひといちばい敏感な子ども)のことを中心に約40分ほどお話ししてきました。
ものすごい余談ですが、今回は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から終始マスクを着用してお話ししましたが、何度も何度もマスクが顎の辺りまでずり落ちてしまい、その度にマスクを引っ張り上げながらの講演となりました。お見苦しい姿を見せてしまい大変失礼しました。
さて、今回の講演の構成は、
・HSCの基礎知識
・HSP(Highly Sensitive Person:ひといちばい敏感な大人)の適職
・HSCだった僕が不登校になるまでの過程
・HSCオススメブックリスト
という4つに分けていました。その上で、当日の参加者の方々の興味関心によって話すテーマを適宜カットしたり、付け加えたりするつもりだったのですが、結果的に時間に余裕があったことも手伝って用意したすべてのテーマをお話しすることになりました。
講演でもお話ししましたが、20年近く前だった僕は間違いなくHSCでした。しかし僕が子どものころは、HSCの「エ」の字もまったく知られていない時代でもありました。あのころ、「怒られている声が苦手です」と誰かに言ったところで、受け入れられてなかっただろうなあと思います。
しかしいま、子どものみならず大人の方でも「誰かが怒られている場面を見ると自分が怒られているように思えて辛い」という声を耳にするようになりました。もちろん子どもも同様で、怒鳴り声が苦手で学校や教室に入れない、という話も徐々に耳に入るようになってきました。
だからこそ、今回の講演の結びは、「1にも2にも、HSCのことを知ることが大切です」ということを話させていただきました。
たしかに自分や我が子の敏感さ、繊細さに気づく人も多くなりましたが、決してそれはマジョリティではありません。まだまだ学校現場などでも知られてないのが実情です。いま学校現場でHSCを知っているのは、自分自身がHSPの先生か相当アンテナの感度が高い方だという印象があります。
僕がよくHSCのことで引用してご紹介している明橋大二先生の『HSCの子育てハッピーアドバイス』(1万年堂出版)には、先生向けにHSCを解説された項があります。以前お話を伺ったとき、明橋先生は「このページをコピーして先生に渡す」という活用方法を教えて下さいました。
明橋先生のこの活用方法は、それほどにまだまだ教育現場に「他人が怒られているのが辛い」と思ってしまう子どもが多いことが知られていない証左なのかもしれない、とお聞きして思いました。
それだけではありません、ルールを破ることが許せない正義感が強い子、常に繊細なアンテナを張り巡らせて疲れてしまう子、ひとつの指示や言葉を重く受け取りすぎて行動に移すのが遅れる子・・・。こうした子も、繊細な性格であるということを知っていれば、それなりの対応や配慮ができるはずです。
事前に僕がHSCに関する話をすることは参加者のみなさんに予告されていたのですが、それゆえに冒頭の参加者自己紹介で「今日はHSCのことを知りに来ました」「当事者の方のお話を聞けるのが貴重だと思って・・・」という声が多かったのにも、聞けば聞くほど驚きでした。
さらに、上記のラインナップの講演を終えたあと、休憩時間と質疑応答タイムが設けられていたのですが、次々と参加者の方からたくさんの質問をいただき、特に休憩時間はお茶を飲む暇もないほどにずっと質問に答え続けていました。後半はほぼ相談にお答えしていたような記憶しかありません。
この日を振り返って、僕はもっともっと「敏感で繊細な子どもが思った以上に大勢いる」ことを、どんどん発信していかねばならないと痛感しました。
実際HSCの子どもは5人に1人いると言われています。この数字は35人学級に換算するとクラスに7人HSCの子どもがいることになります。
この人数は決して無視することのできないものだと思います。
ちょうど1年前、NHKEテレの「バリバラ」でHSCの子どもが特集されていました。その中で主人公の男の子のHSCという特性について、担任の先生やカウンセラーさんなどを交えてケース会議が行われた場面が放送されていましたが、ああいう対応をしている学校はまだごくわずかなはずです。
いちいち対応してられないよ、という現場の声も聞こえてきそうですが、かといって知識を持たないというのも絶対に違います。学校現場や家庭において、他人への怒鳴り声にも反応するなど敏感で繊細な子どもが決して珍しくないことは、これからも声を大にして伝えていく必要があると思いました。
末筆になりましたが、1年半以上前から熱心にオファーをいただいていたフリースクールみなもの中村さんをはじめ、参加者のみなさまに深くお礼申し上げます。またぜひ参加させていただきたいな、と思います。
そして、(コロナ禍で講演そのものの開催が難しいのも事実ですが)不登校やHSCに関する講演の企画がありましたら、ぜひ下記バナーより依頼をお送りください。全国どこでも出張させていただきます!