コロナ禍で思い出した、夏に「息切れ」した高校生の僕のこと

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今年の夏は、「今までにない夏休み」になりそうな気がする。

ゴールデンウィークのころから僕はそんなことを考えていましたが、実際その予感は見事に的中しました。年度を跨いで約3ヶ月の休校期間を取り戻すべく、たったの2週間しか夏休みが組まれない市町村もあるようです。社会人のお盆休みのような短さです。

休校期間中にどこでも遊び放題であれば話はぜんぜん違ってきますが、ここ3ヶ月は思い返せばテーマパークも臨時休業、生活に必要な少しの買い物や散歩すらためらうほどの外出自粛の雰囲気が流れるものでした。そこにとどめを刺すかのような夏休みの短さです。

もうすでに今年の夏休みの短さを嘆く子どもたちの姿を、僕は(オンラインで)目にしています。たぶん僕が小学生の立場だったとしても同じことを思うでしょう。

そんな今年、これから子どもたちが気をつけなければならないのは、「息切れ」だと思っています。

昨日から6月に入って、ようやく各地の学校でぼちぼちと授業が始まり出しました。例年だとひと月後、新たな環境が始まって気疲れも溜まってくるころにゴールデンウィークという名の小休止が挟まりますが、今年はもうとっくに過ぎてしまいました。

これが子どもたちにとって、けっこうしんどいことのように思えます。

新しい環境に慣れる、というのはどんな小さい環境でも相当な労力を要します。僕自身も4月からリモートワークの日々が続いていますが、「移動時間がなくなる」ということだけでも慣れるのにものすごく時間がかかりました。というか、今でも慣れていません。

そして、今年新たな学校に入学した1年生はとくに、今から学校の環境や人間関係に慣れていくという作業が始まります。例年なら先述のように「とりあえずゴールデンウィークまで」と1ヶ月の短い間隔で小休止を取れますが、今年は最低2ヶ月この状況を走り続ける必要があります。

だからこそ、気疲れが溜まってどうしようもなくなってしまう「息切れ」の状態に気をつけなければなりません。

実は僕は高校生のころ、(もちろん世間に外出自粛が要求されていたわけではありませんが)外へ出るのもままならないゴールデンウィーク前後を過ごし、6月に入ってようやく学校へ通い出した、という経験があります。

中学3年間不登校だった僕は、せめて高校は全日制で通いたいと今思えばものすごく無茶なことを考えていました。それで全日制の高校に合格こそしましたが、4月の頭の新入生研修で早くもついていけなくなり、翌週から不登校に逆戻りしてしまいました。

中学のときと違って食事もろくに取れないほど、部屋に引きこもる毎日。ゴールデンウィークに、せっかく買った定期がもったいないからと電車に乗って本屋へ出向くのがやっとのほどの精神状態が数週間も続きました。

ようやく重い腰を上げて全日制高校を辞め、通信制高校へ転入したのはもう梅雨に入った時期のことでした。つまり、高校1年の6月に、また一から新しい環境に慣れるという作業を始めたのです。

なんとか休むことなく、学期末のテストもきちんと受けて無事夏休みを迎えたのですが、環境に適応しようとがんばりすぎたこと、そして通信制高校特有の長すぎる夏休みも相まって一気に心身のバランスを崩してしまい、夏の間とても塞ぎがちな生活を送りました。

その後、秋学期が始まってからはなんとしても人間関係を築こうと文化祭の実行委員に立候補してみたり、それなりに学校生活に適応することができたのですが、この年の夏の記憶はほとんど抜け落ちています。本当に何をしていたのか、覚えていません。

そんな経験をしているからこそ、この夏、子どもたちのストレスや心の状態がとても心配になっています。

ただでさえ、コロナ禍で大人さえ一挙手一投足にナーバスになっている状況です。そんな中で子どもたちがストレスを溜め込んでいないとは到底思えません。不安な面持ちのままこの休校期間を過ごし、安心が保証されない状態で登校が始まることに恐怖を感じている子もいるはずです。

正直な話、今、ものすごく「学校を休みやすい」状況下にあると思います。

もちろんそれを安易に選択していいのか、という話も出てくるとは思いますが、世の中が息詰まっているこの状況だからこそ、僕は今あえて「1日だけでも学校を休む」という選択肢を取るのは大いにいいことだと思っています。

こんな不安だらけの世の中で、同時に新しい環境に馴染もうとする子どもたちを、僕は心の底から尊敬します。声に出さないだけで、周囲が慮る以上のしんどさ、辛さを抱えていることでしょう。

15年前のあの夏、僕は確かに「息切れ」しました。ほかの子どもたちが夏を満喫していた中で、僕にその夏の記憶はほとんどありません。ただただ苦い思い出、記憶として残っているだけです。僕は今の子どもたちに、同じような思いをしてほしくはありません。

だからこそ、この夏は「息切れしない」ということを強く意識しながら、まだまだスタートしたばかりの学校生活を送って欲しい、と思います。そして大人は、不安な中でも体に鞭を打って頑張ろうとする子どもたちが息切れしないような関わりをしてあげて欲しいです。

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山本 駿

山本 駿

子どものころより人一倍敏感な特性を持ち、中学3年間を不登校で過ごす。大学卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画し、現在は通信制高校教員を両立しながらTRY部や不登校講演事業を中心に担当。HSP(Highly Sensitive Person)特有の繊細さを活かし、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。