絶対に見逃さないで、HSCの「すばらしいところ」

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先日、真生会富山病院にて、『ひといちばい敏感な子』の翻訳や『HSCの子育てハッピーアドバイス』などの著書で知られる明橋大二先生にお話を伺ってきました。

インタビューは1時間半、「ひといちばい敏感な子」を意味するHSC(Highly Sensitive Child)のことについてかなり深い質問までお答えいただきました。この様子は近日中にYouTubeにて配信する予定です。

さて、インタビューにも話が上りましたが、「ひといちばい敏感な子」が5人に1人いるとは言えこの敏感で繊細な心を持つ子どもたちのことはまだまだ知られていないな、と感じるのが実情です。そして大人側が、この「敏感で繊細な心」を良いものとして受け取ることができていない現実も感じています。

たとえば、HSCの子どもたちの中には味覚をものすごく気にする子がいます。周りの子どもは誰も気にしないような、給食に出てくるニンジンのわずかな固ささえ気にする子も中にはいます。そこをわかってほしいのに、先生は「いいから早く全部食べなさい」とけしかける。

こういうことで、HSCの子どもたちは学校が苦痛に思えてきます。

実は僕自身も20年前、『HSCの子育てハッピーアドバイス』に書かれている典型例がびっくりするくらい当てはまるほどのHSCでした。たとえ他者に向けられた怒鳴り声や説教でも目の当たりにするのが辛い。だったら自分が怒ればいい、とクラスメイトに注意してばかりで、周囲に馴染めずにいました。

ひといちばい敏感で、繊細な心を持つHSCの子どもたちにとって学校は配慮がなければとてもしんどい環境であることは間違いありません。明橋先生にインタビューしていた中でもそれはずっと痛感していましたし、現に僕もそういう点で不登校になった経緯があります。

ただ、HSCの子どもたちには、それ以上にすばらしい特性があることを忘れてはなりません。

HSCの敏感さは「治す」ものではありません。ひといちばい敏感な大人のことは「HSP」(Highly Sensitive Person)と呼ばれます。僕自身も未だに他者に向けられた怒鳴り声や説教を目の当たりにするのが辛く、かなり敏感な特性を持ちながら毎日を過ごしています。

でもこの「敏感な特性」は何も悪いことだけではありません。

学校の教員として働いていると、日々やってくる子どもたちの表情の違いをさっと見抜くことができます。いつもどおりを装っているように見えて、表情になにか心配事があることが見えたり、または体調が悪そうな子にもパッと気づくことができます。

「○○さん、体調が悪そうです」と教員間で共有すればその子を気にかけてあげることができますし、心配事がありそうな生徒についてはちょっとしたタイミングで雑談に入って、悩みや不安ごとを聞き出すようにしています。するとポロッと「どうしたらええんやろ?」ということが聞き出せるのです。

これはHSCの子どもたちも同様で、中には子ども同士はもちろんのこと大人の表情変化もパッと見抜くこともよくあります。こうした能力は、なかなか訓練して身につけられるものではありません。HSCの子どもが張り巡らせている敏感なアンテナによって救われる人(子ども)も多いはずです。

物事を違う方向からとらえなおして考えることを「リフレーミング」と言います。

先ほどから引用している『HSCの子育てハッピーアドバイス』には、HSCの行動をリフレーミングして良い方向に考え直す一例が掲載されています。たとえば人と比べて食事の量が少なかったり遅いというのは「自分で適正な量がわかっている」「よく味わって食べている」ということかもしれません。

見方を変えると、先に取り上げた「ニンジンのわずかな固ささえ気にする」というのも、本当に火が通ってなかった可能性があります。もし生物であれば火が通ってなかった場合たいへんなことになります。HSCの子どもたちには、なかなか普段気が付かない危険を素早く察知する、という点にも長けているのです。

冒頭でご報告した明橋先生へのインタビューのあと、自ら購入した『HSCの子育てハッピーアドバイス』にサインをお願いしました。僕の『HSCの子育てハッピーアドバイス』の表紙を開くと、そこには「ひといちばい敏感な子は、ひといちばい優しい子です」という文字が躍っています。

味覚、嗅覚、触覚、雰囲気、いろんなところに24時間ずっとアンテナを張り巡らせるというのは、想像以上にしんどいことです。でも、どこにいても何をしててもそのアンテナをたたむということが難しい。HSCの子どもたちの生きづらさはこういうところから来ています。

しかし、そのずっとアンテナを張り巡らせることが、他者への思いやり、優しさにつながっている面があるというのは、まちがいありません。

優柔不断、という言葉はよく短所に言いくるめられますが、似たようなニュアンスで「注意深い」と表現できれば長所のように見えます。長所と短所は表裏一体とはよく言ったもので、HSCの敏感で繊細な心はいかようにも良い方向へ捉えることができる、と僕は信じています。

 

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山本 駿

山本 駿

子どものころより人一倍敏感な特性を持ち、中学3年間を不登校で過ごす。大学卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画し、現在は通信制高校教員を両立しながらTRY部や不登校講演事業を中心に担当。HSP(Highly Sensitive Person)特有の繊細さを活かし、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。