不登校の子どもは増えているのに、フリースクールなどの利用率が伸びないのはどうしてだろう

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2ヶ月ほど前に文部科学省より公表された平成30年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」。このブログでも不登校生徒数が2万人も増えたこと、いまだに学校頼みの不登校支援が続いていること、を中心に2度に渡ってこのデータから得られた知見や現状を分析してきました。

そして、先月は多様な教育の博覧会「エデュコレ」に出展させていただいた際も、弊団体D.Liveを含めて「フリースクール」や不登校支援などの事業をされている団体の多さにびっくりしました。

D.Liveも所属している「ふりー!すくーりんぐ」「多様な学びプロジェクト」などといったフリースクールを運営しているNPOなどの団体のネットワークにも多くの団体が登録していて、とくに「多様な学びプロジェクト」では全国規模で横のつながりというものも強化されています。

・・・と、ここまで書いた内容を踏まえて、次のグラフをごらんください。

これは平成30年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」に収録されている、不登校の小中学生がどういう機関で支援を受けたのかをあらわしたグラフです。複数回答ですので、たとえば「教育支援センターの支援を受けつつ、養護教諭からも支援を受けている」場合もあります。

さきほど説明してきたフリースクールは、ここでは「民間団体、民間施設」という枠組みです。

平成28年度から比べればたしかに倍の人数が支援を受けているわけですが、それでも平成30年度に民間団体、民間施設の支援を受けた小中学生は4635名でした。不登校の子どもたちの人数に対して3%ほどです。これは、かなり少ない数字だと思います。

近年、フリースクールや不登校の子どもの居場所が増えています。不登校の子どもたちも増えています。しかし現状ではこんなにも少ないのです。そういえば、フリースクール設立と同時に「緊急支援をお願いします」と以前から運営している団体の寄付依頼も、多く見かけているような気がします。

ではいったいどうしてフリースクールなどの利用率が伸び悩んでいるのでしょうか。

ここからは、僕自身の主観がもりもりと入った考察になります。

1. そもそもフリースクールを知らない

この「知らない」というパターンには2つあります。

まず、そもそもこうした不登校の子どもたちが昼間でも通える場所としての「フリースクール」を知らないという点。そして、もうひとつが、フリースクールは知っているけど近所にそういう施設があるかどうかを知らない、という点です。

こうしてフリースクールなど不登校支援に携わる自分でも、自宅から歩いて10分ほどの場所に「フリースクール」の看板を掲げている建物があることを知ったのはつい数ヶ月くらい前の話です。おそらくひっそりとフリースクール事業を開いている教室や団体は思った以上にあるのだと思います。

FacebookやTwitterなどSNSなどで逐一教室の様子やアクティビティの活動報告をあげている団体さんも多くあります。僕もよくチェックしていますが中には楽しげな様子が伝わってくるレポートもあり、「情報発信」というものがフリースクール業界において非常に重要な役割を果たしていることを確信しています。

ちなみに、弊団体がフリースクール事業をはじめたのも「滋賀県内で不登校の子どもたちが昼間通える場所がほとんどないこと」を知らなかったのがひとつの大きな理由です。それがいまでは滋賀県外からも生徒を受け入れ、当初週2日だったのが週4日教室を開くまでになりました。

2. フリースクールというものに不信感を抱いている

これは残念なことなのですが、一口に「フリースクール」といっても教育方針は様々ですので、同業者であるこちらが思わず閉口してしまうほどにひどい対応をされた、という声も少なくありません。

もちろんこうした中で「フリースクール」という場所を胡散臭く思ったり、またそういった場所に対しての信頼を失っているケースも考えられます。そういった意味で、弊団体ではYouTubeなどでこうした講演動画や代表の田中による相談動画をアップすることにも力を入れています。

フリースクール(や不登校支援)で大きく傷つくような対応をされたということを否定するわけにはいきませんし、そこで信頼や信用を失うというのも重々理解できます。しかし、その対応で救われたと感謝する子どもや保護者の方もいることも考えると、あまり大きなことを言うのも違う気がしています。

そして何より、それでもなお真摯に不登校と向き合い、心の底から子どもたちと保護者の味方になりたいと願う支援側もいることは、絶対に忘れてはなりません。

3. 費用面の問題

正直な話、フリースクールはお金がかかります。

僕も不登校だった中学時代などはフリースクールに通っていましたが、月数万円単位のお月謝というシステムでした。いま、Twitterでフリースクールにもっと子どもを通わせようよ、という意見を見かけると、よくこうした費用面の指摘をされている方を見かけます。

これはかなり複雑な問題です。この月数万円というお月謝(プラス遠方ならそこまでの交通費や定期代)はとてもじゃないけど払えません、という声も少なくありません。しかし、フリースクールを運営する側としても人件費や設備費を考えるとこれくらい頂く必要があるのかな・・・と思うのも事実です。

前述しましたが、それでもなお緊急支援の依頼をSNSで発信する団体も少なくありませんし、学生のボランティアスタッフが中心になって子どもと関わっている団体もとても多いです。運営側としても決して余裕を持った運営ができているわけではないところのほうが多いと思います。

そんななかで、家庭の側と団体の側、双方が抱える経済的な事情をいかにクリアにしていくか。たとえば(財源をどこで確保するのかという突っ込みはさておいて)補助をつけるとか、こうした制度を導入することもひとつの手として考えられるでしょう。

まとめ

先のグラフで、「民間団体、民間施設」の支援を受けている不登校の小中学生が全体の3%にしかすぎない理由は、いま挙げた3つのほかにもまだまだたくさんあると思います。しかしどれもに共通しているのは、今日明日で解決するような問題ではない、ということです。

特に最後に上げた費用面の問題は家庭の側と団体の側、双方それぞれが抱える問題であり、いくら居場所を充実させたとしてもそこの問題が解消されなければ本末転倒な状況にもなりかねません。非常に複雑な問題だと言えます。

まずは、情報発信に力を入れて、フリースクールという場所、そして不登校でも昼間に受け入れることのできる場所があるということを「知ってもらう」ことが第一歩につながるのかもしれません。これは弊団体D.Liveでも以前より力を入れている部分です。

以前にも書きましたが、いまや不登校の小中学生の多くは、養護教諭やスクールカウンセラーなど、まとめると「学校内部の支援」に大きく依存しています。しかしもう何度も書いていますが学校の先生は「忙しすぎます」。どこに不登校の生徒と真摯に向き合う時間があるの?というレベルで多忙なのです。

それでもなお、学校現場で不登校の子どもたちの支援をしていく必要はあるのでしょうか。

僕自身も弊団体の渉外担当者として、そんなことを思いながら、少しでも不登校の子どもがいる家庭、そして学校が動きやすくなるような情報を発信して、そうした社会を作っていかなければならない、と強く感じています。

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山本 駿

山本 駿

子どものころより人一倍敏感な特性を持ち、中学3年間を不登校で過ごす。大学卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画し、現在は通信制高校教員を両立しながらTRY部や不登校講演事業を中心に担当。HSP(Highly Sensitive Person)特有の繊細さを活かし、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。