子どもがヒマだと言い出したらエネルギーが溜まったサインかもしれない|6/2 フリースクール昼TRY部活動報告会レポート
こんにちは。D.Liveの得津です。
先日の6月2日。私たちD.Liveが運営するフリースクール昼TRY部(ひるとらいぶ)の活動報告会を行いました。
当日は20名の方々にご参加いただきました。お越しいただいた皆様、ありがとうございました。
アンケートでは利用されている保護者さんの感想が聞けてよかったという声も、スタッフさんがどんな理由でフリースクールを始めたのか知ることができたという声もありました。
参加者にとって、言ってみれば運営者によるオフィシャルな説明と利用者によるアンオフィシャルな口コミが同時に聞ける稀有な会になったようです。
報告会でお話ししたことこちらでもお伝えします。
1、フリースクール昼TRY部って、どんな場所?
フリースクール昼TRY部は瀬田駅(滋賀県大津市)の近くにある小さな教室です。(HPはこちら)
教室はワンフロアで10人ちょっとが入れば、もういっぱいになるようなところです。
(教室の写真)
昼TRY部は月曜・水曜・木曜の10時〜13時まで開いています。月曜・木曜はプレイフルデー。ボードゲームをしたり、みんなとおしゃべりをして過ごすことが中心です。水曜はマイスタディデー。自分で勉強道具を持ってきて勉強をしたり、高校入学のために面接練習や志望理由書を書いたりしています。他にもイラストの練習や読書をしてすごすのもOKです。一人でできることをモクモクと取り組む日が水曜のマイスタディデーです。
現在の生徒数は下の図にあるように、月曜と木曜が多めです。図には男子のイラストを使っていますが、もちろん女子も通っています。
通塾のペースは人それぞれで、週1回コース、週2回コース、週3回コース、ドロップインの4つがあります。ドロップインは曜日を固定せず、来れるときだけ教室に来る形です。
2、フリースクール昼TRY部が始まったキッカケ
フリースクールを始める前から、私たちは草津市でTRY部(とらいぶ)という教室を夜19時半から運営しています。この教室では自分で決めた目標を達成するための日々の過ごしかたを考える教室です。
教室にはこれまで学校に通っているけどうまく馴染めない子どもや、なぜか部活にも勉強にもやる気が出ない子ども、不登校の子どもが通っていました。
2年ほど前のある日、TRY部を知った不登校の子どもがいる保護者さんたちから「不登校の子どもが日中に通える場所を作ってほしい」と立て続けに言われました。
当時、滋賀県内の不登校シーンについて何も知らなかった私たちは、フリースクールみたいな場所は他の団体がやっているだろうし、それなりに数があるだろうと思っていました。しかし実際は、私たちが思ってた以上に不登校の子どもが日中に通える場所は少なかったのです。
調べてみると、滋賀県内には教育支援センター(市の教育委員会が運営するフリースクールみたいな教室です)が各市町にそれぞれ一箇所ほど、NPOや私企業が運営しているような民間のフリースクールは両手で数えても十分なくらいしか県内にありませんでした。
滋賀県以外の都道府県にお住まいの方にはピンとこないかもしれませんが、不登校の子どもの数に対する受け皿としてはとても少ないです。保護者や子どもにとっては、距離的に教育支援センターに通えなかったり、教育支援センターが合わなくて他に行く場所がなく途方にくれたりという問題があります。
この問題を少しでも解決するためにフリースクール昼TRY部をはじめました。当時の事業の予定にはなかったので何をするかも全然決めていない中で、保護者さんの声に押されてスタートしたのが実際のところです。
3、入会されたときの保護者さんのニーズ
フリースクールをしていると「保護者さんは何を期待して昼TRY部に通わせているんですか?」と聞かれることがあります。これまで面談や問い合わせをしてきた中で多いのは以下のような理由です。
もちろん、学校に戻ってほしいとか勉強をしてほしいという気持ちもあるんだと思いますが、それよりもまずは同年代の子どもたちと関わってほしい、元気になってほしい、日中に出かける場所が欲しいという理由の方が大きいです。
学校に戻すように指導してくださいという問い合わせや、貧困や虐待など福祉に関わるようなケースは滅多にありません。団体のブログで不登校について頻繁に発信していることやHPの内容を見て保護者さんが合うかどうかを事前に判断していることが大きいと思います。
話は逸れますが今の子どもにどんな支援が必要かについて、マズローの欲求段階説をベースにまとめた記事を書いています。よければご参考にしてください。
マズローの5段階欲求説が教えてくれる不登校支援や解決のポイント
4、生徒たちの成長や変化
年度が変わったタイミングで学校に戻ったり、昼夜逆転していたの生活リズムが戻ったり、勉強に手をつけるようになったり、生徒それぞれに成長や変化があります。本当にそれぞれ違っていて、グラデーションのように少しずつ少しずつ変わっていく生徒もいれば、急にガラッと変わったりすることもあります。
学校に戻ることについてはきっとお家の人や学校の先生の言葉掛けも大きく影響していると思います。生徒が久しぶりに学校に行ったことや進路について話してきたらもちろん聞きますし、必要ならアドバイスもします。けれども、昼TRY部では無理に学校に戻るような言葉掛けはしません。
ですので、三者面談や家庭訪問でどんな話をされていたか細かくは知り得ませんが、学校に戻るきっかけづくりはご家庭や先生からの後押しが大きいのではと思っています。
「子どもがヒマだヒマだというようになったんです」|保護者座談会から
報告会では上記のことをご説明したあとに、スタッフ座談会と保護者座談会をおこないました。昼TRY部を知ったきっかけやお子さんが教室のことをどんな風に言っているかなどをお話いただきました。
報告会に参加したくてもご都合が合わなかった方のためにも、せっかくですからご紹介したいのですが、プライベートな内容も多く含まれます。この記事では一人の保護者さんが昼TRY部に問い合わせをしたきっかけについてだけお伝えします。
「子どもが不登校になって家で過ごすことが多くなりました。しばらくしてから、子どもが家にいるのがヒマだというようになったんです。日中は仕事がありますから、どこか通える所が無いかなと探していると昼TRY部を見つけました。」
「家にいるのはヒマだ」と子どもが言えるようになったことは、外に出る1つのタイミングだと経験的に感じています。もし、いまお子さんが学校に行っていないけど家ではヒマそうにしているのでしたら、どこか外に出ることを誘ってみてはいかがでしょうか。
今は全然そんな状態ではないし、どう関わればいいか分からないということでしたら、代表が不登校についての連続講座(全6コマ)をおこなっています。遠方にお住いの方でも動画受講ができます。よければ詳細だけでもご覧になってください。
不登校の子どもが安心して通える居場所を増やしたい
私たちD.Liveがフリースクール昼TRY部をはじめて2年が経ちました。この2年の間で、私たちが運営する場所以外にも不登校の子どもが通える場所や保護者さんが相談できる親の会は増えてきました。活動頻度はそれぞれですが、私たちが見聞きした限りでは滋賀県内に7、8件ほど新しく居場所や親の会ができているようです。
しかしながら、まだまだ不登校の子ども達が通える場所の数は十分とは言えません。全国的には10万人以上いる不登校の小・中学生の数に対して、学校以外の場所に通えているのは12〜3%程度だそうです。
滋賀県も同じです。私たちD.Liveは不登校の子どもが安心して通える場所を増やして、この課題の解決に寄与できればと考えています。具体的には、いまの昼TRY部がある大津市の隣の草津市に新しくフリースクールを増やすつもりです。
ですが、そのための資金が不足しているのが正直なところです。
学校には戻れないし、行き場がなくて困っているご家庭はたくさんあります。こういう課題は子どもの貧困や虐待と同じく、なかなか表に出てこないけど確実に存在する課題です。
この課題を解決するためにご支援をお願いできないでしょうか。D.Liveでは新しくフリースクールを作るための寄付を募っております。あなたの寄付をお待ちしております。