不登校の子どもの家庭学習「ホームエデュケーション」って、実際のところ何をしているのだろう

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「ホームエデュケーション」という言葉があります。

「ホームスクーリング」とも言われますが、「家での教育」という直訳のとおり、学校ではなく自宅を基盤として日々の教育や学習を進めていく、ということを意味しています。この言葉、日本と諸外国ではややイメージが異なる意味を表していることが見受けられます。

たとえば国土の広いアメリカでは、学校が遠いなどの理由によりこのホームエデュケーションを選択している家庭もあるそうです。また、以前に日本のプロ野球チームに所属している外国人選手が「体育の授業として」ある日のチーム練習に息子を連れてきた、という例もあります。

一方で日本ではやはり不登校で学校へ行けなくなった子どもたちが受けている教育、というイメージが強い言葉です。

実際にフリースクール「東京シューレ」では、こうしたホームエデュケーションの家庭をつなぐ「ホームシューレ」というネットワークを組織して、全国各地でホームエデュケーションを実践する家庭同士の交流を育んだり、相談の場を設けています。

実は、割と最近まで、僕はこの「ホームエデュケーション」について大きく誤解していた点がありました。

お恥ずかしながら、家庭においてお母さんなど家族がきちんとした国語や数学などの教科学習を教えているものだとばかり思っていたのです。

実際にお母さんが手製のプリントを準備したりして勉強を教えているご家庭もあるかもしれませんが、ホームエデュケーションについて見たり聞いたりしているうちに、何も家で学校そのものの授業を展開したり学習させているわけではない、ということに気が付きました。

みなさんは学校へ行ってない、授業に出ていない、だから何も学んでいないと思っているでしょう。しかし家庭で何もしていないのではなく、読書をすれば日本語だし、テレビでニュースや時事問題を見れば社会、夕食を作れば家庭科というふうに、生活のなかでもさまざまな学びをしています。一学期を振り返って、関係するような内容があったら、ぜひ教えてください。

出典:奥地圭子(2010)『子どもをいちばん大切にする学校』東京シューレ出版 P104

上記の引用は、先ほど触れた「東京シューレ」の奥地圭子先生の著書からのものです。

あらためてホームエデュケーションについて知識を深めていくうちに、僕はこの一節こそが(日本における)ホームエデュケーションのおおかたを言い表しているような気がしました。

弊団体が運営する「TRY部」の生徒のひとりに、ここ最近「消しゴムはんこ」づくりに熱中する不登校の中学生がいます。お小遣いで高い彫刻刀を試したけど、やっぱりいつも使ってるカッターのほうがやりやすい・・・などと使う道具にもこだわりながら、その腕前はめきめきと上達しています。

そんな彼に、教員としても働いている僕は、前々から欲しかった課題プリントを採点して返却する際に使えるハンコをひとつ依頼してみました。すると数週間後、ほかのスタッフが「これはすごい!」と驚くほどの消しゴムはんこを持ってきてくれました。いま生徒は僕の追加注文に取り掛かってくれています。

この生徒の「消しゴムはんこづくり」も、立派なホームエデュケーションのひとつです。学校の科目に照らし合わせると図画工作、もしくは技術家庭といったところでしょうか。

それ以外にも、たとえばピアノを演奏してみたり、カメラを扱ってみたり・・・など、ホームエデュケーションでは学校の授業の枠に縛られない多種多様なことにチャレンジした例が数多あります。また、家を飛び出してさながら校外学習のように畑の農作業を手伝った、という話も聞いたことがあります。

そういう意味では、不登校でフリースクールに通っていた僕も、毎日そのときのことをブログに書いていたというのはある意味「ホームエデュケーション」で文章について学んでいた、ということになるのかもしれません。

ホームエデュケーションは「音楽」としてピアノを弾いたり、「家庭科」として夕食の支度を手伝ったり・・・と意識してそれに取り組んだわけでなく、僕のブログの例のように、「そういえば、あれも国語の勉強の一環だったかもしれない」とふと気づくカリキュラムもあるのです。

とはいえ、学校の授業を受けていないとその先の進学に大きな影響が出てくるのも、残念ながら事実です。入試で学力試験がきちんとできないと希望した進路に進めないかもしれない、という不安は尽きないでしょう。

不登校の子どもというのは不思議なもので、あれだけ明けても暮れてもゲームに熱中していたにもかかわらず、急にそのゲームに飽きてしまって教科学習に手を出すこともあります。そして、大人でも同じだと思いますが、「やらされて」なにか勉強に手を付けても、決まって身にはつきません。

僕自身も、半ば「やらされた」形になっていた中高生時代の数学は、今やきれいさっぱり忘れてしまいました。しかし、学校で働くようになり、数学という科目がやや身近になった今、改めて学び直しの意味で数学に関する本を手にとってみると、数式の意味はわからなくともなんとなく面白く感じるのです。

ホームエデュケーションは「やらされて」勉強する場ではありません。子どもの小さな「やりたい!」を大切に育む場です。たとえば高校受験に向けて「国語と数学の勉強をやりたい!」と思ったときにこそ、教科学習でもぐんと力を伸ばせるチャンスなのかもしれません。

教育機会確保法の一環で無理に学校へ戻す方向性が見直され、不登校の子どもたちの数が過去最多を更新し続ける今、ホームエデュケーションが脚光を浴びる時代がもうすぐそこに迫っていることは確実だと思います。

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山本 駿

山本 駿

NPO法人D.Live スタッフ / 高校非常勤教員(社会科) 京都出身。中学3年間不登校。岐阜県内の大学を卒業後、不登校ボランティアを経て2014年よりD.Liveに参画。主にTRY部や不登校講演事業を担当しながら、今を生きる子どもたちの先生でも友達でもない「ナナメの関係」になることを目指しています。