不登校の解決を、W杯ポーランド戦での西野監督の作戦から考える

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不登校の解決とはなんだろう。

子どもが学校にもどることだろうか。

 

 

ぼくはそうは思わない。

これまで、たくさんの不登校の子ども達と面談してきた。

 

「自分が怒られてるわけじゃないけど、すぐ怒る先生が怖くて教室に入れない。」

「受験のプレッシャーがしんどい。」

「クラスに苦手なやつがいてる。あと、たまに行っても周りからアレコレ言われたり変に思われたりするのがイヤ。」

 

 

子ども達の話を聞いていると、学校にいけない状態を解決するのではなくて、その奥にある人付き合いの悩み、周囲からのプレッシャー、学校的な空気感との付き合い方など。

 

子ども一人ひとりの悩みや困りごとに寄り添い手助けをすることが本当の解決になると思っている。

 

そんなこと分かっているけど、まずは学校に行くことが先決だという意見もあるだろう。

しかし、学校を変わるなりなんなりして無理矢理にでも学校に行かせても、同じような課題にぶつかってしまっては意味がない。ともすれば、より一層子どもの心をこじらせてしまうかもしれない。

 

 

だからこそ、フリースクールや個人面談でも学校に戻ることを前提とした話は絶対にしない。それよりも子ども自身の関心や不安、悩みを聞いて一緒に考えることを大切にしている。

 

 

 

それでも悩ましいことも多い。

1つは高校生の不登校。

 

 

 

高校の不登校は複雑だ。

 

中学校までと違って、学校を休み続けると単位が足りなくなって留年や退学がせまってくる。

 

せっかく受験したのに退学なんてもったいないという気持ちや声かけ。

先生から渡される留年しないために出席するべき日にちと授業がまとまった表。

 

 

これらが、本来寄り添うべきことを目隠しして、とにかく子どもに学校へ行くことを促そうとする。

 

 

子どもからすれば、学校に行かなくちゃと思うけど行けない。これからどうするのか、何をしたいのかを聞かれても、自分でも何をどうすればいいか分からない。

こんな状態で学校に行くことを迫られるのはきついだろう。

 

 

 

サッカーで例えると、敵からのプレッシャーに耐えながら、なんとか一人でボールをキープしている状態だ。しかも、どう考えてもドリブルで突破はできないのに、監督からドリブルで前進しろと言われているようなものだ。

パスを出せずに一人でボールをキープしているのは保護者もきっと同じだろう。

 

高校になると物理的にも学校との距離が遠くなるので相談もこまめにしにくいし、中学校までの仲が良かったとママ友たちとも高校が違うと話を聞いてもらうこともためらってしまう。

 

まさに孤軍奮闘。

 

だからこそ高校生の不登校を解決するには、小中学校のとき以上にパスを出せる場所を見つける必要がある。

 

 

 

2018年のW杯で、対ポーランド戦の試合をご存知でしょうか。

 

決勝トーナメント出場がかかったこの試合。日本代表が決勝トーナメントに進む条件はいくつかあった。1つ目は日本が試合に勝つ。2つ目は引き分け。3つ目は日本がポーランドに負ける、かつ同グループリーグのコロンビア対セネガル戦でどちらかに勝敗がつく(引き分けだと日本が得失点差で敗退)、という状態で試合を迎えた。

 

この試合の終盤。

0対1、ポーランドがリードを守っている状況で西野監督がとった作戦が波紋を呼んだ。

 

監督は積極的に攻めるのではなく、とにかくパスをつなぎ試合終了まで時間を稼ぐ作戦をとった。決勝に進むために時間を稼いでこれ以上の失点を避け、同時に行われていた同グループのコロンビア対セネガルで、リードを守っていたコロンビアがこのまま勝つことに監督はかけたのだ。

 

 

消極的ともいえるこの作戦に、サポーターや外野からはブーイングも多かった。

 

しかし、結果として監督の作戦は功を奏し、日本代表は決勝トーナメントに進むことができた。

 

何が言いたいかというと、不登校の奥にある本当に解決すべきことを解決するためには、学校を休ませて家でゆっくりしたり、フリースクールや塾などに通わせたり、家庭教師とたわいのない話をしてもらったりなど、一見すると後ろ向きで時間稼ぎに思える選択肢だとしても、とにかくどこかへパスを出すことが重要だということだ。

 

 

大事なのは、目的をどこに据えるのか、そしてそのために何をすべきか。

ここの判断を誤らずに行動することで結果がでることを、西野監督の作戦にみることができる。

 

 

 

 

ぼくたちD.Liveのフリースクールにも高校生がいる。

ここで羽を休めて、他の生徒たちと関わり、そろそろ次の場所へ飛び立つ準備もできてきた。

 

 

どこかにパスを出せば状況は変わる。

一番よくないのは一人で抱えること。孤独でいることだ。

どんなに突破力の高いサッカー選手でも最初から最後まで一人でドリブル突破なんてできない。パスを出して、相手の隙を作るから突破することができる。

 

 

 

 

子どもの育ちも同じ。

 

パスを出すのが早ければ早いほど、たくさんの人につながって、子どもの育ちにに有利な状況がつくりやすい。

 

 

 

「風邪でもないのにここ最近、少し休みが目立ってるな」

これくらいの状況でもパスを出して良いとぼくは思う。

先生に様子を気にしてもらうよう電話してもいいし、家庭教師から話を聞いてもらっても良い。

 

 

 

ぼくたちD.Liveにとっても早めの相談はありがたい。

もちろん、「もうあと2日で留年です」という状況だったり、「留年が決まってしまいました。今後、どうすればいいでしょう。」という状況でも、遠慮なく言って欲しい。

 

これからのことを一緒に考える用意が、パスを受ける準備が整っています。

 

 

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得津 秀頼

得津 秀頼

D.Live副理事/元小学校教員 自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。 自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。