【8.25 講演レポート】子育てを終えた自分がゴキゲンでいることが子どものためになるワケと、この講演ができるまでの裏側

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「今日、いつもより来てる人が多かったよ!」

予定していた講演が終わって、パソコンの片付けているところにおばちゃんが声をかけてくれた。

 

「普段は、もうちょっと少ないねん。私も地域で何かしたいなと思ってたから、今日の話きいてガンバろうと思ったわぁ。」

講演と質疑応答の時間配分を勘違いしていたので、ちょっと間延びした話になってしまったなと反省していたところだったので、おばちゃんの言葉はとても嬉しかった。

 

台風が去ったばかりの8月25日 土曜日。
ぼくは鳥取県の倉吉市がおこなう「人権のために学ぶ同和教育講座」の一環で、思春期の子育てや自尊感情について講演させていただいた。演題は、『倉吉市の子ども達が幸せな子ども時代を過ごすために、いま私たちができること』。

 

市としては、80名ほどの来場者を見込んでいたらしいが、当日は93名の市民の方々に来ていただいた。20代の子育て世代から、地域で人権や同和教育を担う70代の方々が参加され、年齢層が幅広い会になった。来てくださった倉吉市民のみなさま、本当にありがとうございました。

 

担当の職員さんから子育て真っ最中の親御さんや、すでに子育てを終えた地域のかたも来られるだろうと事前に伺っていたので、せっかくならシニアのみなさんにも関わる話にしたいと思い、当日は自分自身がご機嫌でいることが子どもの幸せになることをお話した。

 

 

同じ地域に住んでいるからとあいさつをしただけでも、今では不審者あつかいされるかもしれない時代。

地域の人が子どもと関わるには、「見守りおじさん」や「子ども食堂のおばちゃん」、「野球チームのコーチ」などの肩書きや立場がないと接点を持つのが難しくなってしまった。

このように現状だから、よかれと思って子どもに関わろうと思っても取りつく島がないのが、子育てを卒業したシニア層が抱えている悩みではないだろうか。そんなシニア層の処方箋になればと思い、自分自身がご機嫌でいることが子どもの幸せになることにつながる話をした。次のような話だ。

 

 

住みよいまちづくりをめざすときに、騒音が問題になることがある。

まちづくりの研究をされている知人に教えてもらったのだが、例えばこんなものだ。市内の子どもが増えたので幼稚園の数が足りなくなってしまった。新しく幼稚園を作る必要があるので、早速よさそうな土地の工事に入ろう。すると、地域の住民から「幼稚園ができたら子どもの声や運動会の音がうるさくて過ごしにくくなる。幼稚園の建設はやめてほしい。」こんな訴えがあがった。

 

他にもある。町内に活気を取り戻すために盆踊りを復活させようという声があがってので、企画を進めていた。すると、他方から「盆踊りなんてされたら、うるさくて寝られない。どこか他所でやってくれないか。」と言われてしまった。

 

このような、まちの騒音問題が生まれる原因は音量の大きさではなく、地域の関係性が薄いことが原因だそうだ。つまり、地域や町内であいさつや関わりがたくさんある場所では同じ音の大きさでも問題に感じないらしい。これを受けて、まちづくり研究の知人からは「わざわざ新しくまちの為に何かをはじめなくても、お隣さんと温かいコミュニケーションが取れていれば自然とまちの為になる」と教えてもらった。

 

「わざわざ何かを始めなくても、温かなコミュニケーションがまちの為になる」というのは、そのまま子どもの為に置き換えても同じだと私は思う。
直接子どもと関わらなくてもお隣さんや地元の友だちと仲良くしていれば、それだけで町内の温かいコミュニケーション量は増える。温かいコミュニケーションが多い町内では、通学中の子どもの声や、放課後に家の前で遊んでいる子ども達にも寛容になれる。「気にならないわけではないけど、まあ目くじら立てて怒るほどでもないか。」という具合だ。遊びの度が過ぎで注意するときも温かなコミュニケーションの蓄積があれば、いきなり怒鳴ることにもならない。

 

 

こうなってくると、子どもにとって自分の町内が安心できる場所になる。

子どもにとって安心できる町内であるために、まずは自分がご機嫌でいましょうね。不機嫌な人の話は聞きたくないし、話しかけたくならないですよね、という話をした。

 

 

 

実は、この話をしようと決めるまでに担当の職員さんと3回ほど電話で打ち合わせをさせていただいた。まとまった時間が取れなかったので、1回ずつの打ち合わせは短い時間だったけれど3回もよく付き合っていただいた。担当の職員さんには本当に頭があがりません。

 

それでも打ち合わせをおこなわせていただいたのは、D.Liveが受けた講演はできるだけオーダーメイドでありたいからだ。ぼくたちは、他所で話したスライドを講演先の名前だけを変えて使い回すことはしたくないし、講演の対象がだれでもいいような「おきまりの話」はしたくない。

 

呼ばれる先が違えば、担当のかたが依頼していただいお気持ちも、当日来られるだろう方々も違う。だから、少しでも打ち合わせの時間をとってご依頼いただいた担当さんの思いや当日来られるだろう方々のニーズ、これまで実施された講演の雰囲気などを伺った上で当日の講演内容や資料を決めている。

 

講演タイトルもそうだ。HPにはスタッフが過去に実施した講演タイトルなどをいくつか載せているが、あくまで例としてだ。講演タイトルも、できるだけ関心を持って参加してもらえるように講演先とテーマに合わせて工夫している。今回の「倉吉市の子ども達が幸せな子ども時代を過ごすために、いま私たちができること」というタイトルも、こちらがいくつか候補を出した中から選んでいただいた。

 

 

こなすように講演や研修をされている方に比べれば手間も時間もかかっているけれど、この方が講演の質が上がって、話を聞いていただいた方々に少しでも残るものがある。倉吉市のおばちゃんに掛けてもらった言葉は、まさに細かく打ち合わせを重ねたから聞けた言葉だった。

 

 

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得津 秀頼

得津 秀頼

D.Live副理事/元小学校教員 自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。 自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。