【講演レポ】子どもたちの「どうせムリ」をなくすために -大人のわたしたちが今できること- 6/18 大分

こんにちは。D.Liveスタッフの得津です。

6月18日(月)に、大分県の中津青年会議所6月例会にて、『子どもたちの「どうせムリ」をなくすために -大人のわたしたちが今できること-』というテーマで講演させていただきました。

 

当日は青年会議所の皆さんだけでなく、地域の子育て世代の保護者さんもこられ、総勢80名ほどの盛会となりました。あらためて、中津青年会議所の皆さんには御礼申し上げます。

 

講演では、D.Liveがこれまで関わって来た生徒の例を出しながら、主に思春期の子ども達にどう関われば夢や目標を持つことができるかをお話ししました。

 

「何かやりたいことないの?」と子どもに聞いても、「別に」とか「どうせムリやし言わん」なんて返される。

こんな風に言われると大人の私たちは暖簾に腕押し。

どうしたらいいのか分からなくなりますよね。

 

子ども自身が「どうせムリ」から卒業して、自分のやりたいことに進んでいくために大人の私たちは何ができるのか。まずは何でもいいから子どもの話を聞くことです。講演でも一貫してこのことについて話をしました。

 

今日は講演では出さなかったエピソードを踏まえつつ、子どもの話を聞くのがなぜ目標に向かう力を引き出すのかについてお話しします。

 

2年前に出会ったある中学生の女の子と出会いました。

当時、彼女は中学3年生でした。

 

彼女はちょっとヤンチャで、先生も保護者さんも手を焼くような子どもでした。勉強も好きじゃないし、部活もやっていません。同じ学校にいるヤンチャな子達と夜遅くまで遊んでいることも多く、保護者さんが心配してD.Liveに連絡をくれました。

 

体験や保護者さんの説得でなんとかD.Liveの教室に通うことになり、月1、2回くらいのペースですが定期的に通ってくれるようになりました。

 

彼女が教室に通い出してしばらく経ったある日のことです。

「ウチ、ほんまは福祉の仕事したいねん。でもアホやからなー。」

と、何の前触れもなくみんなに話し掛けました。

 

 

そんな話題はこれまで一切なく、学校の好きな人の話や、イヤイヤ持って来た学校のプリントの話ばかりだった彼女が自分の夢を話したんです。驚きました。でも、それ以上にすごく嬉しくて、スタッフみんなが「それいいやん。できるってー。」と、彼女の発言を肯定的に受け止めていました。

 

それからの彼女は、イヤイヤ持って来た学校のプリントも少しずつ真面目に取り組むようになり、テスト前は問題集にも取り組んでいました。結果、彼女が希望した高校に合格することができました。今ではヤンチャな友だちとは離れ、別の気の合う友だちと過ごしているそうです。

 

彼女のように。自分の目標のためにキライなりにも勉強をはじめたのは、一にも二にも彼女の話を聞くことを徹底したからです。

 

いまの子ども達は、私たちが子どものころに比べてコミュニケーションできるツールが大きく増えました。

スマホやパソコンはもちろんのこと。今ではゲーム機器を使ってコミュニケーションを取ることができます。これだけたくさんのコミュニケーションツールに囲まれる生活は子ども達にとって、普通のことです。

 

 

だからといって、全てが楽しいコミュニケーションかというと実際や違うようです。

子ども達から話を聞くと、スマホやゲームで知らない人とのやり取りや品位のないやり取りをしたり(子ども達の中ではマウンティングという会話の仕方)、クラスの友だちとのラインも友だちのノリに合わせないといけないしんどさがあるそうです。

 

 

つまり、安心して自分の話ができる環境が今の子ども達には少ないという現状があります。

だからこそ、子どもと関わる大人には何でもいいからとにかく子どもの話を聞くところから始めてほしいんです。ゲームでもアニメでもスポーツでも、何でも構いません。自分の関心がない話をされても、相手が話し終えるまで「うんうん」とうなずいてください。

 

それだけで子どもは安心します。安心感を感じられると自分の底にある思いも話してくれます。

「この人だったら聞いてくれるかも。」

「この場所だったら話してもいいかな。」

 

この人は話を来てくれるという安心感が子どもの中にあると、こんな気持ちになってきます。

 

 

もう終了してしまいましたが、芸能人のタモリさんが司会を務めた『いいとも』という番組がありました。その1コーナーに、ゲストが15分〜20分ほどタモリさんとあれこれトークする名物コーナーがありました。

 

リアルタイムで『いいとも』を観ていた人はぜひ思い出してほしいのですが、あのコーナーって実は短時間でゲストのかなりつっこんだ部分まで話をしているんですよ。もちろん事前の打ち合わせもあるでしょうが、それ以上に司会のタモリさんが聞き上手だからこそ、ゲストの深い部分まで話を引き出すことができるんだと私は考えています。

 

 

子どもが夢や目標を持ってがんばってほしいと思ったとき、私たち大人はついあれこれと世話を焼いてしまいます。どこかに連れていったり、何かを話したりしたくなります。まるでドラえもんです。

でも夢や目標はもともと子どもの中にあります。私たち大人は、元からあるものを引き出すために「うんうん」と、子どものどんな話でも聞いてあげるだけでいいんです。

 

私たちは子どもに何かを与えるドラえもんじゃなくていい。

話を聞いてあげるタモリさんをめざせばいいんです。

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この記事を書いた人

D.Live副理事/元小学校教員
自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。
自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。

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