大人だからこそ思い出したい、悩みを悩みとして悩むことの大切さ

 

ぼくたちはいつから悩みを解決すべき課題としてしか捉えられなくなったんだろう。

 

職場の後輩のグチ聞きに付き合ったあのときだろうか。

学生時代の友人から恋愛相談を持ちかけられたあのときだろうか。

 

大人になってしまったぼくたちは、悩みを相談されたらすぐアドバイスをするし、人や本を紹介したりもする。忙しくて余裕のないときは「グーグルで調べたらわかる」の一言で片付けてしまうこともあった。

 

 

でも、それでいいと思っていた。「ちょっと悩んでて」と声をかけられたときに、アドバイスをしたら「ありがとうございます。それでやってみます。」と言われたし、相手も上手くやっているようだ。だから、悩み相談の対応はそれでいいと思っていた。

 

 

けど、本当にそれでいいんだろうか。

悩みを悩みとして悩むことのほうが、実はぼくたち大人にとっても、ひいては子どもにとっても大切なんじゃないか。悩みを解決すべき課題として捉えることで大切な何かがこぼれているんじゃないか。

 

そんな視点を『自尊感情の心理学 理解を深める取扱説明書 (中間玲子編著)』が気づかせてくれた。

本の中の、親や教師の期待に過剰適応する「よい子」の問題について論じている部分だ。

 

ー過剰適応の人やよい子の苦しみをいくつかあげてきたが、ここではその1つである「悩みを悩みとして悩むこと」の難しさを取り上げたい。小田(2000)によれば「悩み」とは自己の中核に触れる欲求不満や葛藤の主観的体験を意味する。また「悩む」とは自己の内部、または主体と環境との不協和音を自覚し、自己の問題としてこれを解決しようとするが、容易に解決できず、苦しむ状態を指す。小田は、人は苦悩の中で成熟し成長する可能性を指摘しつつ、悩むことの肯定的側面にも注目している。

ー繰り返しになるが、過剰適応研究の視点からみた場合、いわゆる「よい子」の子どもが示す様々な症状を「治すべきもの」や「直すべきもの」ととらえると、葛藤や悩みが葛藤や悩みとして同定されず(それゆえ解消されず)、症状はむしろ「(本質的な)悩みからの回避」を促進する要因として維持される。なぜなら、症状に注意が向けば、弱さや悩みを抱える自分に、本人も周囲の大人も目を向けなくて済むからである。

(以上、本文中より一部抜粋)

 

 

悩みや葛藤の中で人は成長していく。

経験的にもよくわかるし、学生の頃から理論的にも学んでいたはずなのに、

こんな大切なことをどうして忘れていたんだろう。

 

同級生と比べて自分が劣っている気がして自信が持てなかった学生時代。

悩んで一日中家にこもったり、とにかくチャレンジしたりしながらもがいたことが自信につながった。

 

社会人になってからも同じだ。

なあなあで片付けてしまえばパッと終わる仕事を、どうしても手を抜きたくなかった。

でも締め切りがある中で、どうしようか悩み抜いてギリギリまで妥協せず取り組んだことがあった。

結局力不足で思った通りにはいかなかったけど、自分にはどんな資質や経験が足りなくて、

これからどうしていけばいいかクリアになった気がした。

 

悩みの只中にいるときは辛い気持ちになるし、晴れない気分にもなる。

でも、悩んだからこそ悩んだことに自分なりの意味づけができた。自分なりの言葉で語れることが増えた。

そう。悩みそのものに価値があるし、成長できる可能性が秘められている。

 

 

そういえば、こんなことがあった。

ぼくはいま不登校の中高生と関わる仕事をしている。

もっと分かりやすく言えばフリースクールを開いている。

 

そのフリースクールで、ある保護者さんが「うちの子、『なんで生きてるんだろう』と言うときもあるんです。」と相談に来られたことがあった。

 

ぼくは、「なんで生きているのか?」という問いを立てた生徒への関心が一気に高まって、すぐに二人で話をした。

『14歳からの哲学 (池田晶子著)』を二人で読みながら、一緒に生きている理由を話し合った。

本に書いてることは難しかったし、話し合ってみても「わからへんなぁ」で終わったけど、お互いにこの問いを分かち合えがことは生徒にとっていい経験になったみたいで、その後は生徒の表情も明るくなったしフリースクールでも活き活きと過ごすようになった。

 

相談に来られた保護者さんにも伝えたが、こういうことを考えられるのは青春してる証拠だと僕は思っている。

 

生きるって何?

どうして勉強するの?

学校に行かないといけないのはどうして?

 

思春期になると自分のことや周りのこと、それまで当たり前と思っていたことに疑問を持つようになる。

こんなことを聞かれたぼくたち大人は脳内でエマージェンシーコールが鳴り響くことだろう。

「緊急事態!生きる意味について聞かれた!子どもは何か気持ちを病んでいるかもしれない!すぐに対処を!」って。

 

でも対処はしなくていい。

一緒に悩むことがいい。

 

子育てシーンでもことさらに共感することの大切さが言われているが、そもそも共感することが大切なのは悩みを悩みとして一緒に受け入れてあげるためだ。寄り添うとはそういうことだ。共感して解決に持っていくんじゃない。共感して悩みに付き添ってあげることだ。悩みを悩みとして悩めることだ。

 

 

悩みを悩みとして悩むことの大切さに気づいたからこそ、ぼくは改めて子どもの悩みに寄り添う視点を得た。ただ先回りするんじゃなく、自分が答えを見つけるまで一緒に考える。

 

なんてことはない、D.Liveが開く教室でこれまでも大切にしてきた価値観だ。

この価値観を大切にしてきたからこそ、生徒たちは自分なりに目標を立てて行動することができるようになったし、よい子だった生徒はそれを手放すこともできた。

 

悩みを悩みとして一緒に悩む。

こういう関わり方をこれからも続けていきたい。

 

 

 

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    この記事を書いた人

    D.Live副理事/元小学校教員
    自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。
    自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。

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