「どうしても不登校の理由は言えなかった。お母さんに迷惑をかける気がして」 #3 不登校経験者のキャリアインタビュー 

不登校の経験がある人の進学や就職についてたずねる、不登校経験者のキャリアインタビュー。

今回は社会人2年目の坂本あいさん(仮名)。
滋賀県で働く彼女は、中学生2年生の三学期に不登校になったそうです。

 

 

—今日はよろしくお願いします。まず、あいさんが不登校になったきっかけについて教えてください。

中2の三学期から不登校になりましたが、そもそも中2になったときから学校に行きづらいと思っていました。中1までは担任の先生にも友だちにも恵まれていましたが、中2のクラス替えで仲が良かった子と一緒になれなかったんです。

これは女子特有のものだと思うんですが、新しいクラスでもヒエラルキーの上の位置にいなきゃと思っていたんです。私のいた学校はいわゆるやんちゃな子が多い学校でした。ヒエラルキーの上の方にいたい私は、中2になった時にやんちゃグループに入ってしまったんですね。でも全然合わないから、ずっと我慢していました。

そんなある日、グループ内で揉めごとがあって私1人対ほかの3人なったんです。それからは3人から無視される日々。人生の終わりだと思いましたね。誰かに助けを求めることもできませんでした。

 

 

—お家の人にもですか。

言えませんでしたね。いじめられてた時は、お父さんは単身赴任で家にいないし、妹も二人いました。だから、いじめられてること母に相談したら、心配をかけてしまう気がして。母とはなんでも話せるくらい仲がよかったんですが、自分だけの問題じゃないことや弱みみたいことを話すのは抵抗がありました。とにかく迷惑はかけたくない、心配をかけたくないという気持ちが強かったですね。

原因は言えないまま、だんだん学校を休みがちになっていったので、母もヒステリックになって無理やり学校に連れ出そうとされました。当時、塾にも通っていたんですが、学校を休むなら塾も休みなさいと言われて部屋に引きこもるようになりました。

 

 

—引きこもっているときは何をして過ごしていましたか。

引きこもってる間はずっと寝ていたり、小説を読んでいたりですね。小説を読んでいる間は本の世界に没頭するから嫌なことを忘れられるんです。でも、だんだん気持ちは沈んでいきました。自分は何をしてるんだろうと悩んだり、死んだら楽になるんだろうなぁとか考えたりしました。ゲームやネットにハマることもなかったですね。楽しいことをしてはダメだと思っていましたから。

 

 

—お母さんに心配をかけたくないから言えない気持ち、よく分かります。その後、学校に復帰するまでのことを教えてください。

三学期の2月ごろ、副担任の先生と部活の顧問の先生が家に来てくれました。そこで、いじめが原因で学校にいけなくなったことを打ち明けました。先生たちも気づいてくれていたみたいで、先生なりに相手に話を聞いていたみたいです。

でも、私としては全然うれしくなかったんです。だって、相手はいじめるつもりは無かったとか言いますよね。先生も相手の言い分を真に受けちゃって、もう大丈夫とか言ってくるし。そんなこと言われても行けるわけないですよね。

先生から登校時間をずらして学校のカウンセリングルームに行くこともすすめられました。私は、みんなと違う時間に登校することに後ろめたい気持ちがあったので断っていました。でも、私以外にも不登校の生徒がカウンセリングルームいると教えてもらったので行けるようになりました。当時は、こんな風に学校に行けない生徒なんて自分くらいだと思っていましたので、他にも不登校の生徒がいると教えてもらい、非常に気持ちが軽くなりましたね。

三学期はカウンセリングルームで過ごして、3年生になったタイミングで教室に戻りました。学校の先生にいじめた相手となるべく合わないようにクラスを配慮してもらったおかげですね。

 

 

—不登校の経験は、進路や就職先を決めるときにも影響しましたか。

そうですね。大学に進学する時、途上国の子どもを救いたいという気持ちがありました。中2までは平和に平凡に過ごしてきたので、人の心の痛みも知りませんでした。こういう経験をしたことで、自分でも人の助けになれる道を探すようになりました。

ですから、大学一年生の春休みにフィリピンのスタディツアーに行きました。ツアーに行ったら、逆に悩んじゃったんですよね。「支援」ってなんだろうと。

フィリピンでは、想像もつかない飢餓に遭っている人たちが、すごく幸せそうに暮らしていました。この様子を見て、日本の方が学ぶことあるんじゃないのか、支援が必要というけど実はちがうんじゃないかと思ったんです。一方で、将来の夢を語ることもできないまま死ぬかもしれない現実もあるので、いろんな考えが頭をグルグルしていました。

そんな時期に東日本大震災がありました。復興支援に参加した私は途上国支援じゃなくて、日本国内でも何かできるはずだと気づいたんです。就活のときには、地域に根ざした仕事ができる就職先を探すようにしましたね。

 

 

—人の心に寄り添いたいという気持ちが、大学で様々な活動や、就職先を選ぶことにつながっているんですね。最後に、不登校の子どもや保護者さんへメッセージをお願いします

まずお子さんに、世界は君が思っているより広いと伝えたいですね。わたし、高校の時も学校辛いなと思うときがあったんですね。それは教室だけの狭い世界で、人と比べて自分がダメだと思っていたからでした。勉強もスポーツも全然できなくいい。教室だけが全てじゃないし、人と違っていいんだと思えるようになって欲しいですね。気楽に生きて欲しいです。

保護者さんへは、お子さんに可能性をたくさんプレゼントしてほしいです。学校行く・行かないではなく、フリースクール、塾、習い事でもいいから何か一つでも家と学校以外の居場所を見つけるといいなぁと思います。自分にとっては、塾がそうでした。いじめのことも塾の先生には相談してたように思います。

 

—貴重なお話をありがとうございました。あいさんには、4月22日(日)の不登校のおはなし会でも話題提供していただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

不登校を経験した社会人と話す、”子どもの勉強・進路・将来”
〜第10回 不登校のおはなし会 in 滋賀〜

イベント詳細

日時  4月22日(日) 14:00~16:30

参加費 1000円

プログラム

・自己紹介
・話題提供  不登校だった時の気持ち/立ち直ったキッカケ/将来について考えていること etc.
・質問タイム
・参加者みんなで話す時間
・ふり返りやアンケートなど

 

定員  20名

会場  草津市立まちづくりセンター
(JR草津駅最寄り)

 お申し込み

・メールでのお申し込み

件名を「4/2 不登校のおはなし会参加」とし、

本文に、お名前・ご住所・ご所属・ご連絡先を明記のうえ、info@dlive.jp にメールをお送りください。

※こちらからのお返事が届かないケースが増えております。迷惑メール対策をされている方は特に、info@dlive.jpのメールが届くよう設定をお願いいたします。

 

 

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この記事を書いた人

D.Live副理事/元小学校教員
自分に自信が持てない、自分を好きになれない、そんな人が自分を好きになり前向きにチャレンジできる社会を創るためにD.Liveを立ち上げた。
自尊感情に関心が高く、D.Live内では主に自尊感情に関する事業を担当。

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