子どもが勉強嫌いになる理由を図解して、対策を考えてみた

こんにちは。D.Liveスタッフの得津です。
先日、「思春期の子どもが勉強のやる気や意欲を取り戻す関わり方」という講座をおこないました。
受験や進学を考えると、どうしても親としては勉強して欲しい。
なんなら毎日自分から勉強してくれると最高ですよね。
でも、現実はそんな最高な姿とはほど遠く、今日も勉強をしていない。
先日おこなった講座では、この理想と現実の間を埋めるために親として何ができるかを、D.Liveがおこなっている教室「TRY部」の授業内容や、背景にある理論をベースにお伝えいたしました。
そもそも、どうして子どもは勉強が嫌いになるんでしょう。
この理由は、自分が子どもの頃に勉強が苦じゃなかったり、優等生だったりするほど分からないものです。「私が子どもの頃はそうじゃなかったのに」というのが、勉強嫌いな子どもを見たときの率直な感想だと思います。
そこで、子どもが勉強を嫌いになる理由を図に表してみました。
こちらの図は、これまで出会ってきた中高生の子どもや親御さんのヒアリングを元に、
D.Liveスタッフで話し合って決めた図です。
図の見方をご説明します。
1つの項目から伸びている矢印が、その先の項目に影響を与えます。
例えば、成績が下がれば下がるほど、友達と比べて自信を失くし、努力も無駄だったと思う気持ちが強くなる。成績が下がれば下がるほど、親の小言も増える。
こんな風に、この図を見てください。
(成績下がっても、私は小言なんて言わないとおっしゃる保護者さんもおられるでしょうが)
この勉強嫌いになるループから脱出するためにはどうすればいいのか。
多くの方は、図の一番左。「勉強量を減っていく」ことにアプローチします。
要は塾に入れたり、家庭教師に来てもらったり、通信教育を始めたりですね。
しかし、実は「自信の低下」や「勉強の意味を感じない」にアプローチしたほうが結果的に自分から勉強するようになるかもしれません。TRY部では、この事の意義を強く実感しています。自分に自信が持てる授業をTRY部ではおこなっています。TRY部では勉強はしません。ですが、生徒がここに通うと自分で目標を立てられるようになります。最近では、目標達成を励まし合うライングループを生徒たちが自発的につくっていました。
生徒が自分で勉強を始めたり、毎日勉強することが習慣化したりするようになるには、学習塾に通わせたらOKという単純な話ではありません。もし、学習塾や家庭教師などで勉強量を増やすことだけに注力して勉強嫌いが解決するなら、どの子も喜んで塾に通うはずだし、家でも勉強するはずです。
けれど、実際はちがいますよね。
めんどくさそうに塾に通うし、家では全然勉強しない。塾では勉強してるだろうと思っているけど、成績が伸びなかったら本当に勉強しているかも怪しく思えてきます。
結局、勉強量を増やすというアプローチでは当初の理想通りにならない。
だからこそ子どもの自信を育んだり、勉強の意味づけをしたりすることが自発的な学習に向かうためには必要です。
自信を育んだり、勉強の意味づけをするためには具体的にどんな声かけがありえるか。
あるいは、どんな気持ちで子どもと関わればいいかについても講座ではお話しいたしました。
この記事では、講座で話したことの中から「パニックゾーン・ストレッチゾーン・コンフォートゾーン」についてご説明いたします。
こちらの図をご覧ください。
「パニックゾーン・ストレッチゾーン・コンフォートゾーン」は、
学習者が置かれる3つの環境のことです。
経験学習という学習理論がベースにしている考え方です。
コンフォートゾーンは、快適という意味の通り自分が安心できる状態か環境のことです。ただ、このゾーンでは成長があまり見られず、現状維持で終わってしまいます。家でゆっくり過ごすときや、友だちと遊んでいるときがこれに当てはまるでしょう。
ストレッチゾーン(ラーニングゾーン)は、不安な気持ちになったり尻込みしたりすることがあります。いわゆるストレス(負荷)が掛かる状態です。しかし、このストレス(負荷)は成長につながる良いストレスです。学習者にとって、適度な不安やストレスが掛かるのがストレッチゾーン(ラーニングゾーン)です。
パニックゾーンは、ストレッチゾーンよりも不安やストレスが高い環境のことです。この状態では何も手につきません。早くコンフォートゾーンに戻りたいという気持ちばかりが高まります。例えば、新しい環境や大人数のパーティーなどで、どうしていいか分からずポツンとしている状態ですね。
どうしてこの図をご紹介したかと言いますと、私たち大人は得てして子どもをパニックゾーンへ連れていってるかも知れないからです。
毎日勉強して欲しいから「今日から勉強しないとゲーム禁止!」と言ってみたり、「いい加減勉強しなさい!」と怒ってみたり。
あるいは、子どもが自分で自分をパニックゾーンに連れていってる場合もあります。
かなり頑張らないと達成できないような無茶な目標を立てているときです。
このときの子どもの心理はこんな感じです。
目標を達成するために、ものすごい量の勉強をしないといけないイメージが浮かんでいます。勉強したほうがいいのも分かっています。ただ、無意識の中で勉強量の急激な増加がパニックゾーンになっているので、今のダラダラ過ごせるコンフォートゾーンと天秤にかけたときに楽な方に流れてしまうんです。
では、子どもをストレッチゾーンに連れていくために私たちは何ができるでしょうか?
そのヒントはスマホのゲームにあります。
私は中高生の生徒と話を合わせるために、子どもがしているスマホゲームをすることがあります。
以前、生徒から魚を育てるゲームをオススメされてプレイしたんですが、ゲームの設計に感動してしまいました。
コンフォートゾーンからストレッチゾーンへの導線が非常に上手く、パニックゾーンにある目標が最初から提示されながらも、何をすれば目標を達成できるか非常にわかりやすいので初心者の自分でもどんどんハマっていきました。
今のゲームはプレイする人への動機付けが巧みに設計されています。
私たちが子どもを自発的な勉強へ動機づけるために、ゲームから学べることはたくさんあります。
単純なところですと、ゲームにたとえて勉強の意味づけを話したりすると生徒はかなり理解してくれます。
ゲームに組み込まれている動機づけをゲーム以外に活かすことを「ゲーミフィケーション」と言います。
子どもが自分から勉強するための関わりのヒントとして、
「パニックゾーン・ストレッチゾーン・コンフォートゾーン」と「ゲーミフィケーション」をお伝えしました。
一問一答の答え方ではなく、このような理論をお伝えするほうが長期的には、この記事を読んでくださっている皆さんのお役に立てるだろうと思い、理論的なことを中心にいたしました。
ですが、子どもが自分から勉強するためにどうすればいいか個別具体的なお悩みについても私たちD.Liveは受けつけております。
TRY部の見学も受け付けております。TRY部ではゲーミフィケーションの中でも、
協力(交換・交流・贈り物)
目標の共有と役割分担をして他人と協力できる。コミュニケーション欲求やコラボレーション欲求を刺激
学習、改善(自己啓発・プロセス)
レベルアップシステムなど。成長を可視化して成長意欲・向上を刺激
即時結果
アクションを起こしたらすぐに反応がある。または相手のアクションに反応できる。退屈せず継続しやすい・共創欲求がわく
この辺りを特に強化した授業をおこなっております。
どうぞ、D.Liveへのご相談やTRY部のご見学を希望される方はこちらのバナーからお問い合わせください。