子育ての疑問、こたえます。

先日、おこなった小学校での講演。
そのときにいただいた質問に回答させていただきます。!
Q : 昔から自分の気持ちを話してくれない。どうすればよいでしょうか?
お子さんがもし、なかなか話をしてくれないという状態ならば、原因は大きく3つ考えられます。
まずは、諦めです。話をしても、聞いてくれない、すぐにアドバイスをする、途中で話し始める。ということが増えてくると、聞いてくれない、どうせ言っても無駄だと諦めるようになります。
その場合は、根気よくこれからは最後まで話を聞いてあげることです。
それを繰り返すことで、「聞いてくれる」「私のことをわかってくれる」と思えるようになります。
2つ目の原因は、問いの問題です。聞き方によって答えが変わってくるように、おおざっぱに「学校どう?」と言ったように聞いていると、「別に…」というふうな答えになってしまいます。
その場合には、問いを変えて、答えやすい問いなどを用意して、回答を促すようにしてみましょう。
3つ目の原因は、親御さん自身の自己開示です。
自己開示とは、どれだけ心を開くかです。
自己開示は相手に比例すると言われています。
つまりこちらがどれだけ心を開くかがキーになるのです。
こちらが心を開かない限り、子どもも心を開いてくれません。
自己開示とは、言い換えると、”ぶっちゃける”というもので、例えば、悩みや不安、愚痴などです。
ネガティブな事は、子どもになかなか話さないと思います。
しかし、それを話さないことで、子どもも自分のことを話さない要因になる場合があります
そのため、少しずつでも結構なので、ご自分のことを話してみるようにしてください。
すると、お子さんも同じように自己開示してくれます。
Q : 自分で考える力を育てるには親はどうしたら良いでしょうか?
考える力をつけさせるにも、問いが大切です。
考えさせるような問いを立てれば良いのです。答えを考えさせる問いをたてましょう。
こちらから、答えを言わないで、問うのです。
「どっちがいいと思う?」「どうしてそう思うの?」と言うように、Yes,Noで答えられるクローズドクエスチョンではなく、オープンクエスチョンでどんどん聞いてみてください。
それを日常の中で繰り返していくと、自然と考える力が身に付いていきます。
Q : 宿題をまじめにやらない。
「がんばってやりなさい」と言うだけでは、勉強を自ら進んでやることはほとんどありません。
なので、まずは一緒に勉強を見てあげるというのが大切になります。
一番効果があるのは、一緒になって同じ問題を解くことです。子どもの宿題をコピーし、隣で一緒に解いてみる。
そうすると、子どもも対抗意識を燃やして頑張ってやろうとします。
ただ隣で見守っているだけだと子どもは大人だけずるいと思ってしまいます。
口で「やりなさい」というのではなく、勉強の準備を一緒にする。隣で見守ってあげる。できれば一緒に問題を解く。
そうやって寄り添うことで、子どもは、安心して勉強をすることができます。
Q : 子ども達のケンカの声がストレス。兄妹(中2と小4)は、ケンカするものだと思います(自分もそうだったので)が本当にひどい・・・。疲れます。
喧嘩をする原因は、自己主張や感情を伝えるといったコミニケーションがうまくできないから、暴力に頼ったり、ののしりあいになるのです。
もし兄弟喧嘩がうるさいなと思うのであれば、子どもたちが自己表現できる、自己主張できるようにトレーニングさせてあげるのが良いと思います。
ソーシャルスキルトレーニングやアサーショントレーニングなど、子ども向けのワークブックもたくさん出ているのでよかったら一度書店で覗いてみてください。
Q : 中2と小6姉妹です。「家事(洗濯物の取り入れ、皿洗い、布団を敷く)を手伝って」と言うと、嫌な顔をして文句を言われます。「母親がやるのが当たり前ではない」と伝えても「わかっている」と言う返答のわりには、よう所よう所の私に対する態度が思いやりが無いと感じます。夏休みに当番制で皿洗いをするのを導入したのですが、学校が始まるとそれはどこへやら・・・。学校が忙しくて子どもなりに大変なのだろうと思うのですが、こんなんでいいのだろうか?と思います。中2の娘の方が冷たいと感じてしまいます。
思いやりは、基本的には自己理解から始まります。
思いやりがないのは、思いやる余裕がないから。
まず大切なのは自分自身です。自分を大切にし、自分が受け入れられない限りは、誰か他人を受け入れることができません。
なので、思いやりがないと感じるのであれば、まずはその子自身が、自分をちゃんと受け入れられるように見てあげる、ポジティブな言葉をかけてあげると言うのが大切です。
そうやって自分の心が満たされていくと、他人にも優しくなれるのです。
後は何かしてくれた時、手伝ってくれたときに子どもにちゃんと声をかける。
やってくれて当たり前ではなく、「ありがとう」と声をかける。
そういった小さなことが、子どもにとってはちゃんと見てくれてると言う思いに繋がります。
Q : 子どもが夜型の生活に段々ずれていっているので困っています。夕食も18時前後にしていますし、夜寝るまでに、お風呂、明日の用意、ピアノ、宿題くらいしかないはずなのに、だらだらと過ごしていて、22時過ぎになります。(TVはほとんどつけていません。)次女は22時過ぎ(23時頃になりつつあります。)、
中学生の長女は24時過ぎています。「早く寝るように」「やることは先に片付けてから。したいことは後で。」と伝えていますが、なかなか効き目がありません。どうしたら早く寝るようになるか?切りかえて次の事に取り組めるようになるのでしょうか?
難しいですよね、早く寝させるのは。
まず、問題は、本人が、「早く寝るべき」と思っているかどうかです。
本人がそうするべきと考えてないと、いつまでたっても行動にうつすことはありません。
もし、翌日眠たかったり、寝不足でのしんどい経験を何度かしていると、本人もこのままじゃいけないと思います。
なので順序としては、まずはただ単に早く寝なさいと言うのではなく、早く寝ようと思っているかどうかをまずは確認してみましょう。
次に早く寝ようと思っているけれどなかなか寝ることができないと言うことであれば、一緒に計画を立ててみるのです。
どうやったら早く寝ることができるか。なぜ、早く寝ることができないのか。一緒に話し合いながら考えてみてください。
計画の時に大事なのは、明らかにできない計画を立てないこと。
曖昧な目標を立てることです。
「早く寝る」という目標を立てても、よくわかりません。
「夜12時まで寝る」と言うのもやめましょう。
時間を決めても、だいたいの子どもは守ることができません。
なぜなら、その目標を叶えるためには、他にやるべきことがたくさんあるからです。
具体的な目標は何かって言うと、例えば「寝る30分前はスマホを触らない」といったようなものです。
することが明確で、やったかやっていないかわかるもの。
基本的に、子どもは、計画を立てたからといって、すぐにできるようになることもありません。
意識し、改善して、少しずつできるようになるのです。
ただ、一方的に怒る、命令するのではなく、一緒に考える、計画する、一緒に考える。
そうやって寄り添うことによって、子どもも愛情感じることができ、何とかしてできるようになりたいと思うのです。
Q : 言葉で言っても聞いていません……
どうすれば、子どもにちゃんと聞かせられるか? ちゃんと理解させられるか?
この良いお手本は、学校の先生です。学校の教室には何がありますか?
黒板がありますよね。大体の子どもは集中していないのでほとんど聞いていません。
だからこそ、文字を見せて、子どもに伝えるのです。
長くダラダラ喋っていても、聞いていないため、聞き流されてしまいます。
それならば、何かに書いて、これですと言って見せるのが良いでしょう。
例えば、小さなホワイトボードが100円均一で売っているので、それを買って、見せながら話しをするのも良いのではないでしょうか。
Q : 人に対して壁が無さ過ぎるので、知らない人(男性)にも無警戒です。頭の片隅にでも良いので危険な時もあるかもしれない事を分かった上で行動してほしいのですが、どうしたら良いでしょうか?
何かを教えるとき、諭したり、叱ったりするのは、あまり効果がありません。
なぜなら、子どもはだいたい聞いていないからです。
そんなとき、効果的なのがロールプレイングです。
実際にありそうな場面を想定して、子どもと一緒にシミュレーションをしてみてください。
たとえば、学校からの帰り道、知らないおじさんに「ちょっと一緒に行こうよ」って言われたとき、どうするかを聞いてみる。お母さんが知らないおじさんになって、やってみる。
それで、実際に何度かやってみるのです。
もし、スグに付いていったら、紙のナイフを作って、危険な目に合わせてあげましょう。
ゲーム感覚で、やられたらゲームオーバーだよとすれば、楽しく学ぶことができます。
Q : 1から10まで言わないといけないのかなぁと思うことがあり、言わないでおこうと思っても
本当にしなかったり、気づいていなかったり・・。言いすぎると関係が悪くなるし、すぐ口げんかになるし・・・。
「できるようになる仕組み」を作るのが一番です。
チェックリストを作る、なにをしたらいいか、一緒に考える。
また、言い方として、「〜しなさい」ではなく、「次、なにをするんだっけ?」と、問いかける感じで話しかける。
そうすることで、少しずつ自分で考えることができるようになります。
命令って、受けて側からすると、思考停止です。
「勉強しなさい」と言われて、取り組む。
そこに、考える余地はありません。
「次、なにする?」
「勉強はいつする?」
「ご飯食べ終わってっていつ? 食べてスグ? それとも、30分後?」
そうやって考えさせることで、自分でやる筋力が身についてきます。
Q : 岡田尊司「愛着障害」を読んで、娘の落ち着きの無さや親の事を信頼していないところなどあてはまるところが多く、悩んでいます。私自身の成育環境が負の連鎖をおこしているように思えてなりません。この生き辛さを娘に味わせてしまうと思うと苦しいです。話を聞こうと思っても、話してくれない時はどうしたら良いでしょうか?学校のテストは、良い点でも悪い点でも見せるのを嫌がります。親子の信頼関係が無くなってしまい(切れてしまい)とても辛いです。どうしたら良いでしょうか?
何よりも大事なのは親御さん自身の自尊感情です。
自分を満たすことができない限り、全力で子どもに愛情を注ぐことが難しいです。
イライラするし、うまくいかないと、落ち込んでしまいます。
なのでまずは、少しずつで良いので自分自身を受け容れていきましょう。
私は悪くない、子どもが悪いんだ。といったように、すべてを肯定するのではなく、うまくいかないこともあるよなと受け容れるのです。
自分を受け容れることができるようになると、子どものイヤな部分も受け容れることができます。
そうなると、小さなことではイライラしなくなります。
心にも余裕が生まれます。
すると、いろいろ改善したり関わり方の工夫もできるようになります。
自分以外の誰かを変えるのは難しいけれど、自分自身は自分でコントロールができます。
まずは、自分を愛し自分を大事にしてください。
Q : 私が息子(中1男)を娘(小3女)の前で叱り、私と息子が大喧嘩になることがよくあり、
そのことで娘がとても心にキズをおっていないか心配(部屋でシクシク泣いていることがある)。
そのかわり、娘は私が言わなくても自らしっかり出来る。
自尊感情から見ると、真面目な子ほど心配する必要があります。
何も言わなくてもわかってくれる大人が思ったとしても、子どもはどこかで我慢しているかもしれません。
どう思っているか、どう感じているか。なぜ泣いているのか。どうしてほしいのか。
ぜひ、じっくり話しを聞いてあげてくださいね。
兄弟がいると、どうしても手がかかる方ばかり見てしまいます。
しかし、そうなると真面目な子ほどガマンします。自分を押し殺します。
いつかその不満が爆発することもあるので、どちらも寄り添ってあげながら見守ってあげてください。
Q : 三人の子どもがいます。年も近く、喧嘩もしょっちゅうします。性格もバラバラの為、叱り方も少し変えてその子に合った育児をしているつもりですが、上の子は特によく私の対応を見ていて、僕ばっかり怒られて下はズルイと言ったりもします。同じように叱るべきなのか、このまま各自対応を異なった状態のままでいけばいいのか悩むところです。
ついやってしまいがちなのが、大人の論理で丸め込んでしまうことです。
「どうして?」「なぜ?」と言ってきたときは、丁寧にこちらの意図を説明してあげてください。
ただ、こういうことを言ってくる時は、大体の場合は自分のことをかまって欲しい、自分のことをちゃんと見て欲しいと言うメッセージだったりする場合が多いです。
そのため、きちんと説明するだけではなく、あなたのことも大切に思っているし、ちゃんと見てるよ、という言葉とメッセージを伝えてあげるのを忘れずにしてあげてください。
講演のご依頼、お待ちしております。
子どもとの関わり方や意欲を高めるコツ。
自尊感情がどうすれば高くなるか。
不登校に関すること。
PTAや子育て講演会など、いろいろなご依頼いただいております。
「こんなこと話して欲しいな」というご要望を伺った上で、講演テーマを決めます。
東京や関東、関西以外の場所にもおもむきますので、ぜひお声かけ下さいね。